法政大学図書館が所蔵する「和辻哲郎文庫」の蔵書に遺された和辻自身による膨大な書き込みを調査・検証して当時の哲学的・思想的コンテクストの再構築を試み、毀誉褒貶激しい和辻思想の再検討・再評価に資す。没後50年に贈る和辻研究の重要かつ必須の基礎資料。さらに、『和辻哲郎全集』にも収録されていない資料や新たに発見された事実を収録・解説し、「三木清文庫」についての補論を付す。〔哲学・倫理学／思想〕

牧野　英二（マキノ　エイジ）

1948年８月９日生まれ．法政大学文学部教授（文学博士)．
日本カント協会会長・日本ディルタイ協会会長．
主専攻：哲学・倫理学・感性学．
〈主要著作〉『カント純粋理性批判の研究』(1989年，法政大学出版局)，『遠近法主義の哲学』(1996年，弘文堂)，『カントを読む──ポストモダニズム以降の批判哲学』(2003年，岩波書店，ハングル訳：2009年)，『近世ドイツ哲学論考』(編著：1993年，法政大学出版局)，『ディルタイと現代』(編著：2001年，法政大学出版局)，『カント案内』(編著：カント全集別巻，2006年，岩波書店)，『崇高の哲学』(2007年，法政大学出版局)．
〈主要訳書〉カッシーラー『カントの生涯と学説』(共訳：1986年，みすず書房)，ベイナー『政治的判断力』(共訳：1988年，法政大学出版局)，マウス『啓蒙の民主制理論』(監訳：1999年，法政大学出版局)，カント『判断力批判』(上)（カント全集第８巻，1999年，岩波書店)，カント『判断力批判』(下)（カント全集第９巻，2000年，岩波書店)，ディルタイ『精神科学序説Ⅰ』(編集・校閲・共訳：ディルタイ全集第１巻，2006年，法政大学出版局)，ロックモア『カントの航跡のなかで──二十世紀の哲学』(監訳：2008年，法政大学出版局)．

※上記内容は本書刊行時のものです。

　　まえがき──和辻哲郎没後50年にあたって
和辻哲郎の書き込みを見よ！　和辻倫理学の今日的意義
　　はじめに──和辻哲郎生誕120周年を迎えて
　　一　「和辻哲郎の書き込み」の意味するもの
　　二　和辻哲郎のプロフィール
　　三　和辻哲郎の思想の全体像
　　四　和辻哲郎文庫
　　五　「書き込み」から分かること
　　六　まとめ　「和辻哲郎の書き込みを見よ！」を
　　　　振り返って
補　論　「三木清文庫」について
和辻哲郎の書簡・断簡（解説・図録）
　　あとがき