田岡 嶺雲(タオカ レイウン)
1871年、土佐国高知(現・高知県高知市)に生まれる。本名は田岡佐代治。自由民権運動の興隆を受け、1880年代には高知市内の民権結社にも加入していた。1890年、上京し水産伝習所(現在の東京海洋大学水産学部)に入学、後に東京帝国大学文科大学漢文学科選科(現在の東京大学文学部)に転学卒業。大学在学中に評論活動を始め、樋口一葉や泉鏡花の作品を高く評価した。その後、一時期には岡山県津山で学校教師も勤めたが、再び上京してからは新聞各紙の記者、ジャーナリスト兼評論家として、『平民新聞』や『帝国文学』、『太陽』などで執筆を続けた。ときには中国本土にわたり、北清事変の際には現地からルポを送信した。日露戦争後の1905年に刊行した『壺中観』、続刊の『霹靂鞭』が相次いで発禁処分を受け、その頃から権力に反抗する立場から、非戦論・資本主義批判の論調での執筆活動が多くなっていった。1909年には、自由民権運動のなかで起きた秩父事件などの武装決起事件の関係者からの聞き書きを元に『明治叛臣伝』を著した。1910年、大逆事件の容疑で幸徳秋水が湯河原で捕縛されたとき、その場面を目撃した。このころから脊髄を病み、歩行も困難になり、1912年療養地先の日光で世を去った。
西田 勝(ニシダ マサル)
1928年、静岡県に生まれる。1953年、東京大学文学部卒業、法政大学文学部教授を経て、現在〈西田勝・平和研究室〉主宰、植民地文化学会代表。主要著書に『グローカル的思考』『近代日本の戦争と文学』『近代文学の発掘』(以上、法政大学出版局)、『社会としての自分』(オリジン出版センター)、『近代文学閑談』(三一書房)、『私の反核日記』(日本図書センター)、編訳書に『田岡嶺雲全集』(全7巻、刊行中。法政大学出版局)、呂元明『中国語で残された日本文学』、鄭清文『丘蟻一族』(以上、法政大学出版局)、ゴードン・C・べネット『アメリカ非核自治体物語』(筑摩書房)、『世界の平和博物館』(日本図書センター)、『《満洲国》文化細目』(共編、不二出版)、『《満洲国》とは何だったのか』(共編、小学館)などがある。
※上記内容は本書刊行時のものです。和譯老子 和譯莊子 抄
老莊の和譯に就きて
如何か老子を讀むべき
和譯老子
如何か莊子を讀むべき
和譯莊子 內篇
三人 卷一 ゴルキー
八月三日 スーヴェスツル
何の爲に痩削さるゝ陸 ユーゴー
商務敎程 抄
商工地理學
硏 究
老子經の歐譯
東西兩洋文明の最始抵觸朞
金の吾古孫が北使記
拾三世紀に於ける蒙古民族の雄圖
シヨツペンハウアー氏の支那宗敎論
印度の神祕説 瑜伽論師哲學説
支那文學の復古
支那の古書は何が故に讀み難き
國ぶり
我俗曲に於ける自然
俗曲に詠ぜる游里(上)
詩・常磐津・俳句
自影相に題す
常磐津 かさゝぎ
俳 句 一八八七年―一九一二年
序・緖言・墓碑銘
『嶺雲搖曳』自序
『雲のちぎれ』自序
笹川臨風著『雨絲風片』序
宮崎來城著『虞美人』序
伊東利男著『水戸』序
池元呦鹿庵著『英雄僧日蓮』序
『うろこ雲』自序
沼波瓊音編『新古俳諧奇調集』序
千葉秀浦・鹿島櫻巷共著『結婚之祕訣』序
『霹靂鞭』自序
小川芋錢著『草汁漫畫』序
小川芋錢との合著『有聲無聲』序
『病中放浪』自序
『和譯史記列傳』緖言
『七書』及び『鬼谷子』の著者
『淮南子』に就て
『列子』に就きて
『春秋左傳』につきて
佐藤秋蘋墓碑銘
養母田岡鶴岡・弟增猪の墓碑銘
雜 纂
讃
小杉未醒著『漫畫一年』のうち
小杉未醒著『漫畫天地』のうち
アンケート
歷史に上るべき現代人物觀察 敷石となるべき人物
作中に現れたる女性 純日本型
自由結婚は可きか惡き乎
好きな土地
一日中の樂しき時刻
文藝家と晚餐
インタビュー
春風春水(赤羽巖穴)
新刊書評
『天鼓』所載
新著月旦 バイロン作・木村鷹太郞譯『海賊』ほか (創刊號)
新著紹介 『ホトトギス』第百號ほか (第三號)
新著月旦 正岡藝陽著『自然美論』ほか (第四號)
新著月旦 平民社編『革命婦人』ほか (第五號)
三詩集 岩野泡鳴著『悲戀悲歌』ほか (第七號)
新著月旦 登張竹風ほか譯『當世ハイカラ競』ほか (第七號)
『黑白』所載
新刊紹介 樋口龍峽『時代と文藝』ほか (第三號)
埋め草
『嶺雲搖曳』初版所收
〔感懷〕(中野逍遙)
『天鼓』所載
〔ナポレオン頌歌〕(バイロン)
〔二つの聲〕(ワーズワーズ)
〔DURCH DIE BLUME〕
ユーゴー名句集
シヨーペンハウアーの自叙
芭蕉の手柬
知識の淺薄(エリヲツト)
李義山雜纂抄
別才別趣(嚴儀)ほか
一句一人(丈草ほか一八句)
一人一語(パスカルほか)
詩人の年壽(洪亮吉)
消遣茶話(▲ゴルキー獄中の作 ほか)
咏史(蕪村ほか三六句)
武者(一茶ほか七句)
〔人類の始祖〕
『壺中我觀』所收
〔李義山雜纂抄〕
『病中放浪』所收
〔荀子〕
擬古(杜甫)
雲雀(齋藤弔芲)
廣 告
『江湖評論』初號
『天鼓』初號ほか
『霹靂鞭』
『黑白』第二號ほか
『三人』
書 簡
笹川臨風宛書簡
加藤雪腸宛葉書
三宅雪嶺宛書簡
藤井紫影宛書簡
白河鯉洋宛書簡
『週刊平民新聞』宛書簡
佐藤秋蘋宛書簡
幸德秋水宛書簡
沼波瓊音宛書簡
近藤喜衞宛書簡
田岡典章宛書簡
『日本及日本人』記者宛書簡
石丸重義宛書簡
ほか
遺 稿
鶴城行
〔夜鬼窟回顧〕
〔蘇州より〕
〔倭寇とは何ぞや〕
〔波のしぶ記〕
〔呉の都より 續〕
〔人の生存上に於ける權利〕
東文初階
西史試題
論理學 續
潛夫妄語
『霹靂鞭』廣告文
史劇『知己』を評す
〔人の生るゝや裸躰也〕
卷雲舒雲
〔雪の西湖〕
「支考の俳論」の參考談(速記錄)
支考(の)俳論(速記錄)
著作年譜
著作目錄
生涯年譜
遺品目錄
道具類
書籍 漢籍ほか
新聞切り拔き
既刊分正誤表
編 注
解 題(西田 勝)