叢書・ウニベルシタス 1112
中世ヨーロッパの文化

四六判 / 612ページ / 上製 / 価格 8,580円 (消費税 780円) 
ISBN978-4-588-01112-2 C1322 [2020年05月 刊行]

内容紹介

5世紀から16世紀まで、一千年を超える中世ヨーロッパの文化と社会の概念史。時間、空間を皮切りに、身体、集団、男女関係、生産と分配、戦争、思考、情報伝達、秩序等の多岐にわたって、中世の人々が抱いた概念はいかなるもので、それはどのように変容していったのか、先行研究を踏まえ、批判的に検討しつつ分析した「中世を理解する」ための大著。豊富な図版を収録し、詳細な原注・参考文献・索引を付す

著訳者プロフィール

ハラルド・クラインシュミット(クラインシュミット ハラルド)

(Harald Kleinschmidt)
1949年に生まれる。ゲッチンゲン大学と大学院で歴史を学び、哲学博士号(Ph. D.)を取得したのち、シュトゥットガルト大学と筑波大学の助教授を経て、同大学院人文社会科学研究科教授となった。同研究科の国際政治経済学専攻長などを歴任し、現在、筑波大学名誉教授。専門分野は中世から近世にかけてのヨーロッパの文化と社会の概念史である。主要著書として、本書の他に、国際関係史をテーマとしたGeschichte der internationalen Beziehungen(Reclam, Stuttgart 1998)、The Nemesis of Power(Reaktion Books, London 2000)がある。

藤原 保明(フジワラ ヤスアキ)

1946年三重県伊賀市に生まれる。東京教育大学大学院修士課程修了。筑波大学大学院教授、聖徳大学文学部教授を経て、現在、筑波大学名誉教授・聖徳大学名誉教授。文学博士。専攻:英語史。著書:『古英詩韻律研究』(溪水社)、『古英語の初歩』(英潮社)、『英語の語形成』(英潮社)、『言葉をさかのぼる』(開拓社)など、訳書に『古英詩の世界』(筑波大学)、B. A.ヘニッシュ『中世の食生活』(法政大学出版局 1992、新装版2015)、還暦記念論集に『言葉の絆』(開拓社 2006)がある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

図版一覧
年 表

 序 章

第Ⅰ部 概 論

 1 時間の経験
序/中世初期における時間の測定/中世初期における過去の時間の区切り/中世の隆盛期における時間の新たな経験/過去の時間の動態化
 2 空間の概念
序/中世初期における空間の概念/中世の隆盛期および後期における空間の概念/通常の伝達空間の政治問題化、および日常経験する空間の情緒的な扱い/結び
 3 身体─行動の様式
序/中世初期の他力的行動様式/指導者の脱勝利化/自力的行動様式の出現/結び
 4 集 団
序/血族集団/近隣集団/契約集団/血族集団、近隣集団、および契約集団についてのまとめ/伝統に基づく集団としての政治集団/法律上区別される社会集団/結び
 5 男と女
中世初期の血族集団における二重の血統/二重の系統の血族集団の衰退/女嫌いの風潮の拡大/一一世紀以降の居住用の家庭/結び

第Ⅱ部 行 為

  第Ⅱ部の概要
 6 生産と分配
序/情報網形成の行為としての商取引の出現/常設市場の出現と専従商人の契約集団の形成/ヨーロッパの商取引の拡大/結び
 7 戦 争
序/地位を求めた戦い1/地位を求めた戦いⅡ/神の平和/軍事組織の新兵器、新戦略、および新形式/権力を求めて戦う/結び
 8 思 考
序/記号体系の三角形の歴史的事実/思考の変化、およびそれが語の使用に与えた影響/思考の変化、およびそれが概念の使用に与えた影響/自力的行動様式の思考への導入/結び

第Ⅲ部 情報伝達

  第Ⅲ部の概要
 9 特定の時点での情報伝達
序/中世初期における情報伝達行為の組織化された過程/情報伝達行為の統合された過程の崩壊/印刷/結び
 10 時間を横断する情報伝達
序/過去と未来の間の現在/未来としての過去/未来についての問題/未来の喪失/過去を地球化する/結び
 11 空間を横断する情報伝達
序/移住/旅/結び

第Ⅳ部 秩序のイメージ

  第Ⅳ部の概要
 12 老人と若者
序/年齢階級の組織/血族の支配/許容できる身体の運動、および願望と欲望の表現/結び
 13 支配と代表
序/神に定められた社会・政治環境における秩序の確立と維持と施行/社会・政治環境の非神聖化/結び

 結 章 特定の変化とさまざまな変化
時間、空間、身体、集団、男女/行為、相互作用、秩序/さまざまな変化の概観

訳者あとがき

図版出典
精選参考文献
原 注
略記一覧
索 引