アフリカからの奴隷貿易終結後、世界的にプランテーションでの低賃金労働力を供給したのは「年季契約労働」の仕組みだった。オセアニアには域内諸島から、またはアジアからの移動を伴う年季契約労働者が導入され、半奴隷状態のなか、各地には新たな移民コミュニティが形成された。旧宗主国にも先住民にも帰属せず、ポストコロニアルの議論からさえ排除されがちな移民たちの苦渋の歴史に光をあてる労作。
山本 真鳥(ヤマモト マトリ)
山本 真鳥(ヤマモト マトリ)
法政大学名誉教授。文化人類学、オセアニア研究。1984年法政大学経済学部助教授、1990年同教授。カリフォルニア大学バークレー校人類学部、ハワイ大学人類学部、東西センターで客員研究員。日本文化人類学会、日本オセアニア学会で会長を歴任。著書に『儀礼としての経済──サモア社会の贈与・権力・セクシュアリティ』(弘文堂、山本泰と共著)、『人間と土地──現代土地問題への歴史的接近』(有志舎、小谷汪之・藤田進と共著)、『グローバル化する互酬性──拡大するサモア世界と首長制』(弘文堂)、『オセアニアの今──伝統文化とグローバル化』(明石書店)、編著に『オセアニア史』(山川出版社)、Art and Identity in the Pacific: Festival of Pacific Arts (The Japan Center for Area Studies, National Museum of Ethnology)、『ハワイを知るための60章』(明石書店、山田亨と共編)など。
はじめに
序 章
1 プランテーション開発と奴隷労働
2 年季契約労働
3 先行研究と研究の手法
4 各章の概要
第一章 ポリネシアのブラックバーディング
1 ペルー側の背景
2 ポリネシア地域でのブラックバーディング
3 ラパヌイ(イースター)島の悲劇
4 ブラックバーディング始末記
5 ポリネシアの人口減少とブラックバーディング
第二章 ハワイのプランテーション開発と虹の階層
1 プランテーション開発以前
2 プランテーション開発と土地
3 異なるエスニックの年季契約労働者
4 虹の階層
第三章 クイーンズランドの南洋諸島人労働者
1 オーストラリア開発と労働の担い手
2 クイーンズランドに至る開発と労働の担い手
3 クイーンズランドのプランテーション開発と年季契約労働
4 メラネシア人年季契約労働者
5 ブラックバーディングは存在したのか?
第四章 ドイツ領サモアのプランテーション開発と労働力
1 植民地化以前のサモアのプランテーション開発と土地所有
2 ギルバート諸島から年季契約労働者の導入
3 メラネシア人の導入とドイツ支配
4 中国人の導入とドイツ支配
5 ドイツ支配とその人種政策
6 奴隷制とつながる年季契約労働制
第五章 ニュージーランド時代西サモアの曖昧な契約労働者
1 ニュージーランド軍政時代の年季契約労働者
2 ニュージーランド民政とともに契約労働者導入
3 働かないサモア人
4 「中国人自由労働法、一九二三年」の時代へ
5 民族分断とマウ運動──異なる住む世界
6 二つの身分と契約労働者
7 一九三七年と一九四八年帰還船をめぐって
8 西サモア独立と元年季契約労働者の人権
9 竜の不運
第六章 コミュニティを生成したフィジーのインド人年季契約労働者
1 フィジーのプランテーション開発始動の経緯
2 インド人年季契約労働者の徴集
3 プランテーションの暮らし
4 インド人年季契約労働者の文化変容
5 年季契約労働者と性
6 年季契約労働外の経済活動
7 エスニック・コミュニティの生成
結 論
資 料
① 契約書雛形(ドイツ時代に用いられていた契約書フォーム)
② サモアにおける中国人労働者の労働契約条件
③ 中国人自由労働法 (抄)、一九二三年布告
④ 海外労働者制限法(抄)、一九三一年
文献一覧
索 引
序 章
1 プランテーション開発と奴隷労働
2 年季契約労働
3 先行研究と研究の手法
4 各章の概要
第一章 ポリネシアのブラックバーディング
1 ペルー側の背景
2 ポリネシア地域でのブラックバーディング
3 ラパヌイ(イースター)島の悲劇
4 ブラックバーディング始末記
5 ポリネシアの人口減少とブラックバーディング
第二章 ハワイのプランテーション開発と虹の階層
1 プランテーション開発以前
2 プランテーション開発と土地
3 異なるエスニックの年季契約労働者
4 虹の階層
第三章 クイーンズランドの南洋諸島人労働者
1 オーストラリア開発と労働の担い手
2 クイーンズランドに至る開発と労働の担い手
3 クイーンズランドのプランテーション開発と年季契約労働
4 メラネシア人年季契約労働者
5 ブラックバーディングは存在したのか?
第四章 ドイツ領サモアのプランテーション開発と労働力
1 植民地化以前のサモアのプランテーション開発と土地所有
2 ギルバート諸島から年季契約労働者の導入
3 メラネシア人の導入とドイツ支配
4 中国人の導入とドイツ支配
5 ドイツ支配とその人種政策
6 奴隷制とつながる年季契約労働制
第五章 ニュージーランド時代西サモアの曖昧な契約労働者
1 ニュージーランド軍政時代の年季契約労働者
2 ニュージーランド民政とともに契約労働者導入
3 働かないサモア人
4 「中国人自由労働法、一九二三年」の時代へ
5 民族分断とマウ運動──異なる住む世界
6 二つの身分と契約労働者
7 一九三七年と一九四八年帰還船をめぐって
8 西サモア独立と元年季契約労働者の人権
9 竜の不運
第六章 コミュニティを生成したフィジーのインド人年季契約労働者
1 フィジーのプランテーション開発始動の経緯
2 インド人年季契約労働者の徴集
3 プランテーションの暮らし
4 インド人年季契約労働者の文化変容
5 年季契約労働者と性
6 年季契約労働外の経済活動
7 エスニック・コミュニティの生成
結 論
資 料
① 契約書雛形(ドイツ時代に用いられていた契約書フォーム)
② サモアにおける中国人労働者の労働契約条件
③ 中国人自由労働法 (抄)、一九二三年布告
④ 海外労働者制限法(抄)、一九三一年
文献一覧
索 引