加藤 泰史(カトウ ヤスシ)
1956年生まれ。名古屋大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授、一橋大学名誉教授。哲学、倫理学。『尊厳と社会』(上下、小島毅との共編著、法政大学出版局、2020年)、„Watsuji und Herder über Kultur und Übersetzung – Eine Zwischenbetrachtung“, Hitotsubashi Journal of Social Sciences, Vol. 51 No. 1, 2020, Kant’s Concept of Dignity (Berlin/Boston: De Gruyter, 2019, Gerhard Schönrichとの共編著)、「公共と尊厳」(『思想』第1139号,2019年)、ほか。
小倉 紀蔵(オグラ キゾウ)
1959年生まれ。ソウル大学哲学科博士課程単位取得退学。ソウル大学修士(文学)。京都大学大学院人間・環境学研究科教授。朝鮮半島の思想・文化、東アジア哲学、日韓関係。『歴史認識を乗り越える』(講談社、2005年)、『創造する東アジア 文明・文化・ニヒリズム』(春秋社、2011年)、『朱子学化する日本近代』(藤原書店、2012年)、『朝鮮思想全史』(筑摩書房、2017)、ほか。
小島 毅(コジマ ツヨシ)
1962年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科修士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授。中国思想史。『儒教の歴史』(山川出版社、2017年)、『近代日本の陽明学』(講談社、2006年)、『宋学の形成と展開』(創文社、1999年)、『中国近世における礼の言説』(東京大学出版会、1996年)、『中国思想史』(共著、東京大学出版会、2007年)、ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。第Ⅰ部 日本関係編
第1章 バイオエシックスと生命倫理学の間──医学者の「尊厳」理解(加藤泰史)
第2章 野間宏文学における「弱者の生」から逆照射される「尊厳」(ギブソン松井佳子)
第3章 如空の衆生を度す──仏教における人間の尊厳と個の尊重(前川健一)
第4章 林羅山における自由と身分秩序──『性理字義諺解』に着目して(武田祐樹)
第5章 人間の尊厳と「極東の偉大な諸宗教」──ヨーロッパの人間観に対するルソーの異議申立て(松田純)
◎読書案内コラム
1 蟻川恒正『尊厳と身分──憲法的思惟と「日本」という問題』(池田弘乃)
2 宮下紘『プライバシー権の復権──自由と尊厳の衝突』(品川哲彦)
3 島田陽一・三成美保・米津孝司・菅野淑子=編『「尊厳ある社会」に向けた法の貢献──社会法とジェンダー法の協働』(池田弘乃)
第Ⅱ部 中国関係編
第1章 現代新儒家牟宗三のカント理解(小島毅)
第2章 中国憲法史における尊厳概念──その背後にある政治思想(中村元哉)
第3章 求むれば則ち之を得、舎つれば則ち之を失ふ──人間の尊厳に対する儒教の立場からの考究姿勢について(倪培民/中澤武 訳)
第4章 中国の伝統における人権(スティーブン・C・アングル/齋藤元紀 訳)
第5章 儒教的な人間の尊厳に向けて(王小偉/陳健成 訳)
第6章 人間の尊厳の儒教的概念(李亜明/高畑祐人 訳)
第7章 台湾の終末期医療の法制化における尊厳概念の変遷──家族代理決定から自己決定権への道(鍾宜錚)
◎読書案内コラム
4 有馬斉『死ぬ権利はあるか──安楽死、尊厳死、自殺幇助の是非と命の価値』(香川知晶)
5 里村佳子『尊厳ある介護──「根拠あるケア」が認知症介護を変える』(小林道太郎)
6 スウェーデン社会庁『人間としての尊厳──ノーマライゼーションの原点・知的障害者とどうつきあうか (第二版)』(徳地真弥)
7 岸邦和『「人間の尊厳」を考えるための練習問題』(高畑祐人)
第Ⅲ部 朝鮮(韓国)関係編
第1章 暴力としての歴史認識(小倉紀蔵)
第2章 韓国で人間尊厳性概念の開新を目指して公共哲学する──独話的概念創出から対話的概念開新への試み(金泰昌)
第3章 社会的生命力の源泉としての尊厳──安重根『東洋平和論』を手がかりに(片岡龍)
第4章 三魂論について──西洋哲学と朝鮮儒教の出会い(金光来)
◎読書案内コラム
8 旻子『尊厳──半世紀を歩いた「花岡事件」』(宇佐美公生)
9 陶徳民『西教東漸と中日事情──拝礼・尊厳・信念をめぐる文化交渉』(武田祐樹)
10 フランシス・フクヤマ『IDENTITY──尊厳の欲求と憤りの政治』(岩佐宣明)
11 デルフィン・ヒラスナ『尊厳の芸術──強制収容所で紡がれた日本の心』(成瀬翔)
12 ヨハン・セルス+チャールズ・E・マクジルトン『人間としての尊厳を守るために──国際人道支援と食のセーフティネットの構築』(徳地真弥)
13 加藤泰史・小島毅 編『尊厳と社会(上・下)』(徳地真弥)
編者後書き 人間概念の改変に向けて(小倉紀蔵)
執筆者・訳者紹介
ギブソン松井佳子(ギブソン・マツイ・ケイコ)
神田外語大学外国語学部教授。「文学の経験表現から考究できる〈尊厳〉の諸相」(『尊厳と社会(上)』法政大学出版局、2020年)、「翻訳学と脱構築のはざまで考える「社会正義」」(『〈翻訳〉のさなかにある社会正義』、東京大学出版会、2018年)ほか。
前川健一(マエガワ・ケンイチ)
創価大学大学院文学研究科教授。仏教学。『明恵の思想史的研究──思想構造と諸実践の展開』(法藏館、2012年)、『明恵上人夢記訳注』(奥田勲・平野多恵との共編、勉誠出版、2015年)、『夢と表象──眠りとこころの比較文化史』(分担執筆、勉誠出版、2017年)、ほか。
武田祐樹(タケダ・ユウキ)
東京大学大学院人文社会系研究科附属次世代人文学開発センター特任研究員。専門は日本漢学。『川田剛『甕江文稿』』(近代日本漢籍影印叢書2、研文出版、2020年)、「林羅山の排耶論再考」(『日本儒教学会報』第5号、2021年)、ほか。
松田純(マツダ・ジュン)
静岡大学名誉教授。哲学、生命倫理学。『安楽死と尊厳死の現在──最終段階の医療と自己決定』(中公新書、3版2021年)、『ケースで学ぶ 認知症ケアの倫理と法』(共編著、南山堂、2017年)、ほか。
池田弘乃(イケダ・ヒロノ)
山形大学人文社会科学部准教授。法哲学。「マイノリティと個人の尊厳──LGBTという言葉から考える」(『東洋学術研究』59巻1号、2020年)、「ケーキがあるのになんでセックスなんかするの?──「アセクシュアルと法」を考えるために」(綾部六郎゠池田弘乃編『クィアと法──性規範の解放/開放のために』、日本評論社、2019年)、ほか。
品川哲彦(シナガワ・テツヒコ)
関西大学文学部教授。哲学・倫理学専攻。『倫理学入門──アリストテレスから生殖技術、AIまで』(中央公論新社、2020年)、『倫理学の話』(ナカニシヤ出版、2015年)、ほか。
中村元哉(ナカムラ・モトヤ)
東京大学大学院総合文化研究科准教授。中国近現代史。『中国、香港、台湾におけるリベラリズムの系譜』(有志舎、2018年)、『対立と共存の日中関係史──共和国としての中国』(講談社、2017年)、ほか。
倪 培民(ニー・ペイミン)
グランド・バレー州立大学(米国・ミシガン州)哲学科教授。Understanding the Analects of Confucius: A New Translation of Lunyu with Annotations (State University of New York Press, 2017), Confucius: the Man and the Way of Gongfu (Rowman & Littlefield, 2016),ほか。
中澤 武(ナカザワ・タケシ)
明海大学・東京薬科大学・長野大学等非常勤講師。翻訳家。Kants Begriff der Sinnlichkeit (Stuttgart: frommann-holzboog, 2009),『尊厳概念のダイナミズム』(分担執筆、法政大学出版局、2017年)、ほか。
スティーブン・C・アングル(Stephen C. Angle)
ウェズリアン大学哲学科教授、マンスフィールド・フリーマン・東アジア研究所教授。ミシガン大学博士(哲学)。中国哲学、儒教、新儒教、比較哲学。Neo-Confucianism: A Philosophical Introduction (co-authored with Justin Tiwald, Polity Press, Cambridge 2017), Virtue Ethics and Confucianism (co-authored with Michael Slote, Routledge, New York 2013), ほか。
齋藤元紀(サイトウ・モトキ)
高千穂大学人間科学部教授。哲学、倫理学。『21世紀の哲学をひらく』(共編著、ミネルヴァ書房、2016年)、『存在の解釈学────ハイデガー『存在と時間』の構造・転回・反復』(法政大学出版局、2012年)、ほか。
王 小偉(ワン・シャオウェイ)
中国人民大学哲学科准教授。技術哲学、道徳哲学、科学技術と社会。「オランダ学派の道徳的物質化観をたどる(荷蘭学派道徳物化観点溯源)」(『自然弁証法ニュースレター(自然弁証法通訊)』2020年6月号)、「ゲウィルト(Alan Gewirth)における尊厳とアイデンティティ(格沃斯的尊厳観与認同)」(『哲学分析』、2020年2月号)、ほか。
陳 健成(チャン・キンシン)
東京大学死生学・応用倫理センター特任研究員。近世中国儒教史。「明清之際的朱子学経解──以清初孫承沢『尚書集解』之洪範解釈為中心」(『転變、接受与認同──清代文化転型与士人定位会議論文集』、鳳凰出版社、2017年)、「袁仁『砭蔡編』について──明代における蔡沈『書集伝』に対する批判の特例」(伊東貴之編『「心身/身心」と環境の哲学──東アジアの伝統思想を媒介に考える』、汲古書院、2016年)、ほか。
李 亜明(リー・ヤーミン)
中国社会科学院哲学研究所副研究員(准教授)。生命倫理学。「人類の種の完全性の道徳的意義(人類物種完整性的道徳意義)」(『哲学動態』、2020年第8期)、「生命倫理学の文脈におけるカントの尊厳の観念の再解釈(生命倫理学語境中康徳尊厳観念的重新闡釈)」(『倫理学研究』2020年第3期)、ほか。
高畑祐人(タカハタ・ユウト)
名古屋大学非常勤講師。哲学、倫理学。「カントにおける自然美と芸術美」(中部哲学会編『中部哲学会紀要』第51号、2020年)、マルティン・ゼール『幸福の形式に関する試論──倫理学研究』(法政大学出版局、2018年)、ほか。
鍾 宜錚(ジョン・イジェン)
大谷大学真宗総合研究所東京分室PD研究員。生命倫理学、倫理学。「台湾における終末期医療の法と倫理──「患者自主権利法」の成立と「善終」概念の変遷」(『死生学・応用倫理研究』24号、2019年)、「台湾における終末期医療の議論と「善終」の法制化──「安寧緩和医療法」から「病人自主権利法」へ」(『生命倫理』Vol. 27(1)、日本生命倫理学会、2017年)、ほか。
香川知晶(カガワ・チアキ)
山梨大学名誉教授。哲学・倫理学。『死ぬ権利──カレン・クインラン事件と生命倫理の転回』(勁草書房、2006年)、『生命倫理の源流──戦後日本社会とバイオエシックス』(共編著、岩波書店、2014年)、ほか。
小林道太郎(コバヤシ・ミチタロウ)
大阪医科大学看護学部准教授。哲学、倫理学。「補い合うことと考えること──ある看護師へのインタビューの分析から」(『看護研究』49 (4)、2016年)、「ケア倫理は看護倫理にどう貢献しうるのか──ケアの諸局面の倫理的要素から」(『日本看護倫理学会誌』6(1)、2014年)、ほか。
徳地真弥(トクチ・シンヤ)
社会哲学。ティートゥス・シュタール「社会正義と制度的権力」(田中拓道編『承認──社会哲学と社会政策の対話』、法政大学出版局、2016年)、ミヒャエル・クヴァンテ『人間の尊厳と人格の自律──生命科学と民主主義的価値』(共訳、法政大学出版局、2015年)、ほか。
金泰昌(キム・テチャン)
国立忠北大学名誉教授。東洋日報企画東洋forum主幹。公共哲学者。『公共哲学』(東京大学出版会刊)全20巻の共同編集者。公共哲学に関する著書多数。
片岡龍(カタオカ・リュウ)
東北大学大学院文学研究科教授。思想史。『16世紀後半から19世紀はじめの朝鮮・日本・琉球における〈朱子学〉遷移の諸相』(春風社、2020年)、『韓国と日本の公共意識比較研究』(片岡龍ほか編、韓国学中央研究院出版部、2016年)、ほか。
金光来(キム・グァンネ)
1971年生まれ。埼玉大学教養学部非常勤講師。朝鮮思想史。『朝鮮朝後期の社会と思想』(共著、勉誠出版、2015年)、“Sin Hudam’s Criticism of Treatises on Catholic Doctrine: Points at Issue Reflected in His Tonwa Sŏhak Pyŏn,” (ACTA ASIATICA, 106, 2014), ほか。
宇佐美公生(ウサミ・コウセイ)
岩手大学教育学部教授。倫理学、哲学。『新・カント読本』(分担執筆、法政大学出版局、2018年)、『尊厳概念のダイナミズム』(分担執筆、法政大学出版局、2017年)、ほか。
岩佐宣明(イワサ・ノブアキ)
愛知学院大学教養部准教授。哲学、倫理学。「デカルト認識論における自己認識の問題」(『理想』第699号、2017年)、「コギトの特権性」(『フランス哲学・思想研究』第12号、2007年)、ほか。
成瀬翔(ナルセ・ショウ)
椙山女学園国際コミュニケーション学部特任研究員。哲学、美学。「柳宗悦における「もの」」(『名古屋造形大学紀要』第25号、2018年)、「虚構の社会──メイクビリーヴ説の社会哲学への応用」(日本福祉大学編『全学教育センター紀要』第5号、2017年)、ほか。
書評掲載
「沖縄タイムス」(2021年4月28日付)に紹介されました。
「信濃毎日新聞」(2021年05月08日付)に紹介されました。
「UTokyo BiblioPlaza」に紹介されました。