ものと人間の文化史 191

四六判 / 300ページ / 上製 / 価格 3,520円 (消費税 320円) 
ISBN978-4-588-21911-5 C0320 [2024年11月 刊行]

内容紹介

前近代社会では、鷹は権力の象徴であった。本書は、古代から現代にいたる鷹狩の歴史、とりわけその制度や技術がもっとも進んだ日本近世において、全国規模で展開された鷹の贈答儀礼、鷹狩によって捕らえた獲物(御鷹之鳥)の贈答や饗応の社会的な広がり、鷹の飼養や訓練の方法、鷹場の維持管理のシステム、加えて鷹と鷹狩にかかわる文化としての絵画・文学の展開までを、権力者と民衆双方の視点から描く。

著訳者プロフィール

根崎 光男(ネサキ ミツオ)

根崎 光男(ネサキ ミツオ)
1954年茨城県に生まれる。1977年法政大学文学部史学科卒業、1983年同大学大学院人文科学研究科博士後期課程満期退学。1984年練馬区教育委員会(美術館)学芸員、主任学芸員、1997年法政大学第二教養部助教授、1999年人間環境学部助教授、2001年人間環境学部・大学院環境マネジメント研究科(公共政策研究科)教授。2006年「江戸幕府放鷹制度に関する研究」で博士(歴史学)。現在、法政大学名誉教授。
著書:『将軍の鷹狩り』(同成社、1999)、『生類憐みの世界』(同成社、2006)、『江戸幕府放鷹制度の研究』(吉川弘文館、2008)、『「環境」都市の真実──江戸の空になぜ鶴は飛んでいたのか』(講談社、2008)、『犬と鷹の江戸時代──〈犬公方〉綱吉と〈鷹将軍〉吉宗』(吉川弘文館、2016)、『大江戸トイレ事情』(同成社、2024)、他。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき

 序章 鷹と人とのかかわり
    1 鷹の生態と機能
    2 鷹の呼称と捕獲
    3 鷹の調教と鷹野御成
第1章 古代・中世日本の鷹狩
    1 旧石器・縄文・弥生期の鷹
    2 外来文化と古代の鷹狩
    3 殺生罪業観と中世の鷹狩
第2章 近世日本の鷹狩と幕府放鷹制度
    1 豊臣秀吉の鷹狩と鷹場
    2 徳川家康の鷹狩と幕府体制
    3 徳川家光と放鷹制度の整備
    4 徳川綱吉と放鷹制度の中断
    5 徳川吉宗と放鷹制度の復活
    6 社会の変容と放鷹制度の縮小・終焉
第3章 鷹・鷹狩をめぐる儀礼制度
    1 鷹の確保体制と贈答儀礼
    2 鷹狩をめぐる贈答儀礼
    3 「御鷹之鳥」の贈答儀礼
    4 「御鷹之鳥」の饗応儀礼
第4章 鷹場町村の支配と諸役負担
    1 鷹場の支配と環境保全
    2 江戸町方と鷹場支配
    3 鷹場町村の諸役負担
第5章 鷹・鷹狩をめぐる文化
    1 鷹・鷹狩を描いた絵画
    2 鷹野行列図と鷹場絵図
    3 鷹・鷹狩と文学
第6章 近代・現代日本の鷹狩
    1 天皇の御猟場と鷹狩
    2 鴨場と饗応儀礼
    3 鷹狩の伝統継承と現代
 終章 鷹に求めた人の規範

主要参考文献(研究書)
あとがき

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