金の翼
中国家族制度の社会学的研究

林耀華:著, 馬場 公彦:監訳, 諸葛 蔚東:訳, 谷仲 広江:訳
四六判 / 340ページ / 上製 / 価格 3,960円 (消費税 360円) 
ISBN978-4-588-35010-8 C0036 [2025年01月 刊行]

内容紹介

20世紀初頭、辛亥革命から日中戦争に到る動乱・内戦期の中国をたくましく生きた二つの家族の栄枯盛衰を描く民族誌的小説の古典。その才覚と人望で民族資本家として名を馳せた東林と、事業の失敗により没落の憂き目にあった義兄・芬洲の運命を分けたものは何か。自然豊かな山間の農村と、急速に発展する臨海商業区を舞台に、伝統習俗、冠婚葬祭や商慣習、郷村社会にまつわるエピソードが情感を込めて語られる。

著訳者プロフィール

林耀華(リン ヨウカ)

林耀華(リン ヨウカ)
1910年、中国福建省に生まれる。ハーバード大学大学院にて博士号を取得(哲学)。雲南大学社会学教授、燕京大学社会学部教授兼主任、中央民族学院教授、中央民族学院民族研究所初代所長などを歴任。著書に『凉山の彝家』(上海商務印書館)『民族学研究』(中国社会科学出版社)『民族学通論』(中央民族学院出版社)『義序の宗族研究』(三聯書店)などがある。2000年歿。

馬場 公彦(ババ キミヒコ)

馬場 公彦(ババ キミヒコ)
1958年生まれ。早稲田大学大学院アジア太平洋研究科博士課程満期修了、博士(学術)。専門は東アジア論、日中関係論、メディア論。中国伝媒大学名誉教授。岩波書店勤務を経て、2019年より北京大学教員、2022年より北京外国語大学副教授。著書に『戦後日本人の中国像──日本敗戦から文化大革命・日中復交まで』(新曜社)などがある。

諸葛 蔚東(ショカツ イトウ)

諸葛 蔚東(ショカツ イトウ)
1962年生まれ。北京大学新聞伝播学院博士課程修了、一橋大学大学院社会学研究科博士課程修了、博士(法学・社会学)。中国社会科学院日本研究所助教、中国科学院大学人文学院教授などを経て、浙江越秀外国語学院教授。翻訳書に費孝通『郷土中国・郷土再建』(東京大学出版会)などがある

谷仲 広江(ヤナカ ヒロエ)

谷仲 広江(ヤナカ ヒロエ)
1971年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒。人民網日本語版勤務などを経てフリー。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき
英語版へのまえがき
英語版への序言[レイモンド・ファース]

第一章 東林の青少年時代
第二章 貧困からの脱却
第三章 裁判沙汰
第四章 張家の新居
第五章 早期教育
第六章 村の祝祭日
第七章 農業の段取り
第八章 米の取引
第九章 店の商売
第十章 芬洲の運命
第十一章 向学の野心
第十二章 対立
第十三章 店舗の分裂
第十四章 匪賊
第十五章 兄弟の争い
第十六章 店舗の拡大
第十七章 両極化が進む張家と黄家
第十八章 地方政治
第十九章 水路交通
第二十章 難局
第二十一章 大地に種を蒔く

林耀華年表[林宗錦・潘守永]
解説 林耀華先生の著作『金の翼』について[荘孔韶]
解説 近代移行期における中国伝統家族の民族誌──『金の翼』を読む[馬場公彦]
付録 張家・黄家両家の家系図