ダーウィンの進化のモデルは、もともとは種の間にヒエラルキーをもたらす系統樹ではなく、無秩序に枝分かれし、絶滅した種と生存する種を同時にあらわすことのできる珊瑚(サンゴ)であった。初期のスケッチや覚え書の分析を通してその事実に迫り、進化生物学に再考をうながすとともに、自然科学におけるイメージの意味、知の構築においてイメージが持ちうる可能性を掘り起こした意欲的な論考。〔図像学・進化生物学〕
H.ブレーデカンプ(ブレーデカンプ ホルスト)
1947年生まれ.ベルリン・フンボルト大学教授(美術史).著書に『ボッティチェリ《プリマヴェーラ》』(1988 邦訳・三元社),『古代憧憬と機械信仰』(1993 邦訳・法政大学出版局),『フィレンツェのサッカー』(1993 邦訳・法政大学出版局),『トマス・ホッブズのヴィジュアル戦略』(1999),『モナドの窓』(2004 邦訳・産業図書),『芸術家ガリレイ』(2007)など.また,2003年から学術雑誌『知のイメージ世界』の編者もつとめている.
濱中 春(ハマナカ ハル)
1969年生まれ.法政大学社会学部准教授(ドイツ文学).共訳書に『ハンス・カロッサ全集』第4巻(臨川書店),バッハフィッシャー『ヨーロッパ中世放浪芸人の文化史』(明石書店)など.
※上記内容は本書刊行時のものです。 はじめに 1
Ⅰ 拾得物(1834年) 5
Ⅱ 樹から珊瑚へ(1837年) 11
一 樹のモデル 12
二 最初のスケッチ 21
三 珊瑚のモデル 25
Ⅲ ストリックランドの対案(1840年) 41
一 メタファー批判 42
二 樹から地図へ 45
三 地図のモデル 47
Ⅳ 円環のスケッチからダイアグラムへ
(1851-1858年) 51
一 円の切片 52
二 ウォレスへの返答 61
三 原モデルの精密さ 68
Ⅴ 『種の起源』の図版(1859年) 81
一 形 82
二 意味論上の欠落 87
三 珊瑚としての進化 92
Ⅵ 珊瑚の博物学 99
一 変容のわざ 100
二 珊瑚人気とアクアリウム 105
三 ダーウィンにおける芸術家としての
珊瑚のイメージ 110
Ⅶ 進化と美の問題 117
一 ヘッケルの樫の木 118
二 樹の限界 122
三 余剰の眼 126
おわりに 129
原 注 133
参考文献 151
図版出典 169
訳者あとがき 173
人名索引 185
Ⅰ 拾得物(1834年) 5
Ⅱ 樹から珊瑚へ(1837年) 11
一 樹のモデル 12
二 最初のスケッチ 21
三 珊瑚のモデル 25
Ⅲ ストリックランドの対案(1840年) 41
一 メタファー批判 42
二 樹から地図へ 45
三 地図のモデル 47
Ⅳ 円環のスケッチからダイアグラムへ
(1851-1858年) 51
一 円の切片 52
二 ウォレスへの返答 61
三 原モデルの精密さ 68
Ⅴ 『種の起源』の図版(1859年) 81
一 形 82
二 意味論上の欠落 87
三 珊瑚としての進化 92
Ⅵ 珊瑚の博物学 99
一 変容のわざ 100
二 珊瑚人気とアクアリウム 105
三 ダーウィンにおける芸術家としての
珊瑚のイメージ 110
Ⅶ 進化と美の問題 117
一 ヘッケルの樫の木 118
二 樹の限界 122
三 余剰の眼 126
おわりに 129
原 注 133
参考文献 151
図版出典 169
訳者あとがき 173
人名索引 185