叢書・ウニベルシタス 938
湖水地方案内〈新装版〉

四六判 / 244ページ / 上製 / 価格 3,300円 (消費税 300円) 
ISBN978-4-588-14064-8 C0326 [2021年10月 刊行]

内容紹介

イギリス・ロマン派を代表する詩人が、18世紀後半から19世紀にかけて増大した湖水地方旅行者のために書いたガイドブックの古典。ワーズワスの自然観、湖水地方観、自然への接し方についての認識を示す本書は、イギリス・ロマン派文学研究の重要な基本文献であることはもとより、200年の時を越えたいま、「環境の時代」を先取りしたエコロジーの原点として再評価の機運が高まっている。

著訳者プロフィール

ウィリアム・ワーズワス(ワーズワス ウィリアム)

イギリス・ロマン派を代表する詩人.1770年,湖水地方周辺部のコッカマスに生まれ,ホークスヘッドで美しい自然に触れながら教育を受ける.1787年にケンブリッジ大学に入学.大学卒業後はフランス革命に共鳴し急進思想にひかれるなどして精神的危機に陥り,各地を転々として暮らしたこともあった.しかし1795年ごろより徐々に回復して詩作に専念するようになり,人間にとっての自然の意義をうたった傑作を次々と創作した.1799年12月に愛する郷里である湖水地方に帰還し,ダブ・コテージに居を構えた.以後,ライダル・マウントなどに転居はしたが,1850年にこの世を去るまで湖水地方で詩作と思索,散策の生活を送った.代表作に「ティンターン修道院」(1798),「マイケル」(1800),「霊魂不滅の啓示」(1804),『序曲』(1805)などがある.また「ルーシー詩篇」や「虹」,「スイセン」など,人々に愛され続けている作品も数多く残している.

小田 友弥()

1947年生れ.1970年弘前大学人文学部卒業.1973年東北大学大学院文学研究科修士課程修了.現在,山形大学地域教育文化学部教授.主な著訳書等:笠原順路編『地誌から叙情へ──イギリス・ロマン主義の源流をたどる』(共著,明星大学出版部,2004),『ロマンティック・エコロジーをめぐって』(共著,英宝社,2006).ジョナサン・ベイト著『ロマン派のエコロジー──ワーズワスと環境保護の伝統』(共訳,松柏社,2000).『復刻選集 英国湖水地方への旅』,全6巻(編集と解説,ユーリカ・プレス,2008).

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

旅行者への提案と情報
湖水地方の景色について
  第一部 自然により形作られたこの地方の景観
  第二部 住民の影響を受けて生じたこの地方の様相
  第三部 変化とその悪影響を防ぐための趣味の規制
様々な留意点
遠 出
頌 歌
旅 程

  訳 注
  訳者解説
  訳者あとがき
  索 引

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