叢書・ウニベルシタス 1126
暴力
手すりなき思考
ISBN978-4-588-01126-9 C1310 [2020年12月 刊行]
リチャード・J.バーンスタイン(バーンスタイン リチャード ジェイコブ)
(Richard J. Bernstein)
1932年生まれ。ペンシルヴァニア大学、マサチューセッツ工科大学などを経て現在はニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチに所属。主としてプラグマティズムを研究するが、ヨーロッパ大陸の哲学にも造詣が深い。今は亡きリチャード・ローティの思想的盟友としても知られる。単著に『ジョン・デューイ』、『実践と行為』、『科学・解釈学・実践』(邦訳、岩波書店)、『手すりなき思考』(邦訳、産業図書)、『根源悪の系譜』(邦訳、法政大学出版局)、『ハーバーマスとモダニティ』、『ハンナ・アーレントとユダヤ人問題』、『フロイトとモーセ神話』、『悪の濫用』および『プラグマティズム的転回』がある。
齋藤 元紀(サイトウ モトキ)
1968年生まれ。高千穂大学教授。著書に『存在の解釈学──ハイデガー『存在と時間』の構造・転回・反復』、共訳書にロックモア『カントの航跡のなかで』(以上、法政大学出版局)。
梅田 孝太(ウメダ コウタ)
1980年生まれ。上智大学ほか非常勤講師。共著書に『デリダと死刑を考える』(白水社)、共訳書に『人文主義の言語思想──フンボルトの伝統』(岩波書店)。
大久保 歩(オオクボ アユム)
1972年生まれ。大阪大学文学研究科博士後期課程在籍。論文に「ニーチェ『悲劇の誕生』における美的公共圏」(『実存思想論集XXXV』、知泉書館)。
大森 一三(オオモリ イチゾウ)
1982年生まれ。東京学芸大学特任准教授。著書に『文化の進歩と道徳性──カント哲学の「隠されたアンチノミー」』、共著に『哲学の変還と知の越境』(以上、法政大学出版局)。
川口 茂雄(カワグチ シゲオ)
1976年生まれ。甲南大学准教授。著書に『表象とアルシーヴの解釈学』(京都大学学術出版会)、共編著に『現代フランス哲学入門』(ミネルヴァ書房)など。
渡辺 和典(ワタナベ カズノリ)
1975年生まれ。学習院大学ほか非常勤講師。著書に『最初期ハイデッガーの意味論──発生・形成・展開』(晃洋書房)、共著に『続・ハイデガー読本』(法政大学出版局)など。
※上記内容は本書刊行時のものです。前書き
序 論
第1章 カール・シュミットのアポリア【訳:大久保歩】
カール・シュミットの曖昧な遺産
政治的なもの──友/敵の区別
政治的敵意
運命としての政治
シュミットのアポリア
無からの決定?
暴 力
慣習的な敵意、現実の敵意、絶対的な敵意
シュミットの非道徳的道徳主義
第2章 ヴァルター・ベンヤミン──神的暴力?【訳:渡辺和典】
政治的文脈
法措定的暴力と法維持的暴力
革命的ストライキ
顕 現
神的暴力についてのマルクーゼの解釈
神的暴力をめぐって──バトラーとクリッチリーの場合
神的暴力をめぐって──ジジェクの場合
ベンヤミンの論文を脱構築するデリダ
デリダに対するローズの応答
神的暴力の決断不可能性
神的暴力をめぐる緊張感
ベンヤミンの論文の魅惑力
第3章 ハンナ・アーレント──権力と暴力【訳:大森一三】
歴史的背景
権力と暴力の対立
アーレントは何をおこなっているのか?
革命の精神
制作と暴力
テロルと暴力
暴力の正当化
アーレントの大げさな思考
アーレントの妥当性
権力、暴力、そして「現実世界」
第4章 フランツ・ファノンの暴力批判【訳:川口茂雄】
歴史的文脈
自然発生的暴力──その強さと弱さ
ナショナル・ブルジョワジーの失敗
ナショナルな文化
植民地的暴力がおよぼす社会心理学的な影響
暴力について
暴力批判
ファノンがのこした両義的な遺産
第5章 ヤン・アスマン──モーセ的区別と宗教的暴力【訳:梅田孝太】
モーセ的区別
モーセ的区別の脱構築
抗議の嵐とアスマンの応答
モーセ的区別と宗教的暴力
潜伏と抑圧されたものの回帰
宗教的暴力──暴力の第五の形式
一神教の影の側面
第6章 暴力と非暴力についての考察【訳:齋藤元紀】
原 注
訳 注
監訳者あとがき
文献一覧
事項索引
人名索引
書評掲載
「図書新聞」(2021年06月05日号/大竹弘二氏・評)に紹介されました。