神の死という視点からヘーゲルとヘーゲル左派を経由してニーチェへと到る地下通路を解明したレーヴィットらの研究をふまえながら、仮象論をさらに行為論へと絞り込んで現代哲学との接点をも明らかにし、ヘーゲルとニーチェの相補的関係の根底に、古代のディオニュソス崇拝という接点があることを示す。自己創造的行為論の豊かな哲学的鉱脈をヘーゲルからニーチェに到るドイツ哲学史に探る意欲的な試み。〔哲学・思想〕
山口 誠一(ヤマグチ セイイチ)
1953年,東京生まれ.現在,法政大学文学部哲学科教授(ドイツ哲学).
主要編著書:『ヘーゲル哲学の根源―精神現象学の問いの解明』(法政大学出版局,1989年),『ヘーゲル事典』(共編著,弘文堂,1992年,2008年韓国語訳),『ヘーゲルのギリシア哲学論』(創文社,1998年),『クリエートする哲学』(弘文堂,2000年),『ヘーゲル《新プラトン主義哲学》註解』(共著,知泉書館,2005年).