近代の多様化したさまざまな学問は各々どのような目的をもち、いかなる規範に従っているのか。歴史的現象としての個別諸科学を思惟科学/存在科学/精神科学の三つに分類し、人間精神の創造物として体系的に捉えることでその包括的理解をめざす試み。学問の存在意義と大学の理念が問いなおされる現在あらためて読まれるべき、神学者ティリッヒの一九二三年の学問論。
パウル・ティリッヒ(ティリッヒ,P.)
(Paul Tillich)
1886-1965。カール・バルト、ルドルフ・ブルトマンと並ぶ20世紀を代表する神学者。ベルリン大学、テュービンゲン大学、ハレ大学で神学と哲学を学ぶ。ハレ大学、ベルリン大学、ライプツィヒ大学などで教鞭を執り、フランクフルト大学の教授となるが、ヒトラー政権による迫害でアメリカに亡命。その後、ユニオン神学校、ハーヴァード大学、シカゴ大学の教授を歴任。キリスト教の真理性を独自の仕方で弁証し、問いと答えの相関論に基づいて、哲学と神学の統合を試みた。その業績は現代の哲学と神学にも大きな影響を及ぼし続けている。『組織神学』全三巻をはじめ、キリスト教史、宗教社会主義、美学論などを含む多数の著書がある。その多くは『ティリッヒ著作集』(白水社)で読むことができる。
清水 正(シミズ タダシ)
1944年生まれ。東京神学大学大学院神学研究科博士課程修了。元青山学院高等部教諭。専門は組織神学。論文に「ティリッヒ神学における新存在──キリスト論を中心にした組織的研究」(学位論文)、著書に『神学の方法と内容』(新教出版社)、訳書にティリッヒ『キリスト教思想史Ⅰ』(白水社)ほか。
濱崎 雅孝(ハマザキ マサタカ)
1971年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得。現在、京都大学、奈良産業大学ほか非常勤講師。専門は現代神学、宗教哲学。論文に「選びの偶然性と必然性」(『日本の神学45』)、訳書にバルト『十九世紀のプロテスタント神学 下』(新教出版社)、パネンベルク『なぜ人間に倫理が必要か』(教文館)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。まえがき──西谷幸介(青山学院大学)
序 文
一般的な基礎論
1 諸学の体系の意味と価値
2 諸学の体系の原理
3 諸学の体系の構築
4 諸学の体系の方法
第一部 思惟科学、あるいは観念的な科学
1 基礎論
2 論理学
3 数 学
4 思惟科学と現象学
第二部 存在科学、あるいは実在的な科学
Ⅰ 基礎論
1 法則、形態、継起
2 対象と方法
3 自生的方法と他生的方法
4 方法論争
5 存在科学における認識の態度と認識の仕方
6 カテゴリーと方法
Ⅱ 存在科学の体系
A 第一群─法則科学
⒜ 物理的諸科学の自生的系列
1 基礎論─数学的物理学
2 機械力学と力学
3 化学と鉱物学
⒝ 物理的諸科学の他生的系列
1 基礎論─物理的群における個物的なもの
2 宇宙の形態と継起
3 地質学と地理学
B 第二群─形態科学
⒜ 有機的諸科学
A 基礎論
B 有機的科学の体系
1 生物学
2 心理学
3 社会学
C 形態の方法の普遍的な意義
⒝ 技術的諸科学
A 基礎論
1 有機的諸科学と技術的諸科学
2 技術学の方法
3 技術と精神
4 技術、手工、工芸
5 価値と目的
B 技術学の体系
Ⅰ 変形する技術の学
Ⅱ 展開する技術の学
C 第三群─継起科学
A 基礎論
1 精神的な個物
2 歴史学の選択原理
3 歴史学的なもののカテゴリー
4 歴史学的なものの方法論
5 歴史学的なものの他生的方法
B 歴史学の対象
1 政治史、伝記、文化史
2 人類学と民族誌学
3 言語学と文献学
第三部 精神科学、あるいは規範的な科学
Ⅰ 基礎論
A 精 神
1 精神、思惟、存在
2 創造的なもの
3 精神的創造
4 創造的なものの限界
5 精神と歴史
B 精神科学
1 精神科学の生産的な特性
2 精神科学の規範的な特性
3 精神科学の認識目標
4 精神科学における認識の態度と認識の仕方
5 精神科学と精神の態度
6 精神科学の構築
Ⅱ 精神科学の体系
A 精神科学の要素
Ⅰ 意味原理論、あるいは哲学
1 哲学の概念
2 哲学の対象
3 メタ論理的な方法
Ⅱ 意味素材論、あるいは精神史
Ⅲ 意味規範論、あるいは体系論
1 規範論と哲学
2 規範論と存在科学
B 精神科学の対象
⒜ 理論的な系列
Ⅰ 学 問
Ⅱ 芸 術
Ⅲ 形而上学
1 形而上学の現状
2 独立的な意味機能としての形而上学
3 形而上学の構成と方法
⒝ 実践的な系列
Ⅰ 法
1 意味機能としての法
2 法 論
3 法と国家
Ⅱ 共同体
1 共同体、社会学、法
2 共同体と人格
3 共同体論と倫理学
4 政治学と国家論
Ⅲ エートス
C 精神科学の態度
Ⅰ 神律的な精神科学の要素
1 神律と自律
2 神律的な哲学と精神史
3 神律的な体系論(神学)
4 神学の課題
Ⅱ 神律的な精神科学の対象
1 神律的な形而上学
2 神律における学問と芸術
3 神律的な倫理学
4 神律における共同体と法
結論的な考察
1 学問と真理
2 学問と生
訳者あとがき
序 文
一般的な基礎論
1 諸学の体系の意味と価値
2 諸学の体系の原理
3 諸学の体系の構築
4 諸学の体系の方法
第一部 思惟科学、あるいは観念的な科学
1 基礎論
2 論理学
3 数 学
4 思惟科学と現象学
第二部 存在科学、あるいは実在的な科学
Ⅰ 基礎論
1 法則、形態、継起
2 対象と方法
3 自生的方法と他生的方法
4 方法論争
5 存在科学における認識の態度と認識の仕方
6 カテゴリーと方法
Ⅱ 存在科学の体系
A 第一群─法則科学
⒜ 物理的諸科学の自生的系列
1 基礎論─数学的物理学
2 機械力学と力学
3 化学と鉱物学
⒝ 物理的諸科学の他生的系列
1 基礎論─物理的群における個物的なもの
2 宇宙の形態と継起
3 地質学と地理学
B 第二群─形態科学
⒜ 有機的諸科学
A 基礎論
B 有機的科学の体系
1 生物学
2 心理学
3 社会学
C 形態の方法の普遍的な意義
⒝ 技術的諸科学
A 基礎論
1 有機的諸科学と技術的諸科学
2 技術学の方法
3 技術と精神
4 技術、手工、工芸
5 価値と目的
B 技術学の体系
Ⅰ 変形する技術の学
Ⅱ 展開する技術の学
C 第三群─継起科学
A 基礎論
1 精神的な個物
2 歴史学の選択原理
3 歴史学的なもののカテゴリー
4 歴史学的なものの方法論
5 歴史学的なものの他生的方法
B 歴史学の対象
1 政治史、伝記、文化史
2 人類学と民族誌学
3 言語学と文献学
第三部 精神科学、あるいは規範的な科学
Ⅰ 基礎論
A 精 神
1 精神、思惟、存在
2 創造的なもの
3 精神的創造
4 創造的なものの限界
5 精神と歴史
B 精神科学
1 精神科学の生産的な特性
2 精神科学の規範的な特性
3 精神科学の認識目標
4 精神科学における認識の態度と認識の仕方
5 精神科学と精神の態度
6 精神科学の構築
Ⅱ 精神科学の体系
A 精神科学の要素
Ⅰ 意味原理論、あるいは哲学
1 哲学の概念
2 哲学の対象
3 メタ論理的な方法
Ⅱ 意味素材論、あるいは精神史
Ⅲ 意味規範論、あるいは体系論
1 規範論と哲学
2 規範論と存在科学
B 精神科学の対象
⒜ 理論的な系列
Ⅰ 学 問
Ⅱ 芸 術
Ⅲ 形而上学
1 形而上学の現状
2 独立的な意味機能としての形而上学
3 形而上学の構成と方法
⒝ 実践的な系列
Ⅰ 法
1 意味機能としての法
2 法 論
3 法と国家
Ⅱ 共同体
1 共同体、社会学、法
2 共同体と人格
3 共同体論と倫理学
4 政治学と国家論
Ⅲ エートス
C 精神科学の態度
Ⅰ 神律的な精神科学の要素
1 神律と自律
2 神律的な哲学と精神史
3 神律的な体系論(神学)
4 神学の課題
Ⅱ 神律的な精神科学の対象
1 神律的な形而上学
2 神律における学問と芸術
3 神律的な倫理学
4 神律における共同体と法
結論的な考察
1 学問と真理
2 学問と生
訳者あとがき