叢書・ウニベルシタス 769
場所を消費する 〈新装版〉

四六判 / 450ページ / 上製 / 価格 5,280円 (消費税 480円) 
ISBN978-4-588-09958-8 C1333 [2012年09月 刊行]

内容紹介

『観光のまなざし』(邦訳・小局刊)において、「場所」を視覚的消費の対象として位置づけた著者による「場所の社会学」論集。レジャー研究、社会学、都市・地域研究、地理学、カルチュラル・スタディーズにわたる広範な分野の「社会と空間」「空間と場所」についての議論を幅広く渉猟して、「時間‐空間の社会分析」が社会理論の土台たるべきことを主張する。

著訳者プロフィール

ジョン・アーリ(アーリ ジョン)

(John Urry)
1946年に生まれる。ケンブリッジ大学で経済学を専攻しその後、社会学で博士号を取得する。1970年からランカスター大学で講師・助教授を歴任し、1985年以降は同大学社会学科の主任教授を務めている。主著にThe Tourist Gaze,1990(加太宏邦訳『観光のまなざし』法政大学出版局)、Sociology beyond Societies,2000(吉原直樹監訳『社会を越える社会学』同前)、共編著にAutomobilities,2005(近森高明訳『自動車と移動の社会学』同前)など多数がある。

吉原 直樹(ヨシハラ ナオキ)

1948年、徳島県に生まれる。1972年、慶應義塾大学経済学部卒業。1977年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。社会学博士。立命館大学助教授、神奈川大学教授、東北大学大学院文学研究科教授を経て、現在、横浜国立大学大学院都市イノベーション研究院教授、東北大学名誉教授。主著に『都市空間の社会理論』(東京大学出版会、1994年)、『都市とモダニティの理論』(東京大学出版会、2002年)、『モビリティと場所』(東京大学出版会、2008年)、『都市社会学』(東京大学出版会、2018年)、『コミュニティと都市の未来』(ちくま新書、2019年)、共編著に『越境する都市とガバナンス』(法政大学出版局、2006年)、訳書にJ. アーリ『社会を越える社会学』(法政大学出版局、2006年)、同『モビリティーズ』(作品社、2015年)他がある。

大澤 善信(オオサワ ゼンシン)

1953年、福井県に生まれる。1978年、中央大学法学部卒業。1986年、中央大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。中央大学講師、金沢大学教育学部教授を経て、現在、関東学院大学文学部教授。共著に『重化学工業都市の構造分析』(東京大学出版会、1987年)、『都市空間の想像力』(勁草書房、1996年)、訳書に、M. カステル『都市・情報・グローバル経済』(青木書店、1999年)他がある。

武田 篤志(タケダ アツシ)

鹿児島国際大学経済学部准教授。

松本 行真(マツモト ミチマサ)

近畿大学総合社会学部准教授。

齊藤 綾美(サイトウ アヤミ)

東北文化学園大学医療福祉学部教授。

末良 哲(スエヨシ テツ)

東北大学大学院文学研究科博士後期課程中退。

高橋 雅也(タカハシ マサヤ)

埼玉大学教育学部准教授。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 序文
 日本語版への序文

I 社会と空間

第1章 場所の消費における時間と空間
はじめに
時間と空間の小史
一九七〇年代の批判
時間‐空間の社会分析

第2章 寄生体としての社会学──その短所と長所
はじめに
社会学と国家
社会学的言説の編制
寄生的であることの長所

第3章 集合的行為と新マルクス主義──批判的分析
はじめに
機能と意図
オルソンと囚人のジレンマ
ゲーム理論的マルクス主義におけるテーマ
批判のためのノート
おわりに

第4章 社会、空間、ローカリティ
はじめに
空間と社会
社会的対象と空間
ローカリティ

II リストラクチュアリングとサービス

第5章 農村のリストラクチュアリング
農村社会学における諸問題
資本、労働力、「農村的」なもの
ローカルな階層構造
おわりに

第6章 資本主義的生産、科学的管理、サービス階級
はじめに
経営、サービス階級、アメリカ社会
英国と「科学的管理」運動

第7章 英国は史上初の「脱工業社会」か?

III 消費、場所、アイデンティティ

第8章 ツーリズムの消費
はじめに
ツーリズムの社会的限界
おわりに

第9章 ツーリズム、旅行、近代的主体
はじめに
旅行の社会的組織化
審美的な再帰性と「解釈者」
ポスト・フォーディズム的消費と「ツーリズムの終焉」
おわりに

第10章 地域文化の再解釈
グローバルとローカル
歴史と文化の変容
ランカシャー
おわりに

第11章 ツーリズム、ヨーロッパ、アイデンティティ

IV 自然の消費

第12章 観光のまなざしと環境
はじめに
ツーリズムと環境意識
ツーリズムと環境ダメージ
ツーリズムと環境の視覚的消費

第13章 湖水地方の形成

第14章 社会的アイデンティティ、レジャー、田園
はじめに
アイデンティティとポストモダニズム
アイデンティティと田園
おわりに

 監訳者あとがき
 邦訳参考文献
 参考文献
 索引