叢書・ウニベルシタス 953
限りある思考

四六判 / 446ページ / 上製 / 価格 5,500円 (消費税 500円) 
ISBN978-4-588-00953-2 C1310 [2011年02月 刊行]

内容紹介

存在という出来事の限界で、有限な世界の終末で、ひとはまだ何を思考し、意味することができるのか。ハイデガーやデリダの問いを受け継ぐ哲学者が、バタイユ、ニーチェ、ランボーらとともに、西洋、エクリチュール、犠牲、崇高、ミメーシス、愛や共同体について繰り広げる戦慄的な思索。『無為の共同体』から『キリスト教の脱構築』へ向かうナンシーの、デリダ論を含むもう一つの主著、待望の完訳。〔哲学〕

著訳者プロフィール

ジャン=リュック・ナンシー(ナンシー,J.-L.)

1940年生まれ.ストラスブール・マルク・ブロック大学名誉教授,現代フランスを代表する哲学者の一人.デリダやハイデガーの問題圏のもと,Ph.ラクー=ラバルトとともに西洋哲学の脱構築的読解を展開.ロマン主義やナチズムの批判をはじめ,文学・宗教・芸術の広範囲な分野で,「分有」概念を軸にした独自の共同体論を提示している.主な邦訳書:『無為の共同体』『侵入者』『イメージの奥底で』(以文社),『声の分割』『ナチ神話』『訪問』『複数にして単数の存在』『映画の明らかさ』(松籟社),『自由の経験』『私に触れるな』(未來社),『肖像の眼差し』(人文書院),『ヘーゲル 否定的なものの不安』『世界の創造あるいは世界化』『哲学的クロニクル』『ダンスについての対話』『脱閉域──キリスト教の脱構築1』『水と火』(現代企画室),『神的な様々の場』(ちくま学芸文庫)他.

合田 正人(ゴウダ マサト)

1957年生まれ,一橋大学社会学部卒業,東京都立大学大学院博士課程中退,同大学人文学部助教授を経て,現在,明治大学文学部教授.主な著書:『レヴィナスを読む』(NHKブックス),『レヴィナス』(ちくま学芸文庫),『ジャンケレヴィッチ』,『サルトル『むかつき』ニートという冒険』(みすず書房),『フランスを知る』(編著,法政大学出版局),『世紀を超える実存の思想』(明治大学ブックレット),『吉本隆明と柄谷行人』(近刊,PHP新書),主な訳書:レヴィナス『全体性と無限』(国文社),同『存在の彼方へ』(講談社学術文庫),同『困難な自由』,ザラデル『ハイデガーとヘブライの遺産』,デリダ『ユリシーズ グラモフォン』,モーゼス『歴史の天使』,『ベルクソン講義録 全四巻』(以上,法政大学出版局),ジャンケレヴィッチ『最初と最後のページ』,グットマン『ユダヤ哲学』,メルロ=ポンティ『ヒューマニズムとテロル』,デリダ『フッサール哲学における発生の問題』,リクール『レクチュール』,ブーレッツ『20世紀ユダヤ思想家1』(以上,みすず書房),ベルクソン『意識に直接与えられたものについての試論』『物質と記憶』『創造的進化』(ちくま学芸文庫)他.

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

終わる思考
外 記
犠牲にしえないもの
実存の決断
崇高な捧げ物
物々の心臓
粉々の愛/輝く愛
省略的意味
笑い、現前
魂と身体のうちに真理を所有すること
神の進行性麻痺

訳者あとがき