叢書・ウニベルシタス 1095
神性と経験
ディンカ人の宗教

四六判 / 534ページ / 上製 / 価格 8,030円 (消費税 730円) 
ISBN978-4-588-01095-8 C3339 [2019年07月 刊行]

内容紹介

南スーダンの牧畜民ディンカ人を対象とした宗教民族誌。無文字社会における従来の信仰と実践の理解を大きく揺さぶった本書は、やはり同じ地域の牧畜民を論じたエヴァンズ=プリチャードの『ヌアー族の宗教』と双璧をなす、社会人類学の古典的名著である。寡作だった著者の主著でもあり、長らく邦訳が待たれていた。監訳者による詳細な解説は、より深い理解の助けとなることだろう。

著訳者プロフィール

ゴドフリー・リーンハート(リーンハート ゴドフリー)

(Ronald Godfrey Lienhardt)
1921年イギリスのヨークシャーに生まれる。はじめケンブリッジ大学で英文学を学ぶが、後に社会人類学に転ずる。1949年-1972年オックスフォード大学社会人類学研究所講師、1972年-1988年同教授(Reader)。南スーダンのディンカとアニュアで調査に従事。特にアフリカの神話や宗教、世界観に関する研究だけでなく、社会人類学の歴史についても令名を馳せた。オックスフォードアフリカ文芸叢書(The Oxford Library of African Literature)の編集委員も務めた。1993年に死去。著書には、本書の他に『社会人類学』(増田義郎・長島信弘訳、岩波書店)がある。

出口 顯(デグチ アキラ)

1957年島根県に生まれる。筑波大学卒業、東京都立大学大学院博士課程中退。1996年博士(文学)。島根大学教授。著書に『名前のアルケオロジー』 (紀伊國屋書店、1995年)、『レヴィ=ストロース斜め読み』青弓社、2003年)、『神話論理の思想 レヴィ=ストロースとその双子たち』 (みすず書房、2011年)、『レヴィ=ストロース まなざしの構造主義』 (河出ブックス、2012年)、『ほんとうの構造主義 言語・権力・主体』 (NHKブックス、2013年)、編著に『読解レヴィ=ストロース』 (青弓社、2011年)、共著に『新書アフリカ史 改訂新版』(宮本正興・松田素二編、講談社新書、2018年、「ナイル川流域世界」の章を執筆)などがある。

坂井 信三(サカイ シンゾウ)

1951年東京都生まれ。南山大学卒業。東京都立大学大学院博士課程満期退学。2001年博士(社会人類学)。南山大学教授。著書に『イスラームと商業の歴史人類学――西アフリカの交易と知識のネットワーク』(世界思想社、2003年)、論文に「口頭伝承から見たジャ――異教王権下のイスラーム都市の歴史と構造」(川田順造編『ニジェール川大湾曲部の自然と文化』東京大学出版会、1997年)、「北部ナイジェリアのムスリム・コミュニティーとイスラーム改革運動」(私市正年、貫井万里編『サハラ地域におけるイスラーム急進派の活動と資源紛争の研究――中東諸国とグローバルアクターとの相互関係の視座から』日本国際問題所、2015年)などがある。

佐々木 重洋(ササキ シゲヒロ)

1966年大阪市生まれ。京都大学大学院博士後期課程修了。博士(人間・環境学)。名古屋大学教授。著書に『仮面パフォーマンスの人類学――アフリカ、豹の森の仮面文化と近代』(世界思想社、2000年)、共編著に『「物質性」の人類学――世界は物質の流れの中にある』(同成社、2017年)、共著に『現代アフリカの民族関係』(明石書店、2001年)、『アフリカのいまを知ろう』(岩波ジュニア新書、2008年)、『森棲みの社会誌――アフリカ熱帯林の人・自然・歴史II』(京都大学学術出版会、2010年)、『アフリカ学事典』(昭和堂、2014年)などがある。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

監訳者まえがき
はじめに
序論
  第1部
第一章 天地の分かれ
第二章 神的なるものの唯一性と多数性(1)――自由神霊
第三章 神的なるものの唯一性と多数性(2)――クラン神霊
第四章 神性と経験

  第2部
第五章 簎矠の長の神話
第六章 経験の操作――祈願と祈祷
第七章 経験の操作――象徴的行為
第八章 生きたままの埋葬

解説:ディンカとともに考える人類学(出口顯)
監訳者あとがき

書評掲載

「図書新聞」(2019年12月7日/梅屋潔氏・評)に紹介されました。

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