ジョン・トーランド(トーランド ジョン)
(John Toland)
1670-1722年。アイルランド生まれの思想家。名誉革命の動乱期にスコットランドのグラスゴー・カレッジで学んだ。ロンドンにやってくると、非国教徒内の同盟を推進する長老派ダニエル・ウィリアムズを支援して、その著作をジャン・ル・クレールの雑誌に紹介した。これによってオランダでの勉学の機会を与えられ、ベンジャミン・ファーリ、ル・クレール、フィリップ・ファン・リンボルクなど大陸の自由主義的プロテスタントとの交際を得た。帰国後、反三位一体論争のさなか『秘義なきキリスト教』(1696年)を匿名出版した。多数の反駁が書かれ、イングランドではミドルセックス大陪審の告発、アイルランドでは大陪審の告発と議会下院による焚書と逮捕・起訴が決議された。逮捕を逃れてロンドンにもどると、時事的な政治的著作・パンフレットの出版や、ジョン・ミルトンやジェイムズ・ハリントンなどピューリタン革命時の共和主義者たちの諸著作を編集出版し、「コモンウェルスマン」として活動した。後に『セリーナへの手紙』(1704年)、『パンテイスティコン』(1720年)などで唯物論的自然哲学を展開した。
三井 礼子(ミツイ レイコ)
1949年生まれ。東京都立大学人文科学研究科英文学博士課程満期退学。学習院大学非常勤講師。論文に「ジョン・トーランド『キリスト教は神秘ならず』の一つの背景─―反三位一体論争」(日本イギリス哲学会『イギリス哲学研究』第13号、1999年)、「バトラーと理神論論争」(行安茂編『近代イギリス倫理学と宗教─―バトラーとシジウィック』、晃洋書房、1999年)、訳書にエルンスト・カッシーラー『英国のプラトン・ルネサンス─―ケンブリッジ学派の思想潮流』(工作舎、1993 年)、ジョン・トーランド『秘義なきキリスト教』(法政大学出版局、2011年)がある。
※上記内容は本書刊行時のものです。序 文 これはロンドンの一紳士に宛てた手紙で、以下の諸論考と一緒に送られた。各論考について執筆のきっかけが含まれている
第一書簡 偏見の起源と力
第二書簡 異教徒における魂不滅説の歴史
第三書簡 偶像崇拝の起源および異教信仰の諸理由
第四書簡 オランダの一紳士に宛て、スピノザの哲学体系には原理あるいは基盤がないことを示す
第五書簡 運動は物質に本質的である。「スピノザ反駁」に寄せられた、ある貴人からのいくつかの意見に答える
訳 注
解 説
人名・書名索引
書評掲載
「図書新聞」(2016年12月3日号/大橋完太郎氏・評)にて紹介されました。
「イギリス哲学研究」(2017年第40号/矢嶋直規氏・評)にて紹介されました。
「ピューリタニズム研究」(2017年3月第11号/有江大介氏・評)にて紹介されました。