G.バシュラール(バシュラール ガストン)
(Gaston Bachelard)
1884-1962。フランスのバール=シュル=オーブに生まれる。故郷の高等中学を卒業後、電報局職員などをしながら独学。ソルボンヌ大学で数学の学士号をとり、1919年から母校の物理・化学の教師となる。22年、哲学教授資格試験に合格。27年、学位論文『近似的認識試論』により文学博士となり、ディジョン大学文学部教授をつとめる。40年、ソルボンヌ大学で科学史・科学哲学の教授となる。物理学、化学、心理学、精神分析、哲学の諸成果を幅ひろく吸収して、科学とポエジーを統一的に捉える独自のエピステモロジーを構築。主著に『科学的精神の形成』(38)、『火の精神分析』(38)、『ロートレアモン』(40)、『否定の哲学』(40)、『空と夢』(43)、『大地と意志の夢想』(48)、『大地と休息の夢想』(48)、『空間の詩学』(57)、『夢想の詩学』(61)などがある。61年に文学国家大賞受賞。
及川 馥(オイカワ カオル)
1932年宮城県生まれ。東北大学大学院文学研究科博士課程修了。フランス文学専攻。茨城大学名誉教授、前愛国学園大学教授。主著に『バシュラールの詩学』『原初からの問い──バシュラール論考』(法政大学出版局)、詩集に『テラスにて』『鳥?その他』『夕映え』『月と重力』(書肆山田)、訳書にバシュラール『近似的認識試論』『科学的精神の形成』(ともに共訳、国文社)、『大地と意志の夢想』(思潮社)、『夢想の詩学』(ちくま学芸文庫)、『エチュード』(法政大学出版局)、セール『生成』『離脱の寓話』『両性具有』『第三の知恵』『天使の伝説』、『パラジット』(共訳)、『自然契約』(共訳)、『アトラス』(共訳)、トドロフ『はかない幸福─ルソー』、『象徴の理論』(共訳)、『象徴表現と解釈』(共訳)、『批評の批評』(共訳、以上法政大学出版局)、ブラン『ボードレールのサディスム』、『ボードレール』(共訳、ともに沖積舎)、ヴェベール『テーマ批評とは何か』、ディエゲス『批評家とその言語』(ともに審美社)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。第1章 明るい水、春の水と流れる水
ナルシシスムの客観的条件、恋する水
第2章 深い水―眠る水―死んだ水
エドガー・ポーの夢想における〈重い水〉
第3章 カロン・コンプレックス
オフィーリア・コンプレックス
第4章 複合的な水
第5章 母性的水と女性的水
第6章 純粋と浄化、水の倫理
第7章 淡水の優位
第8章 荒れる水
むすび 水のことば
原註・訳注
訳者あとがき
人名索引