叢書・ウニベルシタス 1091
チチスベオ
イタリアにおける私的モラルと国家のアイデンティティ

四六判 / 462ページ / 上製 / 価格 5,280円 (消費税 480円) 
ISBN978-4-588-01091-0 C1322 [2019年02月 刊行]

内容紹介

「チチスベオ」は、18世紀のイタリアで、夫の同意のもと既婚貴婦人に付き従い、助ける任務を負った「付き添いの騎士」のこと。正式な夫妻の生活に割り込む特異な存在だが、その役割は組織化された三角関係の中で公然と承認されたものだった。しかし、複数の国に分かれていたイタリアが「統一国家」へと劇的に変貌する過程で彼らはその姿を消した。本書は、当事者や関係者の証言、日記、回想記、旅行記、文学や絵画作品など精査し、その歴史を探訪する。口絵付き。

著訳者プロフィール

ロベルト・ビッツォッキ(ビッツォッキ ロベルト)

(Roberto Bizzocchi)
ピサ大学教授(近代史)。専門は、中世から近代までの国家と教会の関係、近代における歴史文化史、家族史、ジェンダー関係史。Quaderni storici 編集委員。著書にGenealogie incredibili. Scritti di storia nell’Europa moderna, Bologna, il Mulino, 1995; In famiglia. Storie di interessi e affetti nell’Italia moderna, Roma-Bari, Laterza, 2001; Guida allo studio della storia moderna, Roma-Bari, Laterza, 2002; I cognomi degli Italiani. Una storia lunga 1000 anni, Roma-Bari, Laterza, 2014 ほか。

宮坂 真紀(ミヤサカ マキ)

東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。専門は18世紀イタリア文学。東京大学教養学部非常勤講師。論文に「ゴルドーニの喜劇におけるヴェネツィア方言の意味とその効果に関する考察――Le Morbinose と Le Donne di buon umore の比較を通して」(『イタリア学会誌』第58号、2008年)、「ゴルドーニのヴェネツィア方言におけるイタリア語――ガスパリーナの2言語併用」(『イタリア学会誌』第61号、2011年)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

Ⅰ 序論──チチスベオとは何者だったのか?

Ⅱ 啓蒙主義の世界で
2.1 チチスベオたちの社交サロン
2.2 チチスベオ、およびこれに類する者たち
2.3 監視か自由か?
2.4 無害な敵

Ⅲ 十八世紀の社会で
3.1 独身男性とチチスベイズモ
3.2 同盟の論理
3.3 三角関係

Ⅳ チチスベオの地政学
4.1 都市貴族のなかのチチスベオ
4.2 その他のチチスベオ
4.3 コンパーレとチチスベオ

Ⅴ 性愛
5.1 チチスベオと愛人
5.2 啓蒙主義的結婚
5.3 高貴な生まれ

Ⅵ 追放されたチチスベオ
6.1 「滑稽な称号」
6.2 拒まれた三角関係──テレーザとフェデリーコ
6.3 国家のための家族

訳者あとがき


人名・地名索引

書評掲載

「史学雑紙」(第128編 第8号、2019年8月20日発行/北田葉子氏・評)に紹介されました。

「日伊文化研究」(第58号、2020年3月発行/和栗珠里氏・評)に紹介されました。

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