終わりなきデリダ
ハイデガー、サルトル、レヴィナスとの対話

A5判 / 406ページ / 上製 / 価格 3,850円 (消費税 350円) 
ISBN978-4-588-15081-4 C3010 [2016年11月 刊行]

内容紹介

若きデリダはサルトルの書物に魅了され、高等師範学校の講師としてハイデガー講義をおこない、レヴィナス論を執筆した。デリダは彼らの思想をいかに読み、いかに論じたのか。動物、現前、実存、贈与、他者、文学、弁証法、ユダヤ性ほか現代哲学をつらぬく主題をめぐり強靱な思考を展開した四者の思想的布置を気鋭の研究者たちが考察する。デリダの講演「出来事を語ることのある種の不可能な可能性」を収録。

著訳者プロフィール

齋藤 元紀(サイトウ モトキ)

1968年生。高千穂大学教授。現代哲学。著書に『存在の解釈学』(法政大学出版局)、編著に『始まりのハイデガー』(共編、晃洋書房)、『ハイデガー哲学は反ユダヤ主義か』(共編、水声社)、訳書にロックモア『カントの航跡のなかで』(共訳、法政大学出版局)ほか。

澤田 直(サワダ ナオ)

1959年生。立教大学教授。現代哲学・フランス語圏文学。著書に『〈呼びかけ〉の経験』(人文書院)、『ジャン=リュック・ナンシー』(白水社)、編著に『サルトル読本』(法政大学出版局)、訳書にサルトル『真理と実存』(人文書院)ほか。

渡名喜 庸哲(トナキ ヨウテツ)

1980年生。慶應義塾大学准教授。フランス思想。編著に『カタストロフからの哲学』(共編、以文社)、訳書にブーレッツ『20世紀ユダヤ思想家』(全3巻、共訳、みすず書房)、『レヴィナス著作集』(1・2巻、共訳、法政大学出版局)、デリダ『最後のユダヤ人』(未來社)ほか。

西山 雄二(ニシヤマ ユウジ)

1971年生。首都大学東京准教授。フランス思想。著書に『異議申し立てとしての文学』(御茶の水書房)、『哲学への権利』(勁草書房)、編著に『カタストロフィと人文学』(勁草書房)、訳書にデリダ『哲学への権利』(全2巻、共訳、みすず書房)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はじめに(西山雄二)

出来事を語ることのある種の不可能な可能性(ジャック・デリダ/西山雄二・亀井大輔 訳)

 第一部 デリダ×ハイデガー

序(齋藤元紀)
人間/動物のリミトロフィー──ジャック・デリダによるハイデガーの動物論講義(宮崎裕助)
精神と動物について──ハイデガーとデリダ(齋藤元紀)
前代未聞、音声中心主義(川口茂雄)
ハイデガー、デリダ、現前性の形而上学──その「批判」の解明(峰尾公也)
脱構築の継承と「言語の問題」──一九六三──六五年のジャック・デリダ(亀井大輔)

 第二部 デリダ×サルトル

序(澤田 直)
サルトルとデリダ、犬と猫──動物の思考(フランソワ・ヌーデルマン/翠川博之 訳)
ポスト実存主義者としてのジャック・デリダ(西山雄二)
文学と哲学の分有──デリダとサルトルの文学論(澤田 直)
サルトルとデリダの「視覚」(藤本一勇)
デリダとサルトル──脱構築の後、ヒューマニズムについて考える(北見秀司)

 第三部 デリダ×レヴィナス

序(渡名喜庸哲)
犬だけでなく──レヴィナスとデリダの動物誌(オリエッタ・オンブロージ/馬場智一 訳)
暴力と言語と形而上学──「言葉の暴力」をめぐるレヴィナスとデリダの相違と交叉(小手川正二郎)
デリダはレヴィナス化したのか──「暴力と形而上学」から『最後のユダヤ人』まで(渡名喜庸哲)
待期の贈与──モース・デリダ・レヴィナス(藤岡俊博)

「デリダとハイデガー、サルトル、レヴィナス」に関する文献案内(桐谷 慧・島田貴史・長坂真澄・松田智裕・吉松 覚)

書評掲載

「法政哲学」(2018年第14号/山本英輔氏・評)にて紹介されました。

関連書籍

『散種』
J.デリダ:著
『困難な自由』
E.レヴィナス:著
『レヴィナス著作集 1』
E.レヴィナス:著
『レヴィナス著作集 2』
E.レヴィナス:著
『サルトル読本』
澤田 直:編
『ハイデガー読本』
秋富 克哉:編
『存在の解釈学』
齋藤 元紀:著