在宅死の時代
近代日本のターミナルケア

四六判 / 240ページ / 上製 / 価格 3,080円 (消費税 280円) 
ISBN978-4-588-31208-3(4-588-31208-1) C1021 [2001年04月 刊行]

内容紹介

高度経済成長末期以降,急速に失われた看取りの文化を,地主や開業医の日記,小説・病院資料を通して明らかにしつつ,よりよく生きるために,その復権を提唱する。

著訳者プロフィール

新村 拓(シンムラ タク)

1946年静岡県生。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士(早大)。専攻は日本医療社会史。公立高校教諭、京都府立医科大学医学部教授を経て、現在は北里大学教授、副学長。著書に『古代医療官人制の研究』(1983年)、『日本医療社会史の研究』(85年)、『死と病と看護の社会史』(89年)、『老いと看取りの社会史』(91年)─以上の4書にてサントリー学芸賞を受賞(92年)。『ホスピスと老人介護の歴史』(92年)、『出産と生殖観の歴史』(96年)、『医療化社会の文化誌』(98年)、『在宅死の時代』(2001年)、『痴呆老人の歴史』(02年)、『健康の社会史』(06年)、『国民皆保険の時代』(11年)─いずれも法政大学出版局刊。編著に『日本医療史』(06年)─吉川弘文館刊。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第一部 看取りの文化

第一章 遠ざかる死

第二章 地主の日記にみる死の看取り

第三章 近代の医師
 一 死を管理する国家と医師の資格
 二 明治初期の医師小川泰堂の隠居生活

第四章 伝統医療のゆくえ
 一 衰えない針灸・按摩治療
 二 衰退する漢方医

第五章 都市近郊農村における地主と開業医

第六章 病院医療の夜明け
 一 開業医と村の医療
 二 病院死と在宅死

第七章 派出看護婦の雇用

第八章 看取りにおける終末期の認識ケア
 一 終末期の認識
 二 終末期のケアと死亡判定

第九章 死後の処置

第十章 変革期にある現代医療

付 論 告知の歴史

第二部 看病を職業とした人びとの系譜

第一章 看護と介護

第二章 病院と看護人

第三章 小石川養生所の看病人

第四章 長崎養生所の看病人

第五章 病院の「看頭」

第六章 看病・看護・介抱・付添いの関係図式

付 論 死を前にした尾崎紅葉の心の揺れ

 あとがき
 索引