叢書・ウニベルシタス 1115
世界の他化
ラディカルな美学のために
ISBN978-4-588-01115-3 C1310 [2020年10月 刊行]
ボヤン・マンチェフ(マンチェフ ボヤン)
(Boyan Manchev)
1970年生まれ。新ブルガリア大学教授。ベルリン芸術大学、ホリンズ大学客員教授。世界的に活躍するブルガリア出身の哲学者。デリダ設立の国際哲学コレージュでプログラム・ディレクターを務めるなど現代フランス哲学界の重要な論客の一人。ブルガリアのアーティスト・コレクティヴ「メテオール」のドラマトゥルクでもある。博士論文ではドストエフスキーを論じ、アリストテレス、カント、バタイユ、ジャン=リュック・ナンシーらの哲学・思想を受け継ぎながら他化や変容をキーワードとする様態の存在論を展開している。著書は本書のほかにフランス語で書かれた『変容と瞬間──生の脱有機化』(La métamorphose et l'instant : Désorganisation de la vie, La Phocide, 2009)、ブルガリア語で刊行されたのち英語に翻訳された『雲──自由な身体の哲学』(Clouds. Philosophy of the Free Body, Metheor, 2019)など。
横田 祐美子(ヨコタ ユミコ)
1987年生まれ。立命館大学文学研究科博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員DC、立命館大学衣笠総合研究機構専門研究員を経て、現在は同研究機構助教。専門は現代フランス哲学、フェミニズム。著書に『脱ぎ去りの思考──バタイユにおける思考のエロティシズム』(人文書院、2020年)、論文に「黒衣の娼婦と脱ぎ去りの思考──『内的体験』の鍵としての『マダム・エドワルダ』」(『関西フランス語フランス文学』第24号)、共訳書にミカエル・フッセル『世界の終わりの後で────黙示録的理性批判』(法政大学出版局、2020年)など。
井岡 詩子(イオカ ウタコ)
1987年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒業。京都大学大学院博士後期課程研究指導認定退学。京都大学博士(人間・環境学)。現在、京都芸術大学(旧称、京都造形芸術大学)、摂南大学非常勤講師、国際日本文化研究センター技術補佐員。専門は美学・芸術学、表象文化論。著書に『ジョルジュ・バタイユにおける芸術と「幼年期」』(月曜社、2020年)。
※上記内容は本書刊行時のものです。世界の他化──力動的存在論のために
世界の地平──変容
変形主義的唯物論のために
唯物論をめぐる戦いにおける同伴者としてのバタイユ
世界の他化、世界の存続=固執性
序論 他化の政治
いったいなぜバタイユなのか
バタイユと哲学者たち
方 法
超批判
例 証
最後の哲学者と世界の変容
第一章 感覚の変質=他化──アイステーシス的公理
プリミティヴ・アートと形象化された表象の起源
ミメーシスの変質=他化
複合イメージと個別の形態──類型と特異性
模倣的還元
怪 物
絶え間ない変質、イメージ
付記──アリストテレスのアロイオーシス
感覚の変質=他化
メタ‐アイステーシス──限界の感覚的経験
批判的限界、触覚
アイステーシス的他化と美的領野
他化をもたらす身振り、変形された物
偶然、可能態の現実性
革命的唯物論
第二章 物のまなざし
物の執拗さ──近代的表象の批判
猥褻さ
裸体──《オランピア》の現前
魅 惑
付記──〈もの〉
不定形なもの
足の親指
視覚の触視性──ヴィジョンの超批判のほうへ
第三章 感性的経験の超批判──現象学と存在──感性学
直接性、視覚、触覚──現象学的論争
視覚の現象学と超批判
触覚──可逆性と他化
触覚の空虚な核
盲点──触れる触れえないもの
触覚の他化
内在する隔たり──現前の審級(執拗さ)
存在──感性学的地平
世界の物質の強度──火
付記──見ることの他化、身体の他化。プロメテウスとしてのファン・ゴッホ
第四章 裸の真理、イメージ
視覚とまなざし
倫理的直接性──顔、パロール
他化された無媒介性
足への盲目のまなざし。裸の真理
顔の裸性と裸足
ラディカルな美学と超倫理
経験と他化
現前のまなざし
付記──死とイメージ
おそらくは盲目であろう神
世界の現前、イメージ
現前の透明さ
訳者あとがき
索 引