徳を愛し称賛するのは、共感に基づく自然な感情である。同時に、もっとも称賛される徳である正義、そして文明社会の維持に不可欠な国家への忠誠は、人間の合意によって作られる。人間に特有の道徳という営みの根源を探る精神の解剖学。
D.ヒューム(ヒューム デイヴィッド)
(David Hume)
1711年4月26日生まれ。スコットランドを代表する哲学者。エディンバラ大学で学び、哲学やその他の分野についての執筆活動をするとともに、フランス大使秘書などに就く。ルソーとの交流とその破綻はよく知られている。1776年8月25日死去。おもな著作は、『人間本性論』(1739-40)、『人間本性論摘要』(1740)、『人間知性研究』(1748)、『道徳原理研究』(1751)、『宗教の自然史』(1757)、『イングランド史』(1754-61)など。死後『自然宗教に関する対話』(1779)が公刊された。
伊勢 俊彦(イセ トシヒコ)
1959年岩手県生まれ。京都大学文学部卒業。立命館大学文学部教授。専門は英米近現代哲学。論文「ヒューム、その道徳哲学の視野」(中才敏郎編『ヒューム読本』法政大学出版局、2005)、「動物の心と人間の理性」(『立命館文學』603号、2008)など。
石川 徹(イシカワ トオル)
1956年静岡県生まれ。京都大学文学部卒業。香川大学教育学部教授。専門は英国経験論・分析哲学。論文「ヒュームの情念論」(中才敏郎編『ヒューム読本』法政大学出版局、2005)、「自然主義的誤謬と「である-べきである問題」」(中才敏郎・美濃正編『知識と実在』世界思想社、2008)など。
中釜 浩一(ナカガマ コウイチ)
1956年長崎県生まれ。京都大学文学部卒業。法政大学文学部教授。専門は言語哲学・科学哲学。論文「一般性制約について(1)」(『法政大学文学部紀要』第48号、2003)、「ホワイトヘッド」(伊藤邦武編『哲学の歴史8』中央公論新社、2007)など。
※上記内容は本書刊行時のものです。 前書き
第一部 徳および悪徳一般について
第一節 道徳的区別は理性から引き出されるのではない
第二節 道徳的区別は道徳感覚から引き出される
第二部 正義と不正義について
第一節 正義は自然な徳か人為的な徳か
第二節 正義と所有の根源について
第三節 所有を決定する諸規則について
第四節 同意による所有の移転について
第五節 約束の課す責務について
第六節 正義と不正義に関するさらにいくつかの考察
第七節 統治の根源について
第八節 忠誠の源泉について
第九節 忠誠の限界について
第十節 忠誠の対象について
第十一節 諸国民の間の法について
第十二節 貞淑と慎みについて
第三部 その他の徳と悪徳について
第一節 自然な徳と悪徳の根源について
第二節 大いなる精神の性質について
第三節 善良さと善意について
第四節 自然な能力について
第五節 自然な徳に関するさらにいくつかの考察
第六節 この巻の結論
訳註
解説 ヒューム『人間本性論』の道徳哲学
第一部 徳および悪徳一般について
第一節 道徳的区別は理性から引き出されるのではない
第二節 道徳的区別は道徳感覚から引き出される
第二部 正義と不正義について
第一節 正義は自然な徳か人為的な徳か
第二節 正義と所有の根源について
第三節 所有を決定する諸規則について
第四節 同意による所有の移転について
第五節 約束の課す責務について
第六節 正義と不正義に関するさらにいくつかの考察
第七節 統治の根源について
第八節 忠誠の源泉について
第九節 忠誠の限界について
第十節 忠誠の対象について
第十一節 諸国民の間の法について
第十二節 貞淑と慎みについて
第三部 その他の徳と悪徳について
第一節 自然な徳と悪徳の根源について
第二節 大いなる精神の性質について
第三節 善良さと善意について
第四節 自然な能力について
第五節 自然な徳に関するさらにいくつかの考察
第六節 この巻の結論
訳註
解説 ヒューム『人間本性論』の道徳哲学
書評掲載
「イギリス哲学研究」(第37号/奥田太郎氏・評)に紹介されました。
「ファイナンス」(2014年9月号/廣光俊昭氏・評)に紹介されました。