叢書・ウニベルシタス 910
フロイトの伝説

四六判 / 398ページ / 上製 / 価格 4,620円 (消費税 420円) 
ISBN978-4-588-00910-5 C1311 [2009年03月 刊行]

内容紹介

フロイトのテクストは回帰する──永遠に不気味な魅惑として。言語の天才、デリダの親友の批評家サミュエル・ウェーバーが、精神分析それ自体の来歴と葛藤の源泉を驚くべき精緻さで読み解く、脱構築批評の代表作。「不気味なもの」をはじめとするフロイトの諸論考、ホフマン『砂男』等の文学作品が、言語と人間の劇としての比類ない深さで現れる。訳者との往復書簡(邦訳オリジナル)も付す。

著訳者プロフィール

サミュエル・ウェーバー(ウェーバー,サミュエル)

1940年ニューヨーク生まれ。ノースウェスタン大学教授。ポール・ド・マンに師事し,ホルクハイマー,アドルノ,ベンヤミン,フロイト,ラカン,デリダ等を研究する中で思想を形成。哲学,精神分析,文学批評,演劇等,幅広い分野で活動を展開する。政治経済,戦争,歴史,メディア問題など「アクチュアルな」問題にコミットする一方,それゆえにこそ古典的テクストの脱構築的読解を実践し続けている。アドルノやデリダの翻訳者でもある。多数の著述がありながら日本ではまだあまり注目を受けていない思想家で,まとまった邦訳は論文集『破壊と拡散』(月曜社)のみ。その他,主な著作に『フロイトへの回帰』『バルザックを脱梱包する』『制度と解釈』『メディオーラス』『臨機標的』『暴力,アイデンティティ,自己決定』(共編)『宗教とメディア』(同),最新刊に2008年刊行の『ベンヤミンの諸可能性』がある。

前田 悠希(マエダ ユキ)

1977年生まれ。甲南大学大学院・人文科学研究科修士課程修了。人間科学(心理臨床)専攻。臨床心理士。共訳書にアブラハム/トローク『狼男の言語標本』(法政大学出版局)。

港道 隆(ミナトミチ タカシ)

1953年生まれ。パリ第一大学哲学史科博士課程修了。哲学専攻。甲南大学文学部教授。著書に『レヴィナス』(講談社),『心と身体の世界化』(編著,人文書院)ほか。訳書にデリダ『精神について』『アポリア』(人文書院),ラパポート『ハイデッガーとデリダ』(共訳,法政大学出版局)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 文

第Ⅰ部 取り置かれた精神分析
 わが道を行く
 ナルシシズムの問題
 観察,記述,比喩言語
 取り置かれたメタ心理学

第Ⅱ部 余 部
 葉状体の意味作用
 機知──子どもの遊び
 毛むくじゃらの犬の物語

第Ⅲ部 ラヴ・ストーリー
 分析家の欲望──遊びの中の思弁
 The Fort !
 思弁──差異を発する方法
 余談,あるいは悪意の瞬間についての注記
 不気味な思考

解題にかえて──往復書簡
訳者あとがき