ものと人間の文化史 135
石干見(いしひみ)

四六判 / 332ページ / 上製 / 価格 3,850円 (消費税 350円) 
ISBN978-4-588-21351-9 C0320 [2007年02月 刊行]

内容紹介

沿岸部に石垣を築き,潮汐作用を利用して漁獲する原初的漁法を,日・韓・台に残る遺構と伝承の調査・分析をもとに復元し,東アジアの伝統的漁撈文化を浮彫にする。

目次

 はじめに――東アジアの石干見文化

第一章 石干見の分布 田和正孝
 一 石干見
 二 東アジアの石干見
 三 東南アジアの石干見
 四 太平洋の石干見
 五 その他の地域

第二章 石干見の形態を構造
 一 石干見の形態
 二 石干見の類型化
 三 石干見と潮差との関係

第三章 石干見の所有と用益
 一 個人所有の石干見とその用益
 二 共同所有の石干見とその用益

第四章 沖縄・小浜島の石干見 矢野敬生・中村敬
 一 はじめに
 二 小浜島の概観
 三 小浜島における垣(石干見)の名称と分布
 四 垣の形態および構造
 五 垣における漁撈活動
 六 垣の経済的価値
 七 垣をめぐる法的諸関係
 八 垣をめぐる宗教的慣行
 九 おわりに

第五章 奄美諸島および五島列島の石干見漁撈 水野紀一
 一 奄美諸島および五島列島における石干見の分布
 二 奄美諸島の石干見漁撈
 三 五島列島の石干見

第六章 韓国の石干見漁撈
 一 はじめに
 二 石干見の沿革
 三 慶尚南道南海郡南海島における石干見の分布と構造
 四 済州島における石干見の分布と構造
 五 忠清南道泰安郡における石干見の分布と構造
 六 全羅南道新安郡における石干見の分布と構造
 七 地域別にみた石干見の操業形態
 八 おわりに

第七章 澎湖列島における石滬の研究
 一 はじめに
 二 白沙郷吉貝 の石滬
 三 馬公市五徳里の石滬
 四 西 郷赤馬村の石滬
 五 おわりに

第八章 澎湖列島における石干見漁業史 田和正孝
 一 はじめに
 二 石滬に関する古記録――期限と伝播経路をめぐって
 三 日本統治時代の石滬に関する記録
 四 終戦後から一九八〇年代までの石滬研究
 五 石滬に対する新たな意味の付与
 六 おわりに

第九章 澎湖列島吉貝 における石滬の漁場利用 田和正孝
 一 はじめに
 二 石滬漁業の技術と形態
 三 吉貝 における石滬の利用
 四 漁場利用の分析――くじ順と漁獲量に関する仮説
 五 おわりに

第十章 東アジアの石干見研究――まとめと課題 田和正孝
 一 東アジアの石干見分布圏
 二 中国における石干見の記録
 三 石干見の技術
 四 石干見の所有と利用・漁獲物の分配
 五 石干見の保存と再生

 参考文献
 あとがき