クリストフ・リュカン(リュカン クリストフ)
(Christophe Lucand)
1969年、ブルゴーニュに生まれる。ブドウとワイン世界の歴史の専門家。ブルゴーニュ大学(ディジョン)提出の学位論文「ブルゴーニュのワイン卸商──1800年から現代までの歩み、家系、組織網」で博士号取得、後に歴史学教授資格者。パリ政治学院や、ディジョンのブドウ栽培学とワイン醸造学の大学付属研究所(ジュール・ギュイヨ研究所)の講師で、ブルゴーニュ・フランシュ=コンテ大学のユネスコ講座「ワインの文化と伝統」の担当者。他に『ポワリュのワイン──第一次世界大戦中のフランスのワイン史』などがある。
宇京 賴三(ウキョウ ライゾウ)
1945年生まれ。三重大学名誉教授。フランス文学・独仏文化論。著書:『フランス-アメリカ──この〈危険な関係〉』(三元社)、『ストラスブール──ヨーロッパ文明の十字路』(未知谷)、『異形の精神──アンドレ・スュアレス評伝』(岩波書店)、『仏独関係千年紀──ヨーロッパ建設への道』(法政大学出版局)、訳書:トラヴェルソ『ユダヤ人とドイツ』(法政大学出版局)、同『アウシュヴィッツと知識人』(岩波書店)、オッフェ『アルザス文化論』(みすず書房)、同『パリ人論』(未知谷)、ルフォール『余分な人間』(未來社)、同『エクリール』(法政大学出版局)、フィリップス『アイデンティティの危機』(三元社)、同『アルザスの言語戦争』(白水社)、カストリアディス『迷宮の岐路』『細分化された世界』(法政大学出版局)、ロレーヌ『フランスのなかのドイツ人』(未來社)、バンダ『知識人の裏切り』(未來社)、トドロフ『極限に面して』(法政大学出版局)、アンテルム『人類』(未來社)、センプルン『ブーヘンヴァルトの日曜日』(紀伊國屋書店)、オルフ=ナータン編『第三帝国下の科学』(法政大学出版局)、フェリシアーノ『ナチの絵画略奪作戦』(平凡社)、リグロ『戦時下のアルザス・ロレーヌ』(白水社)、ファーブル=ヴァサス『豚の文化史』(柏書房)、ブラック『IBMとホロコースト』(柏書房)、ボードリヤール/モラン『ハイパーテロルとグローバリゼーション』(岩波書店)、クローデル『大恐慌のアメリカ』(法政大学出版局)、ミシュレ『ダッハウ強制収容所自由通り』(未來社)、トラヴェルソ『ヨーロッパの内戦』(未來社)。
※上記内容は本書刊行時のものです。第一章 ワイン、戦争に参入する
1 どこにでもあるが、統制下の飲物
2 戦争の影響下のワイン外交
3 バート・クロイツナハ、最後のワイン国際会議
4 「奇妙な戦争」下のワイン
5 「兵士のホットワイン」
第二章 ワイン・ラッシュ
1 敗北のショックと商売繁盛
2 「ワイン指導者」と新秩序の到来
3 ラバと御者の協力
4 ブドウ栽培地の再組織化
5 管理市場と闇市場
第三章 大揺れ
1 新しい収穫シーズンの困難と禁制主義の再来
2 ドイツから見たフランスワイン
3 「ブドウ・ワイン生産規定」の終わりか?
4 一九四二年秋の転換点
5 原産地統制呼称の勝利
6 試練にさらされた原産地呼称全国委員会
第四章 敗北が幸運となる時代
1 闇市場とナチの購入事務所
2 「仕方がない……商売なんだ!」
3 私は「生まれつきのコラボ」なのだ!
4 フランスワインはヒトラーの「秘密兵器」か?
5 モナコ、ワイン取引の世界的首都
第五章 戦争に酔う
1 ブドウ・ワイン生産の危機と変転
2 ヴィシー、ファシストの農地改革論とブドウ栽培防衛
3 ブルゴーニュでは、卸売業ぬきのブドウ・ワイン生産
4 シャンパーニュでは、泡立つ商売繁盛
5 ドイツの闇市場の中心にコニャックとアルマニャック
6 全国ワイン取引センター、ボルドー
第六章 呑み込まれたあらゆる恥
1 ゲームセット。崩壊へ
2 戦争のページをめくる──敵との「協力」の問題
3 対独協力?どんな協力?
4 不正取引と共謀
結 論
原 注
訳者あとがき
口絵図版出典
文献資料