北東アジア、ニーチェと出会う
19世紀末〜20世紀初頭の精神史的地平
ISBN978-4-588-13041-0 C1010 [2024年07月 刊行]
金正鉉(キム ジョンヒョン)
金正鉉(キム ジョンヒョン)
韓国・高麗大学校哲学科大学院で哲学を専攻し、ドイツ・ヴュルツブルク大学で哲学・社会学・宗教学を学んで哲学博士号を取得。世界標準版ニーチェ全集韓国語版編集委員および韓国ニーチェ学会・汎韓哲学会会長を歴任。現韓国・圓光大学校哲学科教授、韓中関係研究院院長、HK+東北アジア人文社会研究所所長。著書にNietzsches Sozialphilosophie、『ニーチェ、生命と治癒の哲学』など、訳書にニーチェ『善悪の彼岸・道徳の系譜』など多数。
文俊一(ムン ジュンイル)
文俊一(ムン ジュンイル)
韓国外国語大学校露語科および同大学院を卒業し、ロシア・モスクワ国立大学で革命期ロシア文学を研究、文学博士号を取得。帰国後は韓露関係に学問的接点を見出すことに努め、初期韓露関係史に対する人文学的アプローチ、シベリア少数民族の神話、サハリン・ディアスポラなどに関心を持っている。現圓光大学校北東アジア人文社会研究所教授。
趙晟桓(チョ ソンファン)
趙晟桓(チョ ソンファン)
韓国・西江大学校で数学と哲学を、早稲田大学で中国哲学を学んだ後、西江大学校哲学科で博士学位を取得。西江大学校講師、圓光大学校で宗教問題研究所専任研究員、圓佛教思想研究院責任研究院を歴任。現圓光大学校韓中関係研究院・HK+東北アジア人文社会研究所教授。著書に『韓国近代の誕生』『天を描く人々』など。訳書に小倉紀蔵『韓国は一つの哲学である』、篠原雅武『人類世の哲学』(共訳)などがある。
岩脇リーベル豊美(イワワキ リーベル トヨミ)
岩脇リーベル豊美(イワワキ リーベル トヨミ)
ドイツ・ヴュルツブルグ大学哲学科にて博士号取得。現ヴュルツブルグ・シュヴァインフルト技術大学(THWS)講師。哲学・日本学に従事。著書にNietzsches Philosophie des Wanderers. Interkulturelles Verstehen mit der Interpretation des Leibes, Sprache–Übersetzung–Welt(en). Das Japanische im globalen Zeitalter(編著)、論文に“Yosano Akikoʼs Philosophy and Poetry–Modernization of Japan and Womenʼs Liberation”など。
柳芝娥(ユ ジア)
柳芝娥(ユ ジア)
中央大学校(韓国)を卒業して立教大学で日本史を専攻し、現在は圓光大学校教授。アジア・太平洋戦争と敗戦後の日本の戦後処理過程などを中心に研究を進めている。著書に『韓日歴史問題の現在(2000–2022)』(共著)、『争点韓国史──現代編』(共著)など、訳書に笠原英彦『象徴天皇制と皇位継承』などがある。
金賢珠(キム ヒョンジュ)
金賢珠(キム ヒョンジュ)
韓国・成均館大学校政治外交学科、東アジア学術院東アジア学科で政治学を専攻し、中国・清華大学哲学科で「先秦政治思想に対する梁啓超の現代的解釈」というテーマで哲学博士学位を取得。現在は圓光大学校HK+東北アジア人文社会研究所教授として在職中。著書に『春秋戦国時代の悩み』、訳書に『万国公法』など。
高建惠(カオ チアンフイ)
高建惠(カオ チアンフイ)
韓国・慶北大学校で中国語文学を専攻して博士号を取得。中国・天津外国語大学で中国語中国文学科教授として在職し、慶北大学校中国語中国文学科招聘教授を経て、韓国・水原大学校中国語中国文学科教授として在職中。
柳生 真(ヤギュウ マコト)
柳生 真(ヤギュウ マコト)
韓国・江原大学校哲学科大学院卒業。日本で京都フォーラム公共哲学共働研究所特任研究員、中国で西安外国語大学、延安大学の外語専家を歴任。現在は韓国で圓光大学校研究教授。著書に『韓国と日本、哲学でつなぐ』『崔漢綺気学研究』など、訳書に篠原雅武『人類世の哲学』(共訳)、李光来『韓国の西洋思想受容史』(共訳)など。
第一章 十九世紀末ロシアの思想地形図とニコライ・グロットのニーチェおよびトルストイ解釈 【文俊一】
1 ロシア、北東アジアのニーチェ言説の始原
2 ロシアのニーチェ受容史
3 ロシアの社会状況とニーチェ受容の特徴
4 プレオブラジェンスキー、ニーチェに対する最初の回答
5 ニコライ・グロットのニーチェおよびトルストイ解釈
6 グロットと北東アジアのニーチェ受容の典型
第二章 小西増太郎のニーチェおよびトルストイ受容と日本精神史的意味 【趙晟桓】
1 北東アジアにおけるニーチェ受容史に関する韓国の研究
2 日本ニーチェ受容史の先行研究分析
3 明治期のトルストイ受容
4 小西増太郎のトルストイとニーチェ解析
5 小西以降のニーチェ解析
6 初期日本ニーチェ受容史の意味
第三章 高山樗牛「美的生活を論ず」とニーチェ思想 【岩脇リーベル豊美】
1 高山樗牛の評論活動の成立と個人主義
2 樗牛の「美的生活を論ず」以前のニーチェ像形成
3 「美的生活を論ず」の主旨
4 ニーチェ、ツィーグラーからの「美的生活論」解釈と結論
5 結 び
第四章 浮田和民の愛己/愛他解釈と倫理的帝国主義論 【柳芝娥】
1 日本におけるニーチェ哲学受容研究の現状
2 日清戦争以後、日本知識人のニーチェ哲学受容と批判
3 浮田和民の愛己/愛他解釈
4 日露戦争後、国家認識と倫理的帝国主義論
5 浮田和民の帝国主義への転移
第五章 梁啓超の社会進化論とニーチェ思想【金賢珠】
1 ニーチェと進化論
2 進化思想の主体
3 進化の動力
4 進化の過程
5 梁啓超とニーチェの進化思想
第六章 魯迅と沈従文のニーチェ解釈──一九二〇年代の文学経典化とニーチェの中国化を中心に 【高建惠】
1 一九〇二〜一九〇八年──魯迅のニーチェに対する理論的解釈
2 一九一八〜一九二五年──魯迅のニーチェ中国化の文学実践
3 一九一八〜一九二五年──ニーチェの中国本土化と魯迅の経典化
4 魯迅から沈従文まで──ニーチェ中国化の拡大
5 結 論
第七章 一九一〇年代、植民地朝鮮におけるニーチェ思想の受容──『学之光』を中心に 【金正鉉】
1 植民地朝鮮の問題意識とニーチェ
2 『学之光』とニーチェ
3 一九一〇年代のニーチェ解釈──社会進化論と生命主義、新青年の自覚
4 植民地朝鮮におけるニーチェ受容の意味
注・参考文献
人名/著作・雑誌名/事項索引