『存在と時間』講義
統合的解釈の試み
ISBN978-4-588-15049-4 C1010 [2007年09月 刊行]
ジャン・グレーシュ(グレーシュ,J.)
(Jean Greisch)
1942年ルクセンブルクのクーリッシュで生まれる。ルクセンブルクの大神学校、オーストリアのインスブルック大学の神学部で学んだ後、パリカトリック学院で哲学を学ぶ。1973年から同学院で教鞭をとり、 1985年から2006年まで教授を務める。また、1986年以来、フランス国立科学研究センター(CNRS)研究員としてパリ・フッサール文庫に所属している。リクールやハイデガーを始めとする、現象学由来の現代仏独哲学の広範な研究で知られる。有名なスリジーのコロキウムでリクール、レヴィナス、アンリの3回にわたって組織責任者を務めるなど、フランス哲学界で重要な役割を果たしてきた。主著としては、本訳書と同系列のハイデガー・解釈学的現象学の研究書以外に、リクール研究の大著『ポール・リクール──意味の道程』(2001)、宗教哲学の歴史と現状に関する総合の書『燃える柴と理性の光──宗教哲学の発明』全3巻(2000-2004)がある。グレーシュは2007年9月に来日、東京・京都で講演を行っている。
杉村 靖彦(スギムラ ャスヒコ)
1965年生。京都大学文学研究科准教授。宗教哲学、現代フランス哲学。著書:『ポール・リクールの思想──意味の探索』(創文社)、共編書Philosophie japonaise. Le néant, le monde et le corps(J. Vrin).
松本 直樹(マツモト ナオキ)
1966年生。同志社女子大学非常勤講師。ハイデガー哲学、西田哲学。論文:「死はいつかの出来事であるか ハイデガー『存在と時間』における「無規定性」の概念について」(『宗教哲学研究』第24号)他。
重松 健人(シゲマツ タケヒト)
1966年生。関西学院大学非常勤講師。現代フランス思想。著書:『言語と「期待」』(関西学院大学出版会)他。
関根 小織(セキネ サオリ)
1971年生。青山学院大学総合文化政策学部准教授。現代フランス哲学・現象学。著書:『レヴィナスと現れないものの現象学──フッサール・ハイデガー・デリダと共に反して』(晃洋書房)他。
鶴 真一(ツル シンイチ)
1972年生。大阪教育大学非常勤講師。現代フランス哲学。論文:「レヴィナスにおける超越と倫理」(『宗教哲学研究』第26号)他。
伊原木 大祐(イバラギ ダイスケ)
1975年生。北九州市立大学基盤教育センター准教授。現代フランス哲学。著書:『レヴィナス 犠牲の身体』(創文社)他。
川口 茂雄(カワグチ シゲオ)
1976年生。青山学院大学非常勤講師。19-20世紀フランス・ドイツ哲学。著書:『表象とアルシーヴの解釈学──リクールと『記憶、歴史、忘却』』(京都大学学術出版会)他。
※上記内容は本書刊行時のものです。歴史的序論──事実性の解釈学から基礎的存在論まで(1919-1928年)
第一章 1910-1918年──修業時代・初期講義時代
第二章 1919-1923年──事実的生の発見(現象学の開始と事実性の解釈学)
第三章 1923-1928年──マールブルク、存在論の開始
第 I 部 存在の問いと現存在の分析
『存在と時間』読解への全般的序論
序論 存在の意味への問いの提示と内在平面の見取図
第一章 存在の問い──必然性、構造、優位性
第二章 いかにして存在の問いを仕上げるか──二重の課題と方法的諸問題
(『存在と時間』)第一部第一篇 現存在の準備的基礎分析
第一章 現存在の準備的分析という課題の提示
第二章 現存在の根本体制としての世界内存在
第三章 世界の世界性
第四章 自己、他者、ひと──自己の解釈学の素描
第五章 内存在そのもの
第六章 現存在の根源的全体性──気遣いと不安
第 II 部 現存在と時間性(『存在と時間』第一部第二篇)
第一章 死への存在
第二章 良心の呼び声
第三章 気遣いの存在論的意味としての時間性
第四章 時間性と日常性
第五章 時間性と歴史性
第六章 時間性と時間内部性
第 III 部 時間と存在──存在論的差異の発明
一般的序論
第一章 間奏──現象学と神学
第二章 志向性と超越
第三章 基礎的存在論とその主題──存在論的差異
第四章 時間性から存在の時的解釈へ──アプリオリの問題
第五章 「『存在と時間』という問題」(最初の自己解釈)
原注
訳注
「コラム」出典一覧
解説
人名索引
事項索引