十五年戦争下に行われた能・謡に対する弾圧の実態を詳細に跡づけ、この史実に立って大成期猿楽能の思想的基調を逆照射する。即ち、皇室・武士・女性・貴族等の取りあげ方、地獄の業苦、生きる悲哀感の描写等を謡曲の詞章に辿り、鎌倉新仏教との思想的連関、人間存在の根源に鋭く迫る視座、「否定の論理」の伏在、等々を的確明快に指摘する注目の書下し論考。
家永 三郎(イエナガ サブロウ)
1913年生。1937年東京帝国大学文学部国史学科卒業、東京教育大学教授、中央大学教授を経て、東京教育大学名誉教授。文学博士。主な著書に、『日本思想史に於ける否定の論理の発達』『日本文化史』『植木枝盛研究』『美濃部達吉の思想史的研究』『日本近代憲法思想史研究』『田辺元の思想史的研究』『戦争と教育をめぐって』『教科書検定』『一歴史学者の歩み』、編著『日本憲法学の源流』、その他がある。
※上記内容は本書刊行時のものです。 まえがき
前編 十五年戦争下の能・謡に対する弾圧
第一章 事実の経過
第二章 戦時下能楽界の時流同調
第三章 能・謡弾圧は何を示唆するか
後編 大成期猿楽能の思想史的考察
第一章 猿楽能の思想傾向に関するこれまでの見方
第二章 主として謡曲の詞章に拠る猿楽能の思想的基調の考察
一 天下国家の祝寿
二 皇室の取りあげ方の考察
三 武士の取りあげ方の考察
四 殺生を生計とする人々の取りあげ方の考察
五 女性の取りあげ方の考察
六 貴族の取りあげ方の考察
七 地獄の描写
八 生きる悲哀
九 解脱成仏の世界から
第三章 結論
前編 十五年戦争下の能・謡に対する弾圧
第一章 事実の経過
第二章 戦時下能楽界の時流同調
第三章 能・謡弾圧は何を示唆するか
後編 大成期猿楽能の思想史的考察
第一章 猿楽能の思想傾向に関するこれまでの見方
第二章 主として謡曲の詞章に拠る猿楽能の思想的基調の考察
一 天下国家の祝寿
二 皇室の取りあげ方の考察
三 武士の取りあげ方の考察
四 殺生を生計とする人々の取りあげ方の考察
五 女性の取りあげ方の考察
六 貴族の取りあげ方の考察
七 地獄の描写
八 生きる悲哀
九 解脱成仏の世界から
第三章 結論