古代日本を称揚し、中国文明・中国思想(漢意)に囚われた学者たちの知の在り方を厳しく批判した宣長はなぜ、他ならぬ孔子だけは「よき人」とし、一貫して高く評価しえたのか? 「正名」を手がかりに、同時代の思想状況や関連する儒学者・国学者たちの錯綜する言説を精緻に読み解き、宣長の学問観や『古事記伝』に描かれた古代日本の名・秩序のあり方を客観的に論証する意欲作。
河合 一樹(カワイ カズキ)
広西大学助理教授。日本思想史。論文:「古事記伝と姓氏録──本居宣長における「ウヂカバネ」の成立」(『日本思想史学』51号)、「死者の名を呼ぶ──本居宣長における諱の問題」(『倫理学年報』67号)、共編著:『東アジアにおける哲学の生成と発展──間文化の視点から』(法政大学出版局)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。凡 例
緒 言
序 論
第一節 宣長と朖──「大和心と正名」への導入 ⑴
第二節 「神」の注釈と「名」の注釈──「大和心と正名」への導入 ⑵
第三節 真淵からの手紙──二つの疑問の関係
第四節 近世思想史と「正名」──先行研究について ⑴
第五節 「漢意」から「正名」へ──先行研究について ⑵
第六節 本書の方法と構成
第一部 本居宣長の孔子観と「正名」
序章
第一節 『玉勝間』第九三条
第二節 「正名」の出典
第三節 本部の構成
第一章 宣長と近世の「正名」論
序
第一節 「或る儒者」太宰春台
第二節 春台と「正名」
第三節 残された思想史的広がり
第四節 寛政期の「正名」
第五節 徂徠と白石の「正名」
第六節 留守希斎『称呼弁正』と浅見絅斎『称呼弁』
結
第二章 孔子はよき人──宣長の孔子観とその周辺
序
第一節 『原玉勝間』
第二節 『玉勝間』三の巻初版本
第三節 『玉勝間』十四の巻
第四節 国学者たちの孔子観
第五節 徂徠派からの影響
結
第三章 聖典の編纂者──宣長の孔子観と『古事記』序文解釈
序
第一節 孔子と「もののあはれ」
第二節 孔子の学問への評価
第三節 学者のあるべき姿
第四節 日本における「名」
第五節 『古事記』序文解釈
第六節 近世思想史における孔子と舎人親王
結
結章
第一節 「文字の徳」
第二節 「漢意」の中で
第三節 真淵の老子・宣長の孔子
第二部 『古事記伝』における「名」の注釈
序章
第一節 「名々」の注釈──『古事記伝』允恭記の注釈 ⑴
第二節 「氏姓」の注釈──『古事記伝』允恭記の注釈 ⑵
第三節 「忤過」「言八十禍津日前」の注釈──『古事記伝』允恭記の注釈 ⑶
第四節 『古事記伝』と「正名」
第五節 本部の構成
第四章 氏姓と政──古えの社会秩序
序
第一節 『玉勝間』における「姓氏の事」
第二節 異姓不養
第三節 同姓不婚
第四節 百王一姓
第五節 「ウヂカバネ」 と 「職」
第六節 氏姓・天皇・政
結
第五章 聖人のいない国──神武天皇観を中心に
序
第一節 五瀬命と神武天皇
第二節 『姓氏録』序文と『古事記伝』神武記
第三節 『古事記伝』における「ウヂカバネ」の成立
第四節 「天皇」号の成立
第五節 「スメラミコト」の意味
第六節 真の暦
結
第六章 死者の名を呼ぶ──「諱」の問題
序
第一節 「諱」と漢意
第二節 「諱」と正名──「諱」を巡る思想史的背景 ⑴
第三節 忍びがたき人情──「諱」を巡る思想史的背景 ⑵
第四節 「名」を呼ぶことと「真心」
第五節 「もののあはれ」論との関係
結
結章
第一節 『古事記』の語り方
第二節 大和心と正名
結 論
第一節 本書の総括
第二節 宣長研究における本書の位置づけ
第三節 日本近世思想史の中での本書の位置づけ
第四節 残された課題と今後の展望
参考文献
《付録1》 日本近世における「正名」関連文献一覧
《付録2》 『原玉勝間』・『玉勝間』対応表
あとがき
事項索引
書名索引
人名索引
緒 言
序 論
第一節 宣長と朖──「大和心と正名」への導入 ⑴
第二節 「神」の注釈と「名」の注釈──「大和心と正名」への導入 ⑵
第三節 真淵からの手紙──二つの疑問の関係
第四節 近世思想史と「正名」──先行研究について ⑴
第五節 「漢意」から「正名」へ──先行研究について ⑵
第六節 本書の方法と構成
第一部 本居宣長の孔子観と「正名」
序章
第一節 『玉勝間』第九三条
第二節 「正名」の出典
第三節 本部の構成
第一章 宣長と近世の「正名」論
序
第一節 「或る儒者」太宰春台
第二節 春台と「正名」
第三節 残された思想史的広がり
第四節 寛政期の「正名」
第五節 徂徠と白石の「正名」
第六節 留守希斎『称呼弁正』と浅見絅斎『称呼弁』
結
第二章 孔子はよき人──宣長の孔子観とその周辺
序
第一節 『原玉勝間』
第二節 『玉勝間』三の巻初版本
第三節 『玉勝間』十四の巻
第四節 国学者たちの孔子観
第五節 徂徠派からの影響
結
第三章 聖典の編纂者──宣長の孔子観と『古事記』序文解釈
序
第一節 孔子と「もののあはれ」
第二節 孔子の学問への評価
第三節 学者のあるべき姿
第四節 日本における「名」
第五節 『古事記』序文解釈
第六節 近世思想史における孔子と舎人親王
結
結章
第一節 「文字の徳」
第二節 「漢意」の中で
第三節 真淵の老子・宣長の孔子
第二部 『古事記伝』における「名」の注釈
序章
第一節 「名々」の注釈──『古事記伝』允恭記の注釈 ⑴
第二節 「氏姓」の注釈──『古事記伝』允恭記の注釈 ⑵
第三節 「忤過」「言八十禍津日前」の注釈──『古事記伝』允恭記の注釈 ⑶
第四節 『古事記伝』と「正名」
第五節 本部の構成
第四章 氏姓と政──古えの社会秩序
序
第一節 『玉勝間』における「姓氏の事」
第二節 異姓不養
第三節 同姓不婚
第四節 百王一姓
第五節 「ウヂカバネ」 と 「職」
第六節 氏姓・天皇・政
結
第五章 聖人のいない国──神武天皇観を中心に
序
第一節 五瀬命と神武天皇
第二節 『姓氏録』序文と『古事記伝』神武記
第三節 『古事記伝』における「ウヂカバネ」の成立
第四節 「天皇」号の成立
第五節 「スメラミコト」の意味
第六節 真の暦
結
第六章 死者の名を呼ぶ──「諱」の問題
序
第一節 「諱」と漢意
第二節 「諱」と正名──「諱」を巡る思想史的背景 ⑴
第三節 忍びがたき人情──「諱」を巡る思想史的背景 ⑵
第四節 「名」を呼ぶことと「真心」
第五節 「もののあはれ」論との関係
結
結章
第一節 『古事記』の語り方
第二節 大和心と正名
結 論
第一節 本書の総括
第二節 宣長研究における本書の位置づけ
第三節 日本近世思想史の中での本書の位置づけ
第四節 残された課題と今後の展望
参考文献
《付録1》 日本近世における「正名」関連文献一覧
《付録2》 『原玉勝間』・『玉勝間』対応表
あとがき
事項索引
書名索引
人名索引
書評掲載
「日本思想史学」(第55号、2023年発行/水野雄司氏・評)に紹介されました。
「日本思想史研究会会報」(第40号、2024年03月/田中俊亮氏・評)に紹介されました。