ティエリ・グルンステン(グルンステン,T.)
(Thierry Groensteen)
1957年ベルギー生まれ。『バンド・デシネのシステム』で博士号取得(トゥールーズ第二大学)。『カイエ・ドゥ・ラ・バンド・デシネ』誌やバンド・デシネの専門誌『九番目の芸術』の編集に携わり、CNBDI(国立マンガ・映像センター)のディレクターを務めた。『タンタンの笑い』、『未確認文化物体』、『バンド・デシネ使用法』などマンガに関する著作も多く、各種イベントの企画、大学で教鞭をとるなど、精力的に活動している。邦訳に『線が顔になるとき──バンドデシネとグラフィックアート』(人文書院)、『マンガのシステム──コマはなぜ物語になるのか』(上記博士論文、青土社)がある。
ブノワ・ペータース(ペータース,B.)
(Benoît Peeters)
1956年パリ生まれ。2冊の小説を出版した後、1980年代から幼なじみのフランソワ・スクイテンとともに『闇の国々』シリーズを手掛け、以後、BDの原作者として活躍。同シリーズは10の言語に訳され、数々の賞を受賞した。BD以外にもエッセイ、評伝、映画、テレビ、ラジオドラマの制作など多岐にわたる活動を展開。『タンタンの冒険』の作家エルジェや、哲学者ジャック・デリダの伝記作者としても著名。邦訳に『闇の国々 I〜IV』(古永真一・関澄かおる・原正人訳、小学館集英社プロダクション)、『東京は僕の庭』(フレデリック・ボワレ画、光琳社出版)などがある。
古永 真一(フルナガ シンイチ)
1967年生まれ。パリ第七大学留学を経て早稲田大学文学研究科博士後期課程修了。首都大学東京准教授。フランス文学。著書に『ジョルジュ・バタイユ 供犠のヴィジョン』(早稲田大学出版部)、『BD 第九の芸術』(未知谷)、訳書にバタイユ『聖なる陰謀』(共訳、ちくま学芸文庫)、グルンステン『線が顔になるとき』(人文書院)、『イビクス』(国書刊行会)、スクイテン『ラ・ドゥース』、トッピ『シェヘラザード』(小学館集英社プロダクション)、ロファ『アニメとプロパガンダ』(共訳、法政大学出版局)ほか。
原 正人(ハラ マサト)
1974年生まれ。学習院大学人文科学研究科フランス文学専攻博士前期課程修了。バンド・デシネ翻訳者。訳書にホドロフスキー&メビウス『アンカル』(小学館集英社プロダクション)、フレデリック・ペータース『青い薬』(青土社)、アルチュール・ド・パンス『カニカニレボリューション』(飛鳥新社)、チョヤス&ド・クレシー『フォリガット』(パイインターナショナル)ほか多数。『はじめての人のためのバンド・デシネ徹底ガイド』(玄光社)監修。
森田 直子(モリタ ナオコ)
1968年生まれ。東北大学大学院情報科学研究科准教授。文字と図像の物語メディア史、フランス語圏文学、文学理論。論文に「新ジャンルの擁護と顕揚──ロドルフ・テプフェール「版画文学」論の背景」(『フランス語フランス文学研究』97)ほか、訳書にテプフェール『復刻版 観相学試論』(オフィスヘリア)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。略伝
I 顔と線──テプフェール的ジグザグ
(ブノワ・ペータース/古永真一訳)
観相学の再発見
ラヴァーターからダーウィンへ──観相学小史
バルザックからテプフェールへ──観相学のよき活用法
新たな言語
グランヴィルからテプフェールへ──混交形式
テプフェールからメビウスへ──鉛筆の予測不可能性
リーニュ・クレールの源泉へ
テプフェールからカムへ──絶妙な不器用さ
テプフェールからエルジェへ──可読性の礼讃
写真あるいは線のない顔
ダゲールからテプフェールへ──自然の画筆
ジェロームからナダールへ──類似性
テプフェールからベルティヨンへ──同一性
自由への思考
II ある芸術の誕生
(ティエリ・グルンステン/原 正人訳)
1830年以前のカリカチュアと民衆版画
ローランドソンとホガース
ヨーロッパのカリカチュアをめぐる状況
アダンからロドルフへ
テプフェール氏がマンガを発明する
あるジャンルの成熟
転写石版──定義と利点
作品ページという空間
主人公と類型
なぜ観相学なのか?
マンガはテプフェールの後継者?
版画物語の経歴
最初の模倣者たち
道を誤った後継者カム
「版画」からコミックへ
クリストフがくすぶっていた火を再び熾す
生きているテプフェール
III テプフェール自身の語るテプフェール(森田直子訳)
ある実施要綱に関する考察
『ジャボ氏の物語』への注記
『ジャボ氏の物語』海賊版に関する注記
『転写石版試作集』への注記
カムとの往復書簡
観相学試論
補遺 テプフェールのマンガ(原 正人訳)
文献一覧
訳者あとがき
人名索引
書評掲載
「北國新聞」「山梨日日新聞」(2014年5月25日付)、「沖縄タイムス」(2014年5月31日付)、「秋田魁新報」「下野新聞」「山陽新聞」「山陰中央新報」「愛媛新聞」「琉球新報」(2014年6月1日付)、「京都新聞」「佐賀新聞」(2014年6月8日付)、「新潟日報」(2014年6月15日付)、「山形新聞」(2014年6月29日付)、「静岡新聞」(2014年7月13日付/以上、岩下朋世氏・評)に紹介されました。
「出版ニュース」(2014年6月下旬号)て紹介されました。
「週刊読書人」(2014年6月27日号/小野耕世氏・評)に紹介されました。