情報時代の到来
「理性と革命の時代」における知識のテクノロジー

A5判 / 316ページ / 上製 / 価格 4,290円 (消費税 390円) 
ISBN978-4-588-37115-8 C3020 [2011年06月 刊行]

内容紹介

「情報革命」とは近年の現象ではなく、深い歴史的淵源をもっている。情報の組織化、変換、提示、検索、そして伝達するための重要な機能は、主に18世紀から19世紀初めに起源をもち開花していった。本書は、欧米における情報システムの発展を、地図の作成、辞書や百科辞典の編纂、植物命名法、統計やグラフのかたち、郵便や電信技術の発明などの歴史を跡づけながら具体的に論じる。

著訳者プロフィール

ダニエル・リチャード・ヘッドリク(ヘッドリク ダニエル リチャード)

1941年生まれ。フランスでの中等教育を受け、アメリカ、スペイン、イタリアで学ぶ。1964年、ジョンズ・ホプキンス大学修士号取得、1971年、プリンストン大学博士号取得。
現在、ローズヴェルト大学人文・科学学部(Roosevelt University, College of Arts and Sciences)教授。
主要業績:The Army and Politics in Spain, 1866-1898(Oxford: Oxford University Press, 1981); The Tools of Empire: Technology and European Imperialism in the Nineteenth Century(Oxford University Press, 1981)(原田勝正ほか訳『帝国の手先――ヨーロッパ膨張と技術』日本経済評論社、1988年); The Tentacles of Pregress(Oxford University Press, 1988)(原田勝正ほか訳『進歩の触手――帝国主義時代の技術移転』日本経済評論社、2005年); The Invisible Weapon: Telecommunications and International Politics, 1851-1945(Oxford University Press, 1991); Technology: A World History(Oxford University Press, 2009)など。

塚原 東吾(ツカハラ トウゴ)

1961年生まれ。レイデン大学医学部、1993年博士号取得。
現在、神戸大学大学院国際文化学研究科教授。
主要業績:Affinity and Shinwa Ryoku: Introduction of Western Chemical Concepts in Early Nineteenth‐Century Japan(Amsterdam: Gieben Publishing, 1993);(with Masumi Zaiki)“Meteorology on the Southern Frontier of Japan's Empire: Ogasawara Kazuo at Taihoku Imperial University”, East Asian Science, Technology and Society: an International Journal(Springer e‐publication)(2008);(松岡夏子と共著)「水をめぐるパラダイム、歴史の問題としての水――宇井純とシヴァ再編の試み」『現代思想』35巻12号(2007年10月)、ほか。

隠岐 さや香(オキ サヤカ)

1975年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科、2008年博士号取得。
現在、広島大学大学院総合科学研究科准教授。
主要業績:『科学アカデミーと「有用な科学」――フォントネルの夢からコンドルセのユートピアへ』(名古屋大学出版会、2011年); “Academicians and Experts? The Academie Royale des Sciences and Hospital Reform at the End of the Eighteenth Century”, in Christelle Rabier(ed.), Fields of Expertise: A Comparative History of Expert Procedures in Paris and London, 1600 to Present(Cambridge: Cambridge Scholars Publishing, 2007); “L'amenagement de la Seine et l'Academie royale des sciences de Paris au XVIIIe siecle”, AEstuaria, no. 7(2005)、 ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

  はしがき

第1章 情報とその歴史
情報と知識/情報システム/効率とデータ/情報時代の始まり/「理性と革命の時代」/情報システムの需要/情報システムの供給/進歩の精神

第2章 情報の組織化――科学の言葉
分類の時代/科学と言語/リンネと生物の分類/パリ学派の生物学/ラヴォアジエとフランスでの化学革命/メートル法

第3章 情報を変換すること――統計の起源
政治算術と神の秩序/人口減少論争/旧体制期における統計/フランスにおける統計、一七八九~一八一五年/最初の国勢調査/アメリカ人たち――計算する人びと/一八一五年以降のフランスとベルギーにおける「社会物理」/イギリス統計運動

第4章 情報を表示すること――地図とグラフ
視覚表象/陸上の地図をつくる/海洋上の地図製作/地表の上と下で/統計グラフ/主題図の作成

第5章 情報を保存すること――辞書と百科事典
辞書の発展/辞書から百科事典へ/普通百科事典/アルファベット順とテーマ順/参考図書の定量分析

第6章 情報を伝達すること――郵便と電信のシステム
コミュニケーションの諸システム/一八世紀以前の郵便制度/一八四○年までのヨーロッパの郵便システム/二つの郵便制度改革/シャップの遠隔通信(telegraph)/一八一五年までの視覚遠隔通信ネットワーク/一八一五年以降の視覚遠隔通信/視覚遠隔通信から電信へ/海上での信号伝達システム

第7章 情報時代――過去と現在

  訳者解説
  読書案内
  図版出典一覧
  原  註
  索  引