連単分離の会計システム
フランスにおける2つの会計標準化

2018年度 グローバル会計学会学会賞
令和元年度 日本会計研究学会 太田・黒澤賞
A5判 / 510ページ / 上製 / 価格 7,150円 (消費税 650円) 
ISBN978-4-588-65510-4 C3033 [2018年09月 刊行]

内容紹介

市場メカニズムを重視するアングロ・サクソン的思考にもとづいた「国際会計基準/国際財務報告基準(IAS/IFRS)」がグローバル・スタンダード化する一方、それとは異なる独自の会計システムを追求してきたフランス。個別会計と連結会計の次元を二元化してきた伝統的モデルは歴史的にどのように形成され、時代の要請に対応してきたのか。今日の世界経済の多様性を知るための稀少な研究。

著訳者プロフィール

大下 勇二(オオシタ ユウジ)

1954年香川県生まれ。法政大学経営学部教授。博士(経営学)(法政大学)。神戸商科大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得満期退学。1983年法政大学経営学部研究助手、専任講師、助教授を経て1995年教授、2004年経営学部長。日本社会関連会計学会理事、グローバル会計学会理事、国際会計研究学会元理事、元中小企業診断士試験委員、元公認会計士試験委員。主な著書に『フランス財務報告制度の展開』(多賀出版、1998年)、共著に『プラン・コンタブルの国際比較』(野村健太郎編著、中央経済社、2005年)、共訳に『フランス会計原則』(同文舘、1984年)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次


略語一覧

序章 2つの会計標準化
1.フランスにおける会計標準化
2.連結会計基準の複合化と連単分離
3.会計標準化の旧システムから新システムへの移行

第1章 プラン・コンタブル・ジェネラルとその特徴
1.会計データの標準化とオペレーショナル性
2.一般的性格の共通基準と勘定システムの役割
3.マクロ経済指向の計算構造

第2章 国家会計審議会とその特徴――1957年CNCシステム
1.国家会計審議会の1957年CNCシステムの特徴
2.1957年CNCシステムと協議の組織
3.政府/経済・財務省による強い関与と官僚主導の運営
4.関係領域の拡大と1957年CNCシステムの特徴

第3章 プラン・コンタブル・ジェネラルの適用とその特徴
1.PCGの適用の仕組み
2.PCGによる企業課税システムの整備
3.PCGの一般化と企業利益課税制度

第4章 プラン・コンタブル・ジェネラルと商法・会社法
1.旧商法・会社法の会計規制とPCGの適用
2.1983年調和化法とPCGの法的位置づけ
3.PCGに対する1983年調和化法改正商法・会社法の影響

第5章 プラン・コンタブル・ジェネラルと税法
1.PCG 以前の課税利益計算
2.1965年税法デクレとPCG
3.接続性の原則とPCGの一般基準化
4.課税利益計算におけるPCGの一般基準化の影響

第6章 連結会計基準の特徴
1.連結会計先進国の制度・実務の影響
2.連結会計基準の作成における会計専門家主導
3.株主・第三者に対する情報提供の目的
4.計算構造のマクロ経済指向性

第7章 連結会計基準の適用とその特徴
1.連結会計基準の適用と商法・会社法
2.連結上の再処理と同質性の原則
3.同質性の原則と連結の会計方針の策定
4.フランス企業による国際的会計実務への対応

第8章 リース会計の標準化と連単分離
1.リース取引の会計処理方法
2.フランスにおけるリース会計規制
3.法的アプローチと財産性の原則
4.連結計算書類における経済的アプローチの導入
5.フランス企業におけるリースの会計実務

第9章 外貨換算会計の標準化と連単分離
1.フランスにおける外貨換算会計方法の変遷
2.個別計算書類に係る外貨換算会計方法
3.連結計算書類に係る外貨換算会計方法
4.フランス企業における換算処理

第10章 税効果会計の標準化と連単分離
1.フランスにおける税効果会計の変遷
2.個別計算書類における税効果会計の導入
3.個別計算書類におけるオン・バランス処理の可能性
4.連結計算書類における税効果会計の導入
5.連結計算書類における繰延税金資産の計上制限
6.フランス企業グループにおける税効果会計の実務

第11章 連結のれん会計の標準化
1.フランスにおける連結のれんの処理方法の変遷
2.フランスにおける連結のれんの処理方法の展開
3.のれんの処理に関する国際比較
4.フランス企業グループにおける連結のれんの処理

第12章 国家会計審議会の組織改革と国際会計基準への対応
1.1957年CNCシステムにおける会計専門家の役割
2.1996年CNCシステムと会計専門家主導体制への転換
3.2007年CNCシステムと新会計規制機関への移行

第13章 会計基準の適用方式の改革と国際会計基準適用の法的枠組み
1.会計基準の適用方式の改革
2.国際会計基準適用の法的枠組みの創設

第14章 連結会計基準のコンバージェンス
1.1986年PCG連結会計原則以降の議論
2.1999年連結会計規則と識別可能資産・負債の認識
3.1999年連結会計規則における識別可能資産・負債の評価
4.1999年連結会計規則における取得差額の処理
5.経済的実質優先思考の導入

第15章 プラン・コンタブル・ジェネラルの現代化
1.PCGのコンバージェンス
2.コンバージェンスの限界とPCGの文字どおりの現代化
3.PCGの現代化の影響

終章 2つの会計標準化と連単分離の会計システム
1.マクロ的な国家のニーズと個別会計次元の会計標準化
2.ミクロ的な株主・投資者のニーズと連結会計次元の会計標準化
3.新会計標準化システムと国際会計基準への対応
4.2つの会計標準化が残したもの

参考文献

書評掲載

「企業会計」(2019年3月号/菊谷正人氏・評)に紹介されました。

「産業經理」(Vol.79 No.1 2019年4月25日発行/藤田晶子氏・評)に紹介されました。