全体主義を生みかつ生み続けた20世紀の思想経験を政治、文学、美術の諸相からとらえる。追放と絶滅の運動体としての全体主義は人間の思考をもはや不可能とし、絶望しか残さないものであったが、20世紀の思考実験、文化的基礎、運動=言説にせまることにより、絶望のなかにあってなお可能性を展望する。各分野の中堅研究者が集まり、数年間にわたり行なった共同研究の成果。
細井 保(ホソイ タモツ)
法政大学法学部教授
※上記内容は本書刊行時のものです。第1部 思考実験
第1章 なぜアーレントは戦後ドイツ語で「書く」ことができたのか (矢野久美子)
一 戦後の出会い
二 ヤスパースをつうじて
三 書くことによる「帰郷」
四 個から個へ
第2章 自発的隷従とは何か──ラ・ボエシー『反一者論(コントラン)』をめぐって (大中一彌)
はじめに 自発的隷従は悪か
一 自然本性としての自由
二 僭主政下における人間
三 支配のメカニズム
おわりに 知識人と言説の役割
第2部 文化的基礎
第3章 「合言葉」と声の“Popularity”──「本能」をめぐって (木戸雄一)
一 はじめに
二 「本能」と美的生活論争
三 「美的生活を論ず」の方法
四 「馬骨人言」の方法
五 おわりに
第4章 私が私であり続けるためにあなたと共に生きる──強制収容所の女性サヴァイヴァーは苦境をどう生き抜いたのか (紺野茂樹)
一 問題設定
二 強制収容所の目的は被収容者の死
三 アウトカースト、アウトサイダー、インサイダー
四 女性サヴァイヴァーの新しい「家族」
五 非家父長制的「家族」の歴史的先駆としてのイエスたちのプロジェクト
六 苦境を共に生き抜いた「家族」をどう解釈し、そこから何を導き出せるか
第5章 アーシル・ゴーキーとシュルレアリスム (平野千枝子)
はじめに アーシル・ゴーキーと二〇世紀の経験
一 ゴーキーとシュルレアリスム
1 シュルレアリスムとの出会い
2 亡命期のシュルレアリスム
二 触媒としてのシュルレアリスム
1 コーコムとソチ ミロによる解放
2 自由なアナロジー ゴーキーのシュルレアリスムとブルトンの評価
3 ゴーキーとオートマティスム
終わりに
第3部 運動=言説
第6章 エリック・フェーゲリンの政治神学
はじめに
一 キリストの神秘体
1 キリストの王国
2 個別共同体
二 政治宗教
1 錯綜する宗教と政治の関係
2 世界内的宗教
三 グノーシス主義
1 三層化される政治における代表
2 グノーシス主義
むすび
第7章 非暴力の力とは何か──ガンディーのサッティヤーグラハから考える (福本圭介)
一 暴力・自治・サッティヤーグラハ
二 非暴力による暴力からの脱出
三 植民地主体と暴力
四 魂の力
五 非暴力的非協力
六 予示の政治、あるいは、種子になること
七 対抗権力
八 結び
あとがき
第1章 なぜアーレントは戦後ドイツ語で「書く」ことができたのか (矢野久美子)
一 戦後の出会い
二 ヤスパースをつうじて
三 書くことによる「帰郷」
四 個から個へ
第2章 自発的隷従とは何か──ラ・ボエシー『反一者論(コントラン)』をめぐって (大中一彌)
はじめに 自発的隷従は悪か
一 自然本性としての自由
二 僭主政下における人間
三 支配のメカニズム
おわりに 知識人と言説の役割
第2部 文化的基礎
第3章 「合言葉」と声の“Popularity”──「本能」をめぐって (木戸雄一)
一 はじめに
二 「本能」と美的生活論争
三 「美的生活を論ず」の方法
四 「馬骨人言」の方法
五 おわりに
第4章 私が私であり続けるためにあなたと共に生きる──強制収容所の女性サヴァイヴァーは苦境をどう生き抜いたのか (紺野茂樹)
一 問題設定
二 強制収容所の目的は被収容者の死
三 アウトカースト、アウトサイダー、インサイダー
四 女性サヴァイヴァーの新しい「家族」
五 非家父長制的「家族」の歴史的先駆としてのイエスたちのプロジェクト
六 苦境を共に生き抜いた「家族」をどう解釈し、そこから何を導き出せるか
第5章 アーシル・ゴーキーとシュルレアリスム (平野千枝子)
はじめに アーシル・ゴーキーと二〇世紀の経験
一 ゴーキーとシュルレアリスム
1 シュルレアリスムとの出会い
2 亡命期のシュルレアリスム
二 触媒としてのシュルレアリスム
1 コーコムとソチ ミロによる解放
2 自由なアナロジー ゴーキーのシュルレアリスムとブルトンの評価
3 ゴーキーとオートマティスム
終わりに
第3部 運動=言説
第6章 エリック・フェーゲリンの政治神学
はじめに
一 キリストの神秘体
1 キリストの王国
2 個別共同体
二 政治宗教
1 錯綜する宗教と政治の関係
2 世界内的宗教
三 グノーシス主義
1 三層化される政治における代表
2 グノーシス主義
むすび
第7章 非暴力の力とは何か──ガンディーのサッティヤーグラハから考える (福本圭介)
一 暴力・自治・サッティヤーグラハ
二 非暴力による暴力からの脱出
三 植民地主体と暴力
四 魂の力
五 非暴力的非協力
六 予示の政治、あるいは、種子になること
七 対抗権力
八 結び
あとがき
[執筆者紹介] (執筆順)
矢野 久美子 (ヤノ クミコ) フェリス女学院大学国際交流学部教授
大中 一彌 (オオナカ カズヤ) 法政大学国際文化学部教授
木戸 雄一 (キド ユウイチ) 大妻女子大学文学部准教授
紺野 茂樹 (コンノ シゲキ) 関東学院大学看護学部非常勤講師他
平野 千枝子 (ヒラノ チエコ) 山梨大学大学院教育学研究科准教授
細井 保 (ホソイ タモツ) 法政大学法学部教授
福本 圭介 (フクモト ケイスケ) 新潟県立大学国際地域学部講師
矢野 久美子 (ヤノ クミコ) フェリス女学院大学国際交流学部教授
大中 一彌 (オオナカ カズヤ) 法政大学国際文化学部教授
木戸 雄一 (キド ユウイチ) 大妻女子大学文学部准教授
紺野 茂樹 (コンノ シゲキ) 関東学院大学看護学部非常勤講師他
平野 千枝子 (ヒラノ チエコ) 山梨大学大学院教育学研究科准教授
細井 保 (ホソイ タモツ) 法政大学法学部教授
福本 圭介 (フクモト ケイスケ) 新潟県立大学国際地域学部講師
A.ジッド・他著/相磯佳正・他編訳『文化の擁護』
E.モラン著/秋枝茂夫訳『二十世紀からの脱出』
E.モラン著/秋枝茂夫訳『二十世紀からの脱出』