人文学・社会科学の危機が叫ばれて久しい。しかし、この危機はどこにあり、何に由来するのか。その本質は何か。本論集では「社会的インパクト」という概念を独自に設定して人文学・社会科学の社会的意義を解明し、この危機を克服する方途を探る。高等教育のあり方、大学とは何かを問い、この危機に対する海外の取り組みの紹介とともに、文系学部廃止論、日本学術会議、学び直しなどの政策、国内外の若手研究者が抱える問題まで、多岐にわたり問題を提起する。
加藤 泰史(カトウ ヤスシ)
加藤泰史 1956年生まれ。椙山女学園大学国際コミュニケーション学部教授、一橋大学名誉教授。哲学・倫理学。『尊厳と生存』(後藤玲子との共編著、法政大学出版局、2022年)、『スピノザと近代──ドイツ思想史の虚軸』(編著、岩波書店、2022年)、Kant’s Concept of Dignity, Berlin, Boston: De Gruyter, 2019 (Gerhard Schönrichとの共編著)、ほか。
松塚 ゆかり(マツズカ ユカリ)
松塚ゆかり コロンビア大学大学院博士課程修了。Ph.D.(コロンビア大学)。一橋大学森有礼高等教育国際流動化機構教授。教育経済学。『概説 教育経済学』(日本評論社、2022年)、C. Fontanini, K. M. Joshi & S. Paivandi eds., International Perspectives on Gender and Higher Education: Student Access and Success(共著、Emerald Publishing, 2020)、『人材流動化時代の高等教育──人と知のモビリティーを担う大学』(編著、ミネルヴァ書房、2016年)、ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。編者前書き 学問の「自律性」と学問の「公共性」(加藤泰史)
第Ⅰ部 人文学・社会科学の現代的危機とは何か?
第1章 イノベーションを哲学する──「批判的ファシリテーター」としての哲学(加藤泰史)
第2章 文系学問の危機とは何か──意味世界への探究の再興のために(盛山和夫)
第3章 政策形成と人文学・社会科学の役割──日本学術会議を事例に(町村敬志)
第Ⅱ部 海外の人文学・社会科学の現状
第4章 中国における人文・社会科学の振興と課題について(王青)
第5章 アメリカにおける人文学および社会科学の影響力、あるいは開花、開錠、関連づけ──学部学生の知性へのシスター・ミリアム・ジョセフ『トリウィウム』(一九四八)学修課程の効果(一つのケーススタディ)(ジェニファー・ユルマン/高畑祐人゠訳)
第6章 「人文学は我々が世界を理解するための助けとなる」──ドイツにおける人文学の状況について(ゲジネ・フォルヤンティ゠ヨスト/府川純一郎゠訳)
第Ⅲ部 人文学・社会科学の社会的インパクトとは何か?
第7章 人文学の社会的意義の説明──メタ倫理学に社会的意義はあるか?(蝶名林亮)
第8章 人文学への憧れと社会科学的営為としての経済哲学──福祉国家を戦争国家にしないために、いま、われわれがなしうること(後藤玲子)
第9章 学び直しと人文学・社会科学のインパクト(松塚ゆかり)
第10章 技術の発達によって人間はどう変わるか──ベンヤミン、そしてゲーテ(久保哲司)
第11章 個別性と普遍性が共存する文学の力──人間の生と社会改革への眼差し(ギブソン松井佳子)
第Ⅳ部 若手研究者の現状
第12章 競争で燃え尽きた世代──教授職とプレカリアートの狭間にあるドイツの若手人文科学者たち(ドロテア・ムラデノヴァ/桐原隆弘゠訳)
第13章 人文学・社会科学(社会学、歴史学、哲学・思想)における若手研究者の現状──新型コロナウイルス感染症のパンデミック下で顕在化した課題と見通し(津田栞里・河村裕樹・森巧)
◎参考資料 一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究「人文学・社会科学の社会的インパクト」の活動記録(松塚ゆかり)
編者後書き 「有用性」と大学の自律的思考(松塚ゆかり)
執筆者・訳者紹介
第Ⅰ部 人文学・社会科学の現代的危機とは何か?
第1章 イノベーションを哲学する──「批判的ファシリテーター」としての哲学(加藤泰史)
第2章 文系学問の危機とは何か──意味世界への探究の再興のために(盛山和夫)
第3章 政策形成と人文学・社会科学の役割──日本学術会議を事例に(町村敬志)
第Ⅱ部 海外の人文学・社会科学の現状
第4章 中国における人文・社会科学の振興と課題について(王青)
第5章 アメリカにおける人文学および社会科学の影響力、あるいは開花、開錠、関連づけ──学部学生の知性へのシスター・ミリアム・ジョセフ『トリウィウム』(一九四八)学修課程の効果(一つのケーススタディ)(ジェニファー・ユルマン/高畑祐人゠訳)
第6章 「人文学は我々が世界を理解するための助けとなる」──ドイツにおける人文学の状況について(ゲジネ・フォルヤンティ゠ヨスト/府川純一郎゠訳)
第Ⅲ部 人文学・社会科学の社会的インパクトとは何か?
第7章 人文学の社会的意義の説明──メタ倫理学に社会的意義はあるか?(蝶名林亮)
第8章 人文学への憧れと社会科学的営為としての経済哲学──福祉国家を戦争国家にしないために、いま、われわれがなしうること(後藤玲子)
第9章 学び直しと人文学・社会科学のインパクト(松塚ゆかり)
第10章 技術の発達によって人間はどう変わるか──ベンヤミン、そしてゲーテ(久保哲司)
第11章 個別性と普遍性が共存する文学の力──人間の生と社会改革への眼差し(ギブソン松井佳子)
第Ⅳ部 若手研究者の現状
第12章 競争で燃え尽きた世代──教授職とプレカリアートの狭間にあるドイツの若手人文科学者たち(ドロテア・ムラデノヴァ/桐原隆弘゠訳)
第13章 人文学・社会科学(社会学、歴史学、哲学・思想)における若手研究者の現状──新型コロナウイルス感染症のパンデミック下で顕在化した課題と見通し(津田栞里・河村裕樹・森巧)
◎参考資料 一橋大学大学院社会学研究科先端課題研究「人文学・社会科学の社会的インパクト」の活動記録(松塚ゆかり)
編者後書き 「有用性」と大学の自律的思考(松塚ゆかり)
執筆者・訳者紹介
・執筆者・訳者紹介
盛山和夫(せいやま・かずお)
1948年生まれ。東京大学名誉教授。社会学。『協力の条件──ゲーム理論とともに考えるジレンマの構図』(有斐閣、2021年)、『リベラリズムとは何か──ロールズと正義の論理』(勁草書房、2006年)、『制度論の構図』(創文社、1995年)、ほか。
町村敬志(まちむら・たかし)
1956年生まれ。東京経済大学コミュニケーション学部教授、一橋大学名誉教授。社会学。『都市に聴け──アーバン・スタディーズからみた東京』(有斐閣、2020年)、『開発主義の構造と心性──戦後日本がダムでみた夢と現実』(御茶の水書房、2011年)、『越境者たちのロスアンジェルス』(平凡社、1999年)、ほか。
王青(Wang Qing/おう・せい)
1964年生まれ。中国社会科学院哲学研究所研究員。日本哲学、日本思想史。『日本近世思想概論』(世界知識出版社、2006年)、『日本近世儒学者荻生徂徠研究』(上海古籍出版社、2005年)、「西田哲学における『東洋文化』について──『善の研究』を中心に」(『世界哲学』2022年第1期)、ほか。
ジェニファー・ユルマン(Jennifer Uleman)
ニューヨーク州立大学パーチェス校准教授。An Introduction to Kant’s Moral Philosophy, Cambridge, Cambridge University Press, 2010; “What to Study at College and Why,” op-ed in LoHud Journal News, Sep. 16, 2015, ほか。
高畑祐人(たかはた・ゆうと)
1961年生まれ。名古屋大学非常勤講師。哲学、倫理学。「カントにおける自然美と芸術美」(中部哲学会編『中部哲学会紀要』第51号、2020年)、マルティン・ゼール『幸福の形式に関する試論──倫理学研究』(法政大学出版局、2018年)、ほか。
ゲジネ・フォルヤンティ゠ヨスト(Gesine Foljanty-Jost)
1952年生まれ。ハレ大学政治学・日本学研究所教授。国際比較からみた日本内政・自治体論。「市民自治モデルの日独比較──協調的民主主義は国家の失敗を救えるか?」(川喜田敦子訳、石田勇治・川喜田敦子・平松英人・辻英史編『ドイツ市民社会の史的展開』勉誠出版、2020年)、「市民自治体の独日比較──構想と実践」(青木真衣訳、共編『分権と自治体再構築──行政効率化と市民参加』法律文化社、2009年)、(Hrsg.) Kommunalreform in Deutschland und Japan: Ökonomisierung und Demokratisierung in Vergleichender Perspektive, Wiesbaden: VS Verlag für Sozialwissenschaften, 2009, ほか。
府川純一郎(ふかわ・じゅんいちろう)
1983年生まれ。岐阜大学地域科学部助教。哲学・美学。『アドルノ美学解読──崇高概念から現代音楽・アートまで』(共著、花伝社、2019年)、「生まれてくる者への承認──生殖医療時代の承認論的考察」(『唯物論』94号、2020年)、「アドルノの自然美における二つの位相──M・ゼールによるアドルノ批判の再検討」(『美学』70巻2号、2019年)、ほか。
蝶名林亮(ちょうなばやし・りょう)
1982年生まれ。創価大学文学部准教授。哲学(メタ倫理学)。“A Localist Turn for Defending Moral Explanations”, Asian Jounal of Philosophy (1 (2): 1-23, 2022)、『メタ倫理学の最前線』(編著、勁草書房、2019年)、『倫理学は科学になれるのか──自然主義的メタ倫理説の擁護』(勁草書房、2016年)、ほか。
後藤玲子(ごとう・れいこ)
1958年生まれ。帝京大学経済学部・先端総合機構教授、一橋大学名誉教授。『潜在能力アプローチ──倫理と経済』(岩波書店、2017年)、『福祉の経済哲学──個人・制度・公共性』(ミネルヴァ書房、2015年)、『正義の経済哲学──ロールズとセン』(東洋経済新報社、2002年)、ほか。
久保哲司(くぼ・てつじ)
1957年生まれ。一橋大学名誉教授。ドイツ文学。『NHK こころをよむ ドイツ文学における哀しみの女たち』(NHK出版、2021年)、『NHK こころをよむ 哀しき恋を味わう──ドイツ文学のなかの〈ダメ男〉』(NHK出版、2016年)、『ドイツの言語文化──読んで、聴いて、感じて、考える』(放送大学出版振興会、2002年)、ほか。
ギブソン松井佳子(ぎぶそん・まつい・けいこ)
神田外語大学外国語学部教授。「感染症文学・生命・尊厳」(『尊厳と生存』法政大学出版局、2022年)、「翻訳学と脱構築のはざまで考える「社会正義」」(『〈翻訳〉のさなかにある社会正義』、東京大学出版会、2018年)、“Re-examining Human Dignity in Literary Texts: In Seeking for a Continuous Dialogue Between the Conceptual and the Empirical Approaches”, Dialog: A Journal of Theology, volume 56, Number 1, 2017, ほか。
ドロテア・ムラデノヴァ(Dorothea Mladenova)
ライプツィヒ大学博士号取得。同大学東アジア研究所日本研究部門研究員。Steffi Richter, Andreas Singler, Dorothea Mladenova (eds.), NOlympics. Tōkyō 2020/1 in der Kritik, Leipziger Universitätsverlag, 2020. Dorothea Mladenova, “Optimizing one’s own death: The Shūkatsu industry and the enterprising self in a hyper-aged society” in: Contemporary Japan 32(6):1-25, 2020. 「死のセルフマネジメント—「終活」におけるネオリベラルな主体」(齋藤元紀訳、加藤泰史+小島毅編『尊厳と社会(下)』法政大学出版局、2020年、所収)、ほか。
桐原隆弘(きりはら・たかひろ)
下関市立大学経済学部教授。哲学。Kirihara, T: Should Nature Be Isolated or Incorporated? A Debate on Reproductive Medicine in Germany from the Perspective of the Place of Culture. Journal of Philosophy and Ethics in Health Care and Medicine (Japanese Association for Philosophical and Ethical Researches in Medicine) No.14 (2021); Kirihara, T: Wie ist menschliches Zusammenleben möglich? Ausführungen zum Dialog zwischen kantischer Philosophie und der philosophischen Ethik in Japan vor allem in Beziehung auf »bürgerliche Persönlichkeit« und »Menschheit« In: Quante, M/Goto, H/Rojek, T/Segawa, S (Hg.): Der Begriff der Person in systematischer wie historischer Perspektive: ein deutsch-japanischer Dialog. Paderborn: Mentis 2020; Kirihara, T: Verbindung freier Personen: Zum Begriff der Gemeinschaft bei Kant und Scheler. Würzburg: Königshausen & Neumann 2009.
津田栞里(つだ・しおり)
1993年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科ジュニアフェロー(特任講師)。哲学、思想史、美学。「バウムガルテンの実体論における二重の差異化──伝統的な理論の刷新とスピノザへの応答」(『哲学』第73号、2022年)、「スピノザ論争がバウムガルテンに残した課題──実体に相応しいのは神か? 被造物か?」(加藤泰史編『スピノザと近代ドイツ』岩波書店、2022年)、「実体化された現象(phaenomenon substantiatum)とは何か──実体的なもの(substantiale)による再構成の試み」(『日本カント研究』第22巻、2021年)、ほか。
河村裕樹(かわむら・ゆうき)
一橋大学大学院社会学研究科ジュニアフェロー(特任講師)。医療社会学、エスノメソドロジー。『心の臨床実践──精神医療の社会学』(ナカニシヤ出版、2022年)。「精神科デイケアのワークの研究──「円環的時間」という理解を可能にする実践」(『社会学評論』第72巻2号、2021年)。「「摂食障害者」であることの説明実践──相互行為としてのインタビューにおける自己呈示」(『保健医療社会学論集』30巻2号、2020年)、ほか。
森巧(もり・たくみ)
一橋大学大学院社会学研究科ジュニアフェロー(特任講師)。台湾政治外交史。「戦後日本社会における中国帰国者をめぐる記憶とその変容──中国帰国者の会と鈴木則子を中心に」(佐藤量・菅野智博・湯川真樹江編『戦後日本の満洲記憶』東方書店、2020年)、「中華民国政府の大陸反攻と対外政策機構(1950–1958)──海外対匪闘争工作統一指導委員会を事例に」(『東洋学報』第101巻第1号、2019年)、「1950年代前期中華民国対日外交之研究──以遣送旅日華僑的華日交為例」(『台湾与東亜跨域青年学者近代史研究論集第3輯』台北、稲郷出版社、2019年)、ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。
盛山和夫(せいやま・かずお)
1948年生まれ。東京大学名誉教授。社会学。『協力の条件──ゲーム理論とともに考えるジレンマの構図』(有斐閣、2021年)、『リベラリズムとは何か──ロールズと正義の論理』(勁草書房、2006年)、『制度論の構図』(創文社、1995年)、ほか。
町村敬志(まちむら・たかし)
1956年生まれ。東京経済大学コミュニケーション学部教授、一橋大学名誉教授。社会学。『都市に聴け──アーバン・スタディーズからみた東京』(有斐閣、2020年)、『開発主義の構造と心性──戦後日本がダムでみた夢と現実』(御茶の水書房、2011年)、『越境者たちのロスアンジェルス』(平凡社、1999年)、ほか。
王青(Wang Qing/おう・せい)
1964年生まれ。中国社会科学院哲学研究所研究員。日本哲学、日本思想史。『日本近世思想概論』(世界知識出版社、2006年)、『日本近世儒学者荻生徂徠研究』(上海古籍出版社、2005年)、「西田哲学における『東洋文化』について──『善の研究』を中心に」(『世界哲学』2022年第1期)、ほか。
ジェニファー・ユルマン(Jennifer Uleman)
ニューヨーク州立大学パーチェス校准教授。An Introduction to Kant’s Moral Philosophy, Cambridge, Cambridge University Press, 2010; “What to Study at College and Why,” op-ed in LoHud Journal News, Sep. 16, 2015, ほか。
高畑祐人(たかはた・ゆうと)
1961年生まれ。名古屋大学非常勤講師。哲学、倫理学。「カントにおける自然美と芸術美」(中部哲学会編『中部哲学会紀要』第51号、2020年)、マルティン・ゼール『幸福の形式に関する試論──倫理学研究』(法政大学出版局、2018年)、ほか。
ゲジネ・フォルヤンティ゠ヨスト(Gesine Foljanty-Jost)
1952年生まれ。ハレ大学政治学・日本学研究所教授。国際比較からみた日本内政・自治体論。「市民自治モデルの日独比較──協調的民主主義は国家の失敗を救えるか?」(川喜田敦子訳、石田勇治・川喜田敦子・平松英人・辻英史編『ドイツ市民社会の史的展開』勉誠出版、2020年)、「市民自治体の独日比較──構想と実践」(青木真衣訳、共編『分権と自治体再構築──行政効率化と市民参加』法律文化社、2009年)、(Hrsg.) Kommunalreform in Deutschland und Japan: Ökonomisierung und Demokratisierung in Vergleichender Perspektive, Wiesbaden: VS Verlag für Sozialwissenschaften, 2009, ほか。
府川純一郎(ふかわ・じゅんいちろう)
1983年生まれ。岐阜大学地域科学部助教。哲学・美学。『アドルノ美学解読──崇高概念から現代音楽・アートまで』(共著、花伝社、2019年)、「生まれてくる者への承認──生殖医療時代の承認論的考察」(『唯物論』94号、2020年)、「アドルノの自然美における二つの位相──M・ゼールによるアドルノ批判の再検討」(『美学』70巻2号、2019年)、ほか。
蝶名林亮(ちょうなばやし・りょう)
1982年生まれ。創価大学文学部准教授。哲学(メタ倫理学)。“A Localist Turn for Defending Moral Explanations”, Asian Jounal of Philosophy (1 (2): 1-23, 2022)、『メタ倫理学の最前線』(編著、勁草書房、2019年)、『倫理学は科学になれるのか──自然主義的メタ倫理説の擁護』(勁草書房、2016年)、ほか。
後藤玲子(ごとう・れいこ)
1958年生まれ。帝京大学経済学部・先端総合機構教授、一橋大学名誉教授。『潜在能力アプローチ──倫理と経済』(岩波書店、2017年)、『福祉の経済哲学──個人・制度・公共性』(ミネルヴァ書房、2015年)、『正義の経済哲学──ロールズとセン』(東洋経済新報社、2002年)、ほか。
久保哲司(くぼ・てつじ)
1957年生まれ。一橋大学名誉教授。ドイツ文学。『NHK こころをよむ ドイツ文学における哀しみの女たち』(NHK出版、2021年)、『NHK こころをよむ 哀しき恋を味わう──ドイツ文学のなかの〈ダメ男〉』(NHK出版、2016年)、『ドイツの言語文化──読んで、聴いて、感じて、考える』(放送大学出版振興会、2002年)、ほか。
ギブソン松井佳子(ぎぶそん・まつい・けいこ)
神田外語大学外国語学部教授。「感染症文学・生命・尊厳」(『尊厳と生存』法政大学出版局、2022年)、「翻訳学と脱構築のはざまで考える「社会正義」」(『〈翻訳〉のさなかにある社会正義』、東京大学出版会、2018年)、“Re-examining Human Dignity in Literary Texts: In Seeking for a Continuous Dialogue Between the Conceptual and the Empirical Approaches”, Dialog: A Journal of Theology, volume 56, Number 1, 2017, ほか。
ドロテア・ムラデノヴァ(Dorothea Mladenova)
ライプツィヒ大学博士号取得。同大学東アジア研究所日本研究部門研究員。Steffi Richter, Andreas Singler, Dorothea Mladenova (eds.), NOlympics. Tōkyō 2020/1 in der Kritik, Leipziger Universitätsverlag, 2020. Dorothea Mladenova, “Optimizing one’s own death: The Shūkatsu industry and the enterprising self in a hyper-aged society” in: Contemporary Japan 32(6):1-25, 2020. 「死のセルフマネジメント—「終活」におけるネオリベラルな主体」(齋藤元紀訳、加藤泰史+小島毅編『尊厳と社会(下)』法政大学出版局、2020年、所収)、ほか。
桐原隆弘(きりはら・たかひろ)
下関市立大学経済学部教授。哲学。Kirihara, T: Should Nature Be Isolated or Incorporated? A Debate on Reproductive Medicine in Germany from the Perspective of the Place of Culture. Journal of Philosophy and Ethics in Health Care and Medicine (Japanese Association for Philosophical and Ethical Researches in Medicine) No.14 (2021); Kirihara, T: Wie ist menschliches Zusammenleben möglich? Ausführungen zum Dialog zwischen kantischer Philosophie und der philosophischen Ethik in Japan vor allem in Beziehung auf »bürgerliche Persönlichkeit« und »Menschheit« In: Quante, M/Goto, H/Rojek, T/Segawa, S (Hg.): Der Begriff der Person in systematischer wie historischer Perspektive: ein deutsch-japanischer Dialog. Paderborn: Mentis 2020; Kirihara, T: Verbindung freier Personen: Zum Begriff der Gemeinschaft bei Kant und Scheler. Würzburg: Königshausen & Neumann 2009.
津田栞里(つだ・しおり)
1993年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科ジュニアフェロー(特任講師)。哲学、思想史、美学。「バウムガルテンの実体論における二重の差異化──伝統的な理論の刷新とスピノザへの応答」(『哲学』第73号、2022年)、「スピノザ論争がバウムガルテンに残した課題──実体に相応しいのは神か? 被造物か?」(加藤泰史編『スピノザと近代ドイツ』岩波書店、2022年)、「実体化された現象(phaenomenon substantiatum)とは何か──実体的なもの(substantiale)による再構成の試み」(『日本カント研究』第22巻、2021年)、ほか。
河村裕樹(かわむら・ゆうき)
一橋大学大学院社会学研究科ジュニアフェロー(特任講師)。医療社会学、エスノメソドロジー。『心の臨床実践──精神医療の社会学』(ナカニシヤ出版、2022年)。「精神科デイケアのワークの研究──「円環的時間」という理解を可能にする実践」(『社会学評論』第72巻2号、2021年)。「「摂食障害者」であることの説明実践──相互行為としてのインタビューにおける自己呈示」(『保健医療社会学論集』30巻2号、2020年)、ほか。
森巧(もり・たくみ)
一橋大学大学院社会学研究科ジュニアフェロー(特任講師)。台湾政治外交史。「戦後日本社会における中国帰国者をめぐる記憶とその変容──中国帰国者の会と鈴木則子を中心に」(佐藤量・菅野智博・湯川真樹江編『戦後日本の満洲記憶』東方書店、2020年)、「中華民国政府の大陸反攻と対外政策機構(1950–1958)──海外対匪闘争工作統一指導委員会を事例に」(『東洋学報』第101巻第1号、2019年)、「1950年代前期中華民国対日外交之研究──以遣送旅日華僑的華日交為例」(『台湾与東亜跨域青年学者近代史研究論集第3輯』台北、稲郷出版社、2019年)、ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。
書評掲載
一橋大学ホームページ「一橋教員の本」(2023年04月24日付)に紹介されました。
「北海道新聞」(2023年06月11日付)に紹介されました。