叢書・ウニベルシタス 1110
生の肯定
ニーチェによるニヒリズムの克服
ISBN978-4-588-01110-8 C1310 [2020年03月 刊行]
バーナード・レジンスター(レジンスター バーナード)
(Bernard Reginster)
ブラウン大学哲学科教授。ベルギー、ドイツの大学で哲学と心理学を学んだ後、1992年にペンシルベニア大学で博士号を取得(テーマは「ニーチェ哲学における心理学的形而上学批判の本性と必然性」)。専門はニーチェ哲学を中心とした19世紀ドイツ哲学および倫理学。著作としては、本書が唯一の単著であるが、ニーチェにおける力の哲学と道徳の系譜学的批判に関する新著『無への意志』(オックスフォード大学出版局)が近刊予定。その他、各種学会誌への掲載論文、およびニーチェ、ショーペンハウアー、19世紀ドイツ哲学に関するアンソロジーへの寄稿は多数。
岡村 俊史(オカムラ トシフミ)
1977年生まれ。大阪市立大学大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。哲学専攻。龍谷大学・大阪南看護学校非常勤講師。論文:「パースペクティヴ的批判の可能性」(『理想』684号)、「ニーチェの「パースペクティヴィズム」のコンテクスト」(『人文研究』第60巻、大阪市立大学大学院文学研究科)、ほか。
竹内 綱史(タケウチ ツナフミ)
1977年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。宗教哲学専攻。龍谷大学経営学部准教授。論文:「ニーチェにおけるニヒリズムと身体」(宗教哲学会編『宗教哲学研究』第33号)、「超越者なき自己超越──ニーチェにおける超越と倫理」(関西倫理学会編『倫理学研究』第49号)、ほか。
新名 隆志(ニイナ タカシ)
1972年生まれ。九州大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。哲学・倫理学専攻。鹿児島大学教育学系准教授。共著:『エシックス・センス』(ナカニシヤ出版)、論文:「快は自己を欲するがゆえに苦をもまた欲する」(『理想』684号)、「遊戯とユーモア──ニーチェの幸福論と現代心理学」(『哲学論文集』第50輯)、ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。序
凡例/文献略語表
序 論
1 ニーチェ思想の体系性
2 本書の狙い
3 ニーチェの哲学的プロジェクト
4 『遺稿』の問題
第一章 ニヒリズム
第一節 ニヒリズムの本性
1 人生の意味という観念
2 ニヒリズムの二つの意味
3 ペシミズムとニヒリズム
4 絶望と方向喪失の対立?
5 「最高の価値」という概念
6 ニヒリズム──哲学かデカダンスか
第二節 ニヒリズムの諸源泉
1 「神は死んだ」
2 生の否定
3 生の否定の諸相
第三節 ニヒリズムの克服
1 ニヒリズムと価値転換
2 ニヒリズムの重要性
3 相対的概念としてのニヒリズム
第二章 方向喪失の克服
第一節 ニヒリズムと、価値に関する客観主義
1 絶望と方向喪失
2 客観主義
第二節 記述的客観主義の批判
1 プラトン主義の拒否
2 カント主義の拒否
3 ニヒリズム
第三節 規範的主観主義
第四節 規範的虚構主義
第五節 メタ倫理の限界
1 規範の本性
2 メタ倫理と絶望
第三章 力への意志
第一節 ショーペンハウアーのペシミズム
1 哲学と経験
2 ペシミズム
3 苦痛と欲求
4 幸福の消極的性格
5 人間的意志の本性
6 退屈に基づく論証
第二節 力への意志とは何か
1 ショーペンハウアー批判
2 力への意志の本性
3 力への意志の逆説
4 力への意志の心理学──二つのケーススタディ
第四章 絶望の克服
第一節 すべての価値の価値転換の可能性について
第二節 苦悩の問題
1 同情の道徳
2 諦念としての幸福
第三節 力の倫理
1 力、強さ、弱さ
2 二種類の抵抗
3 困難の価値
4 力が単独で目的自体になること
5 敵を評価すること
第四節 すべての価値の価値転換
1 同情の価値転換
2 偉大さという概念
3 幸福の価値転換
第五節 系譜学と価値転換
第五章 永遠回帰
第一節 永遠回帰と、生の肯定
第二節 永遠回帰の諸解釈
1 宇宙論としての永遠回帰
2 永遠回帰と、選択の無益さ
3 永遠回帰と、選択の重要性
4 永遠回帰と自己
5 永遠回帰と、生の評価
第三節 永遠回帰と価値転換
1 価値転換の必要性
2 永遠回帰の再描写
第六章 ディオニュソス的知恵
第一節 生の肯定と苦悩
1 苦悩の価値
2 アダムの堕罪、ソクラテスの無知、ファウストの取引
3 ディオニュソスと悲劇的知恵
4 超 人
第二節 生の否定と弱さ
1 ルサンチマン
2 禁欲主義的理想
3 ニーチェの「博愛」
4 倫理的エリート主義の問題
第三節 結 論
原 注
訳 注
訳者解説
訳者あとがき
索 引
書評掲載
「図書新聞」(2020年7月11日号/梅田孝太氏・評)に紹介されました。
「読書人」(2020年7月17日号/齋藤元紀氏・評)に紹介されました。
「フィルカル Vol.5 No.1」(2020年4月30日発行/大戸雄真氏・評)に紹介されました。
「フィルカル Vol.5 No.2」(2020年8月31日発行/中山弘太郎氏・評)に紹介されました。