もはや帰るべき故郷を持たず、理想や進歩を単純には信じ得ない、幾重にも疎外された歴史的主体の表現であり、否定性の彼方に〈他なるもの〉を体験させるマーラーの音楽世界。その精緻な作品分析により、マーラーの構想・イデー・技術を解き明かし、その現代性を見事に捉える。
Th.W.アドルノ(アドルノ,Th.W.)
(Theodor W. Adorno)テオドール・W. アドルノ
1903年フランクフルト生まれ。青年時代から哲学と音楽の両分野で才能を発揮。哲学博士号取得の後、1925年よりウィーンでアルバン・ベルクに作曲を学び、音楽家と交流。1928〜31年前衛的音楽評論雑誌『アンブルッフ』の編集を担当する。1931年キルケゴールに関する論文で教授資格取得。1938年アメリカ移住。フランクフルト学派の一員として社会研究に従事。1949年にフランクフルトに戻り、ホルクハイマーとともに1950年社会研究所を再開する。戦後はその鋭い社会批判によってドイツの思想界をリードし、ドイツ社会学会会長も務める一方で、現代音楽の高度な評論・分析によりヨーロッパの作曲家に大きな影響を与えた。1969年没。『啓蒙の弁証法』(1947)『新音楽の哲学』(1949)『ミニマ・モラリア』(1951)『否定弁証法』(1966)『アルバン・ベルク』(1968)などの著書がある。
龍村 あや子(タツムラ アヤコ)
1951年生。東京芸術大学大学院にて音楽美学・民族音楽学専攻後、DAAD給費留学生として渡独。ベルリン自由大学と工科総合大学で学び、C. ダールハウスのもとアドルノの音楽哲学研究で哲学博士号Dr. Phil.取得。現在、京都市立芸術大学音楽学部・大学院音楽研究科教授。専門は音楽美学・社会学、比較文化・比較文明学。
※上記内容は本書刊行時のものです。I 天幕とファンファーレ
II 音調
III 性格的要素
IV 小説
V ヴァリアンテ──形式
VI 技術の次元
VII 崩壊と肯定
VIII 長きまなざし
第二版へのあとがき
原注
訳注
訳者あとがき
索引(人名・事項・マーラーの作品)
II 音調
III 性格的要素
IV 小説
V ヴァリアンテ──形式
VI 技術の次元
VII 崩壊と肯定
VIII 長きまなざし
第二版へのあとがき
原注
訳注
訳者あとがき
索引(人名・事項・マーラーの作品)
書評掲載
「音楽の友」(2014年11月号/寺西肇氏・評)に紹介されました。