叢書・ウニベルシタス 945
ガリレオの振り子
時間のリズムから物質の生成へ

四六判 / 180ページ / 上製 / 価格 2,970円 (消費税 270円) 
ISBN978-4-588-00945-7 C1322 [2010年10月 刊行]

内容紹介

あの左右に揺れるおもりの周期運動は、現代の科学と数学の発展に著しい影響を及ぼした。この影響の範囲は、時間とともに変化する自然現象をどのように理解するかということだけにとどまらず、ついには物質界の存在そのもの、つまり粒子や光や音に対する科学の見方にまで及んだ。本書は、「ガリレオの振り子」を頼りに、科学が時間をどうにか飼いならしていく歴史を概観する。【古代史・科学史】

著訳者プロフィール

ロジャー・ニュートン(ニュートン,R.)

1926年生まれ.アメリカの物理学者.ハーヴァード大学のJ. シュウィンガーの指導のもとで1953年に学位取得.プリンストン高等学術研究所所員を経て,インディアナ大学で長年,研究と教育に従事した.現在,同大学の特別名誉教授,アメリカ物理学会フェロー.研究分野は素粒子論,原子核理論,場の理論,数理物理学に及ぶ.とくに散乱理論に造詣が深く,1966年に刊行された『波動と粒子の散乱理論』はこの分野の標準的な著作として版を重ねている.邦訳書に『宇宙のからくり』,『科学が正しい理由』(いずれも,松浦俊輔訳,青土社刊),近著として,How Physics Confronts Reality: Einstein Was Correct, but Bohr Won the Game (World Scientific Publishing Co., 2009),From Clockwork to Crapshoot: A History of Physics (Harvard University Press, 2007) がある.

豊田 彰(トヨダ アキラ)

1936年,愛知県に生まれる.名古屋大学大学院理学研究科博士課程修了.物理学専攻.茨城大学名誉教授.訳書に,セール『白熱するもの』,『幾何学の起源』,『コミュニケーション〈ヘルメスⅠ〉』(共訳),『干渉〈ヘルメスⅡ〉』,『翻訳〈ヘルメスⅢ〉』(共訳),『分布〈ヘルメスⅣ〉』,『青春 ジュール・ヴェルヌ論』,『ルクレティウスのテキストにおける物理学の誕生』,バートン『古代占星術』,チャンドラセカール『心理と美』,ジェローム他『アインシュタインとロブソン』(以上,法政大学出版局),バシュラール『原子と直観』,『近似的認識試論』(共訳,以上,国文社)などがある.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき  vii

序 章  1
1 生物が記録する時間
  *身体のリズム  5
2 カレンダー
  *さまざまなドラマーたち  27
3 初期の時計
  *手作りのビート  39
4 振り子時計
  *自然のビート  53
5 その後の時計
  *どこにいてもわかる時間  73
6 アイザック・ニュートン
  *振り子の物理学  93
7 音と光
  *どこにもある振動  109
8 量 子
  *振動子が粒子を作る  137

原 注  155
参考文献  157
図版の出所  161
訳者あとがき  163
索 引  165

関連書籍

『宇宙のからくり』松浦俊輔訳,青土社,1996年
『科学が正しい理由』松浦俊輔訳,青土社,1997年