リヒャルト・ワーグナー(ワーグナー,R.)
(Richard Wagner)
19世紀ドイツの作曲家・指揮者。ロマン派歌劇の頂点として「歌劇王」の別名で知られる。理論家・文筆家としても知られ、音楽界だけでなく19世紀後半のヨーロッパに広く影響を及ぼした。1813年、ライプツィヒに生まれる。1831年、ライプツィヒ大学に入学して哲学や音楽を学び、翌1832年には交響曲第1番ハ長調を完成させた。1839年パリへ移住するが認められることはなく、1842年ドイツに帰る。1849年、ドレスデンで起こったドイツ三月革命の革命運動に参加するが、運動は失敗したため指名手配され、チューリヒへ逃れて数年間を過ごす。本書収録の論考はこの亡命期間中に執筆された。1864年、バイエルン国王ルートヴィヒ2世から招待を受ける。しかし、すでに噂となっていたリストの娘で指揮者ハンス・フォン・ビューローの妻だったコジマとの仲を王も快く思わなかったことから、翌年スイスへ移り、ルツェルン郊外の邸宅に住んだ。1872年、バイロイトへ移住し、ルートヴィヒ2世の援助を受けて、彼自身の作品のためのバイロイト祝祭劇場の建築を始め、1876年に完成した。1882年、最後の作品となった舞台神聖祝典劇『パルジファル』を完成。このころには祝祭劇場と彼の楽劇はヨーロッパの知識人の間で一番の関心の的となった。1883年2月13日、ヴェネツィアへの旅行中、客死。
三光 長治(サンコウ ナガハル)
1928年,広島生まれ。京都大学文学部独文科卒業、愛知大学講師、神戸大学助教授、埼玉大学教授、神戸松蔭女子学院大学教授を歴任し、現在、埼玉大学名誉教授。日本ワーグナー協会理事を経て現在、評議員。62~64年ミュンヘン大学に留学。
主要著書:『エルザの夢──新しいワーグナー像を求めて』*、『アドルノのテルミノロギー』*、『ワーグナー』(新潮社),『知られざるワーグナー』*、『晩年の思想──アドルノ、ワーグナー,鏡花など』*、『大島洋写真集 リヒャルト・ワーグナー』(国書刊行会)。
編著:『ミュンヘン 輝ける日々』(国書刊行会)、『ワーグナー事典』(東京書籍)。『フランクフルト学派再考』共著(弘文堂)、『アドルノ批判のプリズム』共著(平凡社)。
主要訳書:アドルノ『楽興の時』共訳(白水社)、『ゾチオロギカ』共訳(平凡社)、『文学ノート1、2』共訳(みすず書房)、『不協和音』共訳(平凡社)、『ミニマ・モラリア』*、ヴェステルンハーゲン『ワーグナー』共訳(白水社)、『ワーグナー著作集 第一巻、第三巻、第五巻』監修・共訳(第三文明社)、ワーグナー『トリスタンとイゾルデ』『ラインの黄金』『ヴァルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』共訳(白水社)、コジマ・ワーグナー『コジマの日記1、2』共訳(東海大学出版会)。*は法政大学出版局刊。
杉谷 恭一(スギタニ キョウイチ)
1948年,東京生まれ。東京大学大学院修士課程(独文学専攻)修了、77~79年ボン大学、マインツ大学に留学。現在、熊本大学教授。
主要著書:『ワーグナー事典』編集委員(東京書籍)。
主要訳書:アルノー・ホルツ、ヨハネス・シュラーフ『ドイツ徹底自然主義作品集』共訳(三修社)、『ワーグナー著作集 第三巻』共訳(第三文明社)、リーデル『ニーチエ思想の歪曲』共訳(白水社)、ワーグナー『鳶色の本』抄訳、年刊ワーグナー・フォーラム(東海大学出版会)。
藤野 一夫(フジノ カズオ)
1958年、東京生まれ。学習院大学大学院博士後期課程(哲学専攻)修了、ハイデルベルク大学に留学現在、神戸大学大学院国際文化学研究科教授(芸術文化論コース)、ベルリン自由大学高等研究所フェロー、文化経済学会〈日本〉理事、日本文化政策学会理事、(公益財団)びわ湖ホール理事、日本ワーグナー協会理事。
主要著書:『ワーグナー事典』編集委員(東京書籍)、『市民活動論』共著(有斐閣)、『ドイツ文化史への招待』共著(大阪大学出版会)、『芸術が生まれる場』共著(東信堂)、『ブラームス』共著(洋泉社)。
編著:『公共文化施設の公共性』(水曜社)。
高辻 知義(タカツジ トモヨシ)
1937年、東京生まれ。東京大学文学部独文学科卒業、同大学院修士課程を修了し、ベルリン自由大学に留学。フランクフルト大学で日本語科講師を務める。東京大学教養学部教授、同大学院総合文化研究科教授、九州産業大学教授を歴任し、現在、東京大学名誉教授、九州産業大学名誉教授、日本ショーペンハウアー協会会長、日本ワーグナー協会評議員。
主要著書:『ドイツ文学史』共著(東京大学出版会)、『ワーグナー』(岩波書店)、『ヨーロッパ・ロマン主義を読み直す』共著(岩波書店)、『新コンサイス独和辞典』共著(三省堂)。
編著:『ワーグナー事典』(東京書籍)。
主要訳書:ヴェステルンハーゲン『ワーグナー』共訳(白水社)、ベーム『回想のロンド』(同)、エンドラー『カール・ベーム』(同)、アドルノ『音楽社会学序説』『不協和音』共訳(平凡社)、テーリヒェン『フルトヴェングラーかカラヤンか』(音楽之友社)、ワーグナー『さまよえるオランダ人』『タンホイザー』『ローエングリン』『トリスタンとイゾルデ』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』『パルジファル』(新書館)、『新定訳タンホイザー』共訳(第三文明社)、『ワーグナー著作集 第一巻,第五巻』共訳(第三文明社)、『トリスタンとイゾルデ』『ラインの黄金』『ヴァルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』共訳(白水社)、『タンホイザー』『トリスタンとイゾルデ』『ニュルンベルクのマイスタージンガー』『ラインの黄金』『ヴァルキューレ』『ジークフリート』『神々の黄昏』『ローエングリン』(音楽之友社)。
杉谷恭一訳
未来の芸術作品(1850)
藤野一夫訳
未来の芸術家像──コミュニズムの原理によせて(1849)
三光長治訳
友人たちへの伝言(1851)
藤野一夫・高辻知義・三光長治・杉谷恭一訳
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フォイエルバッハ時代のワーグナーの思想 藤野一夫
あとがきに代えて──書斎人・ワーグナー 三光長治