叢書・ウニベルシタス 321
スピノザと表現の問題 〈新装版〉

四六判 / 460ページ / 上製 / 価格 5,500円 (消費税 500円) 
ISBN978-4-588-09978-6 C1310 [2014年01月 刊行]

内容紹介

スピノザの体系の起源と形成および理解のために、存在論的かつ認識論的な射程をもつ〈表現〉という概念の重要性に注目し、これを徹底的に追及することによって、その力動的な本質を明らかにする。スピノザを静的と見なす従来の解釈を逆転させ、現代のスピノザ・ルネサンスをリードした革新的研究。

著訳者プロフィール

ジル・ドゥルーズ(ドゥルーズ ジル)

(Gilles Deleuze)
1925年生まれのフランスの哲学者。1969年からパリ第八大学教授をつとめる。ドゥルーズは概念の創造に哲学本来のあり方を探り、自ら概念を新たに創造することによって哲学を作り直そうとした。主な著書に、17世紀の哲学者スピノザを現代に蘇生させた本書のほか、『ベルクソンの哲学』(66)、『差異と反復』(68)、『意味の論理学』(69)、『プルーストとシーニュ』(64、70)、『感覚の論理──画家フランシス・ベーコン論』(81)、『シネマ(1、2)』(83、85)などがある。また精神分析学者フェリックス・ガタリと共同で、『アンチ・オイディプス』(73)、『カフカ』(75)、『千のプラトー』(80)などを刊行している。1995年11月4日死去。

工藤 喜作(クドウ キサク)

1930年横浜に生まれる。東京教育大学大学院博士課程満期退学。筑波大学名誉教授、目白大学名誉教授。文学博士。2010年死去。
主要著・訳書:『スピノザ哲学研究』、『スピノザ』、『近代哲学研究序説』、フロイデンタール『スピノザの生涯』、その他スピノザに関する論文多数。

小柴 康子(コシバ ヤスコ)

(旧姓 中村)1956年千葉県に生まれる。東京女子大学文理学部卒。筑波大学大学院博士課程満期退学。
主要論文:「デカルトの〈力〉について」、「デカルトの〈持続〉と〈存在〉について」その他。

小谷 晴勇(コタニ ハルオ)

1960年横浜に生まれる。筑波大学大学院博士課程満期退学。日本哲学会会員。
主要論文:「『アンチ = オイディプス』におけるスピノジスム」、「ドゥルーズとスピノザ」その他。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 はしがき

序論 表現の役割と重要性

第 I 部 実体の三つ組
 第1章 数的区別と実在的区別
 第2章 表現としての属性
 第3章 属性と神の名称
 第4章 絶対者
 第5章 力

第 II 部 平行論と内在性
 第6章 平行論における表現
 第7章 二つの力と神の観念
 第8章 表現と観念
 第9章 非十全性
 第10章 デカルトとスピノザ
 第11章 表現の内在性と歴史的要素

第 III 部 有限様態について
 第12章 様態の本質、無限から有限への移行
 第13章 様態の存在
 第14章 身体は何をなしうるか
 第15章 三つの秩序と悪の問題
 第16章 倫理的世界観
 第17章 共通概念
 第18章 第三種の認識に向かって
 第19章 至福

結論 スピノザにおける表現の理論(哲学における表現主義)

付録 『エティカ』の計画とこの計画が実現された際の注解の役割についての形式的研究──二つの『エティカ』

 原注
 訳者注
 訳者あとがき