増補版 叢書・ウニベルシタス 1010
承認をめぐる闘争
社会的コンフリクトの道徳的文法

四六判 / 354ページ / 上製 / 価格 3,960円 (消費税 360円) 
ISBN978-4-588-01010-1 C1310 [2014年07月 刊行]

内容紹介

現在の批判理論における最重要の課題である「承認」論の重要性を、決定的に位置づけた必読書。第一版の刊行後に寄せられた反響に原著者が応えた、増補「承認の根拠──批判的な反問にたいする応答」を新たに収録する。愛、法(権利)、尊重という三つの承認形式に基づく初期ヘーゲルの思考を援用し、ハーバマスのコミュニケーション論を批判的に展開させ、新たな批判理論の地平を目指す。

著訳者プロフィール

アクセル・ホネット(ホネット アクセル)

アクセル・ホネット(Axel Honneth)
1949年ドイツのエッセンで生まれる。1983年にベルリン自由大学で哲学の博士号を取得。現在はフランクフルト大学社会哲学講座正教授、フランクフルト大学社会研究所所長、コロンビア大学哲学科教授を務める。フランクフルト学派第三世代の代表的存在。主な著書に、『権力の批判:批判的社会理論の新たな地平』(河上倫逸監訳、1992年)、『正義の他者:実践哲学論集』(加藤泰史・日暮雅夫他訳、2005年)、『物象化:承認論からのアプローチ』(辰巳伸知・宮本真也訳、2005年)、『自由の権利:民主的人倫の要綱』(水上英徳・大河内泰樹・宮本真也・日暮雅夫訳、2023年)、ナンシー・フレイザーとの論争的共著『再配分か承認か?:政治・哲学論争』(加藤泰史監訳、2013年。以上、法政大学出版局)などがある。

山本 啓(ヤマモト ヒラク)

山本 啓(ヤマモト ヒラク)
1947年山形県生まれ。中央大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(政治学)。東北大学大学院名誉教授。専攻:政治学、公共政策論。著書:『ハーバマスの社会科学論』(勁草書房)、『政治と行政のポイエーシス』(編著、未來社)、『NPOと法・行政』(編著、ミネルヴァ書房)、『ローカル・ガバメントとローカル・ガバナンス』(編著、法政大学出版局)、『パブリック・ガバナンスの政治学』(勁草書房)。訳書:マンデル『後期資本主義』(共訳、柘植書房)、トンプソン『批判的解釈学』(共訳、法政大学出版局)、コーン『競争社会をこえて』(共訳、同)、ベック『世界リスク社会』(同)、ウィリアムソン『消費の欲望』(共訳、大村書店)、ピュージ『ユルゲン・ハーバマス』(岩波書店)、キャルホーン編『ハーバマスと公共圏』(共訳、未來社)など。

直江 清隆(ナオエ キヨタカ)

直江 清隆(ナオエ キヨタカ)
1960年埼玉県生まれ。東京大学大学院理学系研究科(科学史・科学基礎論)博士課程単位取得退学。博士(文学)。東北大学大学院文学研究科教授。専攻:哲学、思想史、科学論。共著書:『フッサールを学ぶ人のために』(世界思想社)、『心理学の哲学』(北大路書房)、『科学技術倫理を学ぶ人のために』(同)、『岩波講座哲学9科学/技術の哲学』(岩波書店)、『哲学の歴史9反哲学と世紀末』(中央公論新社)、『知の生態学的転回2技術』(東京大学出版会)。訳書:フィーンバーグ『技術への問い』(岩波書店)、ヤニッヒ『制作的行為と認識の限界』(共訳、国土社)、フレイザー+ホネット『再配分か承認か?』(共訳、法政大学出版局)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

日本語版への序文

序文


第Ⅰ部 歴史的な想起──ヘーゲルの本来の理念

第1章 自己保存をめぐる闘争──近代の社会哲学の基礎づけ
第2章 犯罪と人倫──ヘーゲルの間主観性論の新たなアプローチ
第3章 承認をめぐる闘争──ヘーゲルのイェーナ実在哲学の社会理論

第Ⅱ部 体系の現在化──社会的承認関係の構造

第4章 承認と社会化──ミードによるヘーゲルの理念の自然主義的な転換
第5章 間主観的な承認のモデル──愛、法(権利)、連
第6章 人格の同一性と尊重欠如──暴力的抑圧、権利の剥奪、尊厳の剥奪

第Ⅲ部 社会哲学的な展望──道徳と社会的発展

第7章 社会哲学的な伝統の軌跡──マルクス、ソレル、サルトル
第8章 尊重欠如と抵抗──社会的コンフリクトの道徳的論理
第9章 人格的統合の間主観的条件──人倫の形式的構想

承認の根拠──批判的な反問にたいする応答

訳者あとがき(旧版)
訳者あとがき(増補版)
原注
参考文献
事項索引
人名索引

関連書籍

A.ホネット著/河上倫逸監、宮本真也訳『物象化』
A.ホネット著/加藤泰史、日暮雅夫、他訳『正義の他者』
N.フレイザー、A.ホネット著/加藤泰史監訳『再配分か承認か?』