叢書・ウニベルシタス 943
吐き気
ある強烈な感覚の理論と歴史
ISBN978-4-588-00943-3 C3310 [2010年08月 刊行]
ヴィンフリート・メニングハウス(メニングハウス,W.)
1952年生まれ.マールブルク,フランクフルト,ハイデルベルクでドイツ文学,哲学,政治学を学ぶ.現在,ベルリン自由大学一般文芸学・比較文学科ペーター・ソンディ研究所教授.ベンヤミン研究を出発点としながら,文学・美学・哲学など幅広い領域で執筆活動を展開.主な著書に,本書のほか,『ヴァルター・ベンヤミンの言語魔術理論』(1980),『パウル・ツェラーン──形式の魔術』(1980),『熟練の文──ゴットフリート・ケラーの構成技法についての研究』(1982),『敷居学──ベンヤミンの神話のパサージュ』(1986,邦訳:現代思潮社),『無限の二重化──ロマン主義・ベンヤミン・デリダにおける絶対的自己反省理論』(1987,邦訳:法政大学出版局),『ナンセンス礼賛──カント・ティーク・青髭について』(1995),『美の約束』(2003),『生のなかば──ヘルダーリン詩学についての試論』(2005)など.
竹峰 義和(タケミネ ヨシカズ)
1974年生まれ.東京大学大学院総合文化研究科(超域文化科学専攻)博士課程修了.専門は,ドイツ思想史・表象文化論.現在,日本大学法学部助教.著書に『アドルノ,複製技術へのまなざし』(青弓社).共著書に『美のポリティクス』(御茶の水書房)ほか.共訳書にアドルノ『文学ノート2』(みすず書房)ほか.
知野 ゆり(チノ ユリ)
1971年生まれ.法政大学大学院人文科学研究科(哲学専攻)博士課程単位取得退学.専門は,カント哲学・美学.共著書に『身体医文化論Ⅳ 食餌の技法』(慶應義塾大学出版会).論文に「吐き気の哲学への助走──カントの場合」『倫理学年報 第52集』ほか.
由比 俊行(ユイ トシユキ)
1976年生まれ.東京大学大学院人文社会系研究科(ドイツ語ドイツ文学専攻)博士課程単位取得退学.専門は,ドイツ近代文学.現在,東京芸術大学音楽学部,立教大学文学部非常勤講師.
※上記内容は本書刊行時のものです。──吐き気の哲学の消尽点
第 I 章 美学理論における吐き気というタブーと吐き気の遍在
第 II 章 厭わしい部位と吐き気を催させる時間
──理想美を湛えた身体の構成
第 III 章 「強烈な生命感覚」と哲学のオルガノン
──カントにおける吐き気の判断
第 IV 章 腐敗のポエジー
──「美しき吐き気」と「ロマン主義的なもの」の病理学
第 V 章 吐き気の「否」とニーチェの認識の「悲劇」
第 VI 章 悪臭を発することの精神分析
──フロイトにおけるリビドー、吐き気、文化の発展
第 VII 章 吐き気の天使
──《硫黄臭い》快の《無垢なる》享受をめぐるカフカの
詩学
第VIII章 聖なる吐き気(バタイユ)と実存のべとつく
マーマレード(サルトル)
第 IX 章 アブジェクトな母(クリステヴァ)、《アブジェクト・
アート》、吐き気・現実界・真理の収斂
訳者あとがき
原註・訳註
引用文献
人名索引