叢書・ウニベルシタス 14
聖と俗 〈新装版〉
宗教的なるものの本質について

四六判 / 284ページ / 上製 / 価格 3,190円 (消費税 290円) 
ISBN978-4-588-09976-2 C1314 [2014年01月 刊行]

内容紹介

聖なるものは遠い人類の神話時代に発し、古代社会における人類の生存全般にわたって顕現した宗教的価値であり、やがて歴史時代の進展と共に衰退し、近代の工業社会に至ってほとんどその影を没しようとしているものである。本書は、この聖なるものの現象形態全般とその中に生きる人間の状況とを叙述し、現代社会に代表される俗なる世界との対比により、宗教的人間のあり方を問い直す。

著訳者プロフィール

M.エリアーデ(エリアーデ ミルチャ)

(Mircea Eliade)
ルーマニアの世界的な宗教学・宗教史学者。1907年首都ブクレシュティ(ブカレスト)に陸軍将校を父として生まれる。ブクレシュティ大学でナエ・ヨネスクを師に哲学を学ぶ。1927、28年イタリアに留学。また29-31年インドに留学しこの研究生活を通じて宗教学・宗教史学者としての彼の方向が決定づけられる。帰国後33年から母校で哲学を講義、38-42年パリで宗教学研究誌『ザルモクシス』を刊行。40年ロンドンのルーマニア文化アタッシェに任命される。それ以後、国外を活動の場として、46年ソルボンヌ大学宗教学講師、57年からはシカゴ大学神学部宗教史学科主任教授をつとめた。1986年死去。本書のほか、『永遠回帰の神話』、『シャーマニズム』、『加入礼・儀式・秘密結社』、『ムントゥリャサ通りで』などが邦訳されている。

風間 敏夫(カザマ トシオ)

1924年東京に生まれる。
1947年東京大学文学部印度哲学梵文学科卒業。
1994年法政大学教授退職。
著書:『新釈・碧巌集』。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序言
 聖なるものはみずから顕われる
 ふた通りの「世界のなかに在ること」
 聖なるものと歴史

第一章 聖なる空間と世界の浄化
 空間の均質性と聖体示現(ヒエロファニー)
 神体示現(テオファニー)と徴表
 カオス(混沌)とコスモス(宇宙)
 場所の浄化は宇宙創造の再現である
 〈世界の中心〉
 〈われらの世界〉は常に中心にある
 コスモス(宇宙)としての都市
 世界の創造を引き受ける
 宇宙開闢と建築供犠
 寺院、バジリカ、大聖堂(カテドラル)
 まとめ

第二章 聖なる時間と神話
 俗なる時間維持と聖なる時間
 templum(寺院)─tempus(時間)
 宇宙創造の年年反復
 太初の時への回帰による再生
 祭の時と祭の構造
 周期的に神々と同じ世に生きる
 模範的典型としての神話
 神話の再現
 聖なる歴史、歴史、歴史主義

第三章 自然の神聖と宇宙的宗教
 天の神聖と天上の神々
 遙かなる神
 生の宗教的体得
 天の象徴と存続
 水の象徴
 洗礼の歴史
 象徴の普遍性
 地母
 地上の分娩と小児を地上に寝かすこと
 女性、大地および産出力
 宇宙の樹の象徴と植物崇拝
 自然の非聖化
 その他の宇宙的聖体示現(ヒエロファニー)

第四章 人間の生存と生命の浄化
 〈世界に開かれた〉生存
 生の浄化
 身体─家─宇宙
 狭き門の通過
 通過儀礼
 加入式の現象学
 男性結社と女性結社
 死と加入式
 〈第二の誕生〉と精神的生殖
 近代社会における聖と俗

付録 宗教学の歴史

現代と東洋の宗教(訳者あとがきに代えて)

 索引、参考書目