ものと人間の文化史 182
鋳物

四六判 / 236ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-21821-7 C0320 [2018年11月 刊行]

内容紹介

銅鐸や鏡、梵鐘や仏像、武器、酒器、貨幣から鉄砲・大砲、橋梁、さらに自動車やジェット機エンジンまで──。古来から現在にわたり、さまざまな宗教的・実用的用途で人間の活動を支えてきた金属鋳物。長らく鋳造工学の研究に携わってきた著者が、タタラやコシキに始まる溶解炉や燃料の推移に注目しつつ、日本および世界の鋳物づくりを技術史の視点から概観する。

著訳者プロフィール

中江 秀雄(ナカエ ヒデオ)

1941年東京生まれ。早稲田大学理工学部金属工学科卒。日立製作所機械研究所勤務をへて早稲田大学理工学部教授。工学博士。現在は同大学名誉教授。
著書に『大砲からみた幕末・明治』(法政大学出版局)、『新版 鋳造工学』『濡れ、その基礎とものづくりへの応用』(いずれも産業図書)、『結晶成長と凝固』(アグネ承風社)、『凝固工学』(アグネ)、『状態図と組織』(八千代出版)、『材料プロセス工学』(共著、朝倉書店)、『新版 鋳鉄の材質』(編著、日本鋳造工学会)など。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一章  鋳物の技術史にむけて
 1 最先端の鋳物
 2 溶解と熔解
 3 タタラとこしき、その表記法

第二章  鋳物の始まり
 1 金属の誕生
 2 鉄の始まり
 3 青銅鋳物の始まり
 4 鋳鉄鋳物の始まり

第三章  わが国の鋳物の始まり
 1 中国の鋳物
 2 わが国の鋳物
  青銅器鋳物の始まり/鉄鋳物の始まり

第四章  貨幣の歴史
 1 貨幣とは
 2 世界最古の貨幣
 3 わが国の貨幣
  和同開珎/富本銭/貨幣の鋳造/大判・小判

第五章  釣鐘の歴史
 1 西洋での歴史
 2 中国の鐘
 3 わが国の鐘
 4 わが国での梵鐘の造り方

第六章  銅像と仏像
 1 銅像
 2 仏像の誕生

第七章  大砲の歴史
 1 世界の大砲
 2 日本の大砲
  鉄砲伝来から大砲まで/わが国歴史上の代表的大砲/
  わが国最初の鋳造砲/わが国を代表する鋳鉄砲

第八章  燃料と溶解炉の変遷
 1 燃料の推移──木炭から石炭、コークス、石油へ
 2 溶解炉の推移
  西洋の溶解──ルツボ炉から高炉、キュポラへ
  日本の溶解炉──コシキからキュポラ、反射炉へ

第九章  わが国の鋳物師
 1 鋳物師の地方への拡散
 2 川口鋳物師
 3 佐野の鋳物師
 4 茨城・真壁の鋳物師
 5 東京(江戸)の鋳物師

第十章  世界の鋳物いろいろ
 1 これも鋳物、あれも鋳物──昔の生活で使われていたもの
 2 鋳鉄製の橋と柱
 3 鋳鉄柱と鋳鉄門
 4 この他の古い鋳物
   オリンピックの聖火台
 5 最近の鋳物

第十一章  むすびにかえて

あとがき

書評掲載

「鋳造工学」(Vol.91 No.2 平成31年2月発行/菅野利猛氏・評)に紹介されました。

「素形材」(Vol.60 No.2 平成31年2月発行/石原安興氏・評)に紹介されました。