叢書・ウニベルシタス 97
批評の解剖 〈新装版〉

第16回日本翻訳出版文化賞受賞
四六判 / 572ページ / 上製 / 価格 6,600円 (消費税 600円) 
ISBN978-4-588-09971-7 C1390 [2013年11月 刊行]

内容紹介

過去二千年の西洋文学を対象化してその特性を構造的に明らかにし、文学の研究すなわち批評のあり方に根源的変革を迫った古典的名著。文芸評論つまり批評家による個々の作品の直接体験と作品の価値評価とは別個に、文学の全体をより大きな脈絡の中で捉えその構造を透視する真の「詩学」の存在を主張する。第16回日本翻訳出版文化賞受賞。

著訳者プロフィール

N.フライ(フライ ノースロップ)

(Northrop Frye)
1912年カナダのケベック州生まれ。20世紀屈指の批評家。トロント大学ヴィクトリア・コレッジで哲学・英文学を学び、オックスフォード大学に留学。帰国後1939年から母校で英文学を講じ、1948年同校の教授、1952-59年には学長を務めた。1967年フライのために創設されたトロント大学英文学教授に就任、1991年に死去するまでそのポストにあった。1976年にアメリカ近代語学会会長に就任。西欧文学の構造原理を分析・解明し壮大な批評体系を構築した本書『批評の解剖』(1957)によって文学理論家としての地位を確立させ、その後『同一性の寓話』(63)、『世俗の聖典』(76)、『大いなる体系』(80)、『力に満ちた言葉』(90)、『神話とメタファー』(91)などを発表、聖書と文学に関わる研究分野をはじめ、その影響力は広く波及している〔上記はいずれも法政大学出版局から邦訳されている〕。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 緒言と感謝

挑戦的序論

第一エッセイ  歴史批評 様式の理論
叙事の諸様式 序論
悲劇的叙事の諸様式
喜劇的叙事の諸様式
主題の諸様式

第二エッセイ  倫理批評 象徴の理論
序論
逐字相および記述相──動機(モチーフ)としての象徴と記号(サイン)としての象徴
形式相 心象(イメージ)としての象徴
神話相 原型(アーキタイプ)としての象徴
神秘相 単子(モナド)としての象徴

第三エッセイ  原型批評 神話の理論
序論
原型的意味の理論(一) 黙示的イメージ
原型的意味の理論(二) 悪魔的イメージ
原型的意味の理論(三) 類比的イメージ
神話の理論 序論
春のミュトス 喜劇
夏のミュトス ロマンス
秋のミュトス 悲劇
冬のミュトス アイロニーと諷刺

第四エッセイ  修辞批評 ジャンルの理論
序論
継起のリズム エポス
持続のリズム 散文
題材調和(デコーラム)のリズム 劇
連想のリズム 抒情詩
劇の諸形式
主題文学の諸形式(抒情詩およびエポス)
持続的諸形式(散文フィクション)
百科全書的諸形式
非文学的散文の修辞学

結論の試み

 原註
 特殊用語一覧
 解説
 訳者あとがき
 索引
  作中人物名一覧
  人名・書名索引
  事項索引