記憶と記録のなかの渋沢栄一

A5判 / 348ページ / 上製 / 価格 5,500円 (消費税 500円) 
ISBN978-4-588-32705-6 C3020 [2014年08月 刊行]

内容紹介

日本資本主義の父と呼ばれ、銀行や証券取引所、ホテルなど500を超す企業の設立・経営に関わり、社会活動にも熱心だったという実業家・渋沢栄一。そのイメージはいかに作られてきたのか。郷里での評判、伝記や小説、銅像や肖像画、新聞やネットにいたるまで、さまざまなメディアを検証し、文化史の観点から読み解く。第一線の研究者10名による論文集。

著訳者プロフィール

平井 雄一郎(ヒライ ユウイチロウ)

1963年生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位修了。渋沢研究会会員(日本近現代史、歴史学)。主な業績:「宮川量と桜井方策、二つの「日本癩病史」──「現場」の「当事者」によるハンセン病史叙述を考える」『国立ハンセン病資料館研究紀要』第3号、2012年、「『帝都物語』と二つの「都市史」──劇映画による歴史叙述の転義法」『歴史評論』第753号、2013年ほか。

高田 知和(タカダ トモカズ)

1962年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学。東京国際大学人間社会学部教授(社会学)。主な業績:『牛久市史近現代II』(共著)牛久市、2003年、『財団法人埼玉学生誘掖会百年史──ある学生寮と寮生の青春譜』(共著)埼玉学生誘掖会、2004年、『社会学が拓く人間科学の地平──人間を考える学問のかたち』(共著)五絃舎、2005年、『組織と情報の社会学』(共著)文化書房博文社、2007年、「戦前戦中期農村青年の災害経験──農村青年の日記を読む(5)」『東京国際大学論叢 人間社会学部編』第19号、2014年ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 「渋沢栄一」という「意味」への招待 (平井雄一郎)

第 I 部 「渋沢栄一その人」から「渋沢栄一像」へ
渋沢敬三による渋沢栄一の顕彰──方法的な側面から (鶴見太郎)
近代日本における「実業」の位相──渋沢栄一を中心に (佐藤健二)
郷里からみた渋沢栄一──歴史と地域社会の一側面 (高田知和)

第 II 部 「渋沢栄一像」、その生成・展開・変遷
二五人の渋沢栄一──銅像からゆるキャラまで (木下直之)
渋沢栄一、流通する肖像 (菊池哲彦)
渋沢栄一の「事実/真実」から「存在の謎」へ (平井雄一郎)
イメージの収斂と拡散──多様化するメディアと渋沢像 (中村宗悦)

第 III 部 渋沢栄一をめぐるアーカイブズの過去・現在・未来
ブリコルールへの贈り物ができるまで──『渋沢栄一伝記資料』生成の背景 (山田仁美)
『渋沢栄一伝記資料』を紙から解き放つ (小出いずみ)
渋沢史料館というテクノロジー (井上 潤)

渋沢栄一、九一年の生涯 (井上 潤)
あとがき
索引

[著者紹介] *は編者

平井 雄一郎(ヒライ ユウイチロウ)*

高田 知和(タカダ トモカズ)*

鶴見 太郎(ツルミ タロウ)
1965年生まれ。早稲田大学文学学術院教授(日本近現代史)。主な業績:『橋浦泰雄伝』晶文社、2000年、『民俗学の熱き日々』中公新書、2004年、『柳田国男入門』角川選書、2008年、『座談の思想』新潮選書、2013年ほか。

佐藤 健二(サトウ ケンジ)
1957年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授(社会学)。主な 業績:『読書空間の近代』弘文堂、1987年、『風景の生産・風景の解放』講談社、1994年、『流言蜚語』有信堂高文社、1995年、『歴史社会学の作法』岩波書店、2001年、『社会調査史のリテラシー』新曜社、2011年、『ケータイ化する日本語』大修館書店、2012年 ほか。

木下 直之(キノシタ ナオユキ)
1954年生まれ。東京大学大学院人文社会系研究科教授(文化資源学)。主な業績:『美術という見世物』平凡社、1993年、『写真画論』岩波書店、1996年、『世の途中から隠されていること』晶文社、2002年、『わたしの城下町』筑摩書房、2007年、『股間若衆』新潮社、2012年、『戦争という見世物』ミネルヴァ書房、2013年、『銅像時代』岩波書店、2014年ほか。

菊池 哲彦(キクチ アキヒロ)
1969年生まれ。尚絅学院大学総合人間科学部准教授(社会学)。主な業績:『文化社会学入門──テーマとツール』(共著)ミネルヴァ書房、2010年、『フラット・カルチャー──現代日本の社会学』(共著)せりか書房、 2010年、『無印都市の社会学──どこにでもある日常空間をフィールドワークする』(共著)法律文化社、2013年ほか。

中村 宗悦(ナカムラ ムネヨシ)
1961年生まれ。大東文化大学経済学部教授(日本経済史)。主な業績:『昭和恐慌の研究』(共著)東洋経済新報社、2004年、『経済失政はなぜ繰り返すのか』東洋経済新報社、2005年、『バブル/デフレ期の日本経済と経済政策(歴史編)2』(共著)内閣府経済社会総合研究所、2011年、『テキスト日本経済』(編著)学文社、2013年ほか。

山田 仁美(ヤマダ ヒトミ)
1960年生まれ。渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター専門司書。主な業績:“Digital The Travel Bulletin”(電子復刻・制作統括)日本郵船歴史博物館、2005年、『アーカイブのつくりかた』(共著)勉誠出版、2012年ほか。

小出 いずみ(コイデ イズミ)
1950年生まれ。公益財団法人渋沢栄一記念財団実業史研究情報センター長。主な業績:『アーカイブへのアクセス──日本の経験、アメリカの経験』(共編著)日外アソシエーツ、2008年、“Locating Primary Source Materials in Japanese Archival Institutions,” Journal of East Asian Libraries, No. 151, June 2010, 『現代日本の図書館構想──戦後改革とその展開』(共著)勉誠出版、2013年ほか。

井上 潤(イノウエ ジュン)
1959年生まれ。公益財団法人渋沢栄一記念財団渋沢史料館館長。主な業績:『新時代の創造 公益の追求者・渋沢栄一』(共著)山川出版社、1999年、『地域開発と村落景観の歴史的展開──多摩川中流域を中心に』(共著)思文閣出版、2011年、『渋沢栄一──近代日本社会の創造者』山川出版社、2012年ほか。

書評掲載

「週刊読書人」(2014年8月22日付)に紹介されました。

「出版ニュース」(2014年10月上旬号)に紹介されました。

「社会経済史学」(2016年5月Vol.82,No.1号/島田昌和氏・評)に紹介されました。

関連書籍

『イメージの哲学』
F.ダゴニェ:著
『王の肖像』
L.マラン:著