サピエンティア 45
平和なき「平和主義」
戦後日本の思想と運動

権 赫泰:著, 鄭 栄桓:訳
四六判 / 256ページ / 上製 / 価格 3,300円 (消費税 300円) 
ISBN978-4-588-60345-7 C1320 [2016年07月 刊行]

内容紹介

「唯一の被爆国」として日本は戦後70年ものあいだ平和を守ってきたとされるが、ほんとうにそうなのだろうか。朝鮮戦争、ベトナム反戦運動、日米安保や原発の問題などを取り上げ、アジア諸国や国内における他者と関わるうえで丸山眞男をはじめ日本人が何と向き合ってこなかったのか、韓国人研究者が考察する。【日本現代史・日本思想】

著訳者プロフィール

権 赫泰(クォン ヒョクテ)

1959年韓国大田市生まれ。高麗大学史学科卒業,一橋大学大学院経済学研究科で博士後期課程修了,博士(経済学)。山口大学経済学部助教授を経て,現在韓国・聖公会大学日本学科教授。専攻は日韓関係史および日本現代史。
主な業績は,『日本の不安を読む』教養人,2010年,『日本・戦後の崩壊──サブカルチャー・消費社会・世代』J&C,2013年。共編著に『アジアの市民社会──概念と歴史』アルケ,2005年,『戦後の誕生──日本,朝鮮という境界』グリーンビー,2013年(いずれもハングル)。日本語論文に,「集団の記憶,個人の記憶──韓国とヒロシマがお互いに問いかけるもの」『現代思想』31(10),2003年,「日韓関係と「連帯」の問題」『現代思想』33(6),2005年,「「平和憲法体制」とアジア──韓国との関連で」『季論21』1号,2008年,「「唯一の被爆国」という言葉と日本の「戦後」」『歴史学研究』917号,2014年ほか多数。

鄭 栄桓(チョン ヨンファン)

1980年千葉生まれ。明治学院大学法学部卒,一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程修了,博士(社会学)。立命館大学コリア研究センター専任研究員を経て,現在明治学院大学教養教育センター准教授。専攻は朝鮮近現代史・在日朝鮮人史。
著書に,『忘却のための「和解」『帝国の慰安婦』と日本の責任』世織書房,2016年,『朝鮮独立への隘路 在日朝鮮人の解放五年史』法政大学出版局,2013年,共訳書に金東椿『朝鮮戦争の社会史 避難・占領・虐殺』平凡社,2008年,論文に「解放直後の在日朝鮮人運動と「戦争責任」論(1945-1949) 戦犯裁判と「親日派」処罰をめぐって」『日本植民地研究』第28号,2016年ほか多数。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はしがき

第一章 歴史と安保は分離可能なのか
    韓日関係の非対称性

第二章 捨象の思想化という方法
    丸山眞男と朝鮮

第三章 善隣学生会館と日中関係
    国民国家の論理と陣営の論理

第四章 国境内で「脱/国境」を想像する方法
    日本のベトナム反戦運動と脱営兵士

第五章 団塊の世代の「反乱」とメディアとしての漫画
    『あしたのジョー』を中心に

第六章 広島の「平和」を再考する
    主体の復元と「唯一の被爆国」の論理

第七章 二つのアトミック・サンシャイン
    被爆国日本はいかにして原発大国となったか

訳者あとがき

書評掲載

「出版ニュース」(2016年10月上旬号)にて紹介されました。

「市民の意見」(2017年8月1日号/高橋武智氏・評)にて紹介されました。

「国際政治」(199号、2020年3月刊/清水耕介氏・評)に紹介されました。