権力者のための機関から民衆の喜怒哀楽をも伝えるツールへ──。徒歩飛脚の時代から騎馬飛脚・郵便馬車・鉄道郵便・郵便船・航空便の登場、そして現代まで、 二千年を超えるイギリスの郵便制度と、そこに関わった人々の歩みを描く。苛烈な政争を経てペニー郵便が誕生するまでの物語、郵便局が貯金、保険、年金、電信・電話までを扱い、国民福祉の一翼を担うにいたる経営形態の変転にも論及。
星名 定雄(ホシナ サダオ)
星名 定雄(ホシナ サダオ)
1945年東京に生まれる。法政大学経営学部卒業。通商産業省(現経済産業省)に35年間勤務。情報通信史・イギリス郵便史を長年研究。著書『郵便の文化史──イギリスを中心として』(みすず書房、1982)、『郵便と切手の社会史〈ペニー・ブラック物語〉』(法政大学出版局、1990)、『情報と通信の文化史』(法政大学出版局、2006)、『イギリス郵便史文献散策』(郵研社、2012)など。交通史学会会員、郵便史研究会会員。
はじめに
第Ⅰ部 近世までの郵便の歩み──権力者の道具から市民の郵便に
第1章 プロローグ
1 ローマン・ブリテンの時代
2 アングロ・サクソン人の時代
3 ノルマン朝の時代
第2章 草創期の駅逓
1 駅逓局長の任命
2 近世道路事情と書簡速度
3 パストン家書簡
4 地域をむすぶ飛脚の台頭
第3章 草創期の外国飛脚
1 外国商人の渡来
2 外国商人飛脚
3 外国商人飛脚の終焉
4 ステープル商人
5 冒険商人
6 冒険商人飛脚
7 駅逓局長職の分割発令
8 冒険商人飛脚の元締
9 冒険商人飛脚の取り潰し
10 外国飛脚の国営一元化達成
11 コルシーニ書簡
第4章 革命時代の駅逓運営
1 駅逓公開の構想
2 一般公開された王室駅逓
3 内乱とクロムウェル独裁の時代
第5章 ステュアート朝後期の駅逓運営
1 王政復古に伴う変革
2 王政復古後の駅逓運営
3 名誉革命後の駅逓運営
第6章 ロンドン市内のペニー郵便
1 発展するロンドン
2 カトリック陰謀事件
3 ペニー郵便の誕生
4 郵便物の集配
5 郵便印
6 利用者の利益
7 ペニー郵便に関わった人々
8 事業形態と運営実績
9 国有化を巡るドクラの闘い
10 ペニー郵便の国有化
11 ドクラのその後
第7章 植民地帝国誕生と郵便事業
1 一七一一年郵便法
2 クロス・ポストの普及
3 レイフ・アレンの時代
第8章 植民地帝国と産業革命の時代
1 小ピット時代の改革
2 体制強化と新サービス
3 トマス・ウォラス委員会
4 地方ペニー郵便の発展
5 ロバート・ウォラスの運動
第Ⅱ部 近現代の郵便の発展──国営、公社、民営へ
第9章 近代郵便制度の創設
1 ヒルの郵便改革案
2 改革拒否と改革推進と
3 一ペニー郵便の開始
4 分かれるヒルの業績評価
5 岩倉使節団がみた一ペニー郵便
第10章 ペニー・ブラックの誕生
1 切手の前史
2 切手アイディア・コンテスト
3 マルレディー封筒
4 世界最初の切手
5 切手の発明者は誰か
6 女王の切手
第11章 近代郵便制度の発展
1 郵便ポスト
2 新しい郵便
3 ヴィクトリア朝の全体実績
4 郵便普及で変わる社会
第12章 非郵便サービス部門の台頭
1 内国郵便為替
2 外国郵便為替
3 郵便貯金銀行
4 保険と年金
5 電信・電話会社の国有化
第13章 二〇世紀前半の郵政事業
1 郵政職員・労働者
2 労働組合の結成
3 第一次世界大戦
4 戦間期の郵政事業改革
5 第二次世界大戦
第14章 郵便の機械化
1 二〇世紀前半までの機械化
2 郵便事業の特質
3 機械化の仕組み
4 機械化初期の進展
5 ブレークスルー
6 二一世紀の機械化戦略
第15章 国営から公社・民営への道程
1 郵政事業基金の創設
2 郵政事業の公社化
3 テレコミュニケーション事業の分離
4 郵便公社の政府持株会社化
5 ロイヤル・メールの株式公開
6 国際物流サービス会社
7 会計システムを巡る冤罪事件
第Ⅲ部 郵便輸送の歩み──陸・海・空、手紙をはこぶ
第16章 郵便馬車
1 道路の改良と馬車交通の発展
2 郵便馬車実現までの道程
3 郵便馬車の時代開幕
4 郵便馬車の運行体制
5 護衛と御者
6 揺れ動くパーマーの評価
7 黄金時代の終焉
第17章 鉄道郵便
1 イギリスの鉄道略史
2 旅をする郵便局
3 鉄道郵便の歩み
4 郵便車の変遷
5 車内での郵便作業
6 ロンドンの地下郵便鉄道
第18章 帆船による郵便輸送
1 ドーヴァー航路
2 ハリッジ航路
3 ファルマス航路
4 郵便物を守った海の男たち
5 新大陸アメリカ
6 大西洋航路
第19章 蒸気船による郵便輸送
1 英米航路
2 英印航路
3 オーヴァーランド・メール
4 極東航路
5 オーストラリア航路
6 ニュージーランド航路
7 海外版ペニー郵便の導入
8 外国郵便の業務分析
9 双璧の郵船企業
第20章 航空郵便
1 航空前史
2 軍用機による郵便空輸
3 帝国航空の誕生
4 長距離飛行ルートの開拓
5 オール・アップ・サービス
6 アジア・オーストラリアへの延伸
7 帝国航空郵便制度
8 「エアグラフ」と「エアレター」
9 国有化そして民営化
あとがき
図版リスト
参考文献/論文/資料
索 引
第Ⅰ部 近世までの郵便の歩み──権力者の道具から市民の郵便に
第1章 プロローグ
1 ローマン・ブリテンの時代
2 アングロ・サクソン人の時代
3 ノルマン朝の時代
第2章 草創期の駅逓
1 駅逓局長の任命
2 近世道路事情と書簡速度
3 パストン家書簡
4 地域をむすぶ飛脚の台頭
第3章 草創期の外国飛脚
1 外国商人の渡来
2 外国商人飛脚
3 外国商人飛脚の終焉
4 ステープル商人
5 冒険商人
6 冒険商人飛脚
7 駅逓局長職の分割発令
8 冒険商人飛脚の元締
9 冒険商人飛脚の取り潰し
10 外国飛脚の国営一元化達成
11 コルシーニ書簡
第4章 革命時代の駅逓運営
1 駅逓公開の構想
2 一般公開された王室駅逓
3 内乱とクロムウェル独裁の時代
第5章 ステュアート朝後期の駅逓運営
1 王政復古に伴う変革
2 王政復古後の駅逓運営
3 名誉革命後の駅逓運営
第6章 ロンドン市内のペニー郵便
1 発展するロンドン
2 カトリック陰謀事件
3 ペニー郵便の誕生
4 郵便物の集配
5 郵便印
6 利用者の利益
7 ペニー郵便に関わった人々
8 事業形態と運営実績
9 国有化を巡るドクラの闘い
10 ペニー郵便の国有化
11 ドクラのその後
第7章 植民地帝国誕生と郵便事業
1 一七一一年郵便法
2 クロス・ポストの普及
3 レイフ・アレンの時代
第8章 植民地帝国と産業革命の時代
1 小ピット時代の改革
2 体制強化と新サービス
3 トマス・ウォラス委員会
4 地方ペニー郵便の発展
5 ロバート・ウォラスの運動
第Ⅱ部 近現代の郵便の発展──国営、公社、民営へ
第9章 近代郵便制度の創設
1 ヒルの郵便改革案
2 改革拒否と改革推進と
3 一ペニー郵便の開始
4 分かれるヒルの業績評価
5 岩倉使節団がみた一ペニー郵便
第10章 ペニー・ブラックの誕生
1 切手の前史
2 切手アイディア・コンテスト
3 マルレディー封筒
4 世界最初の切手
5 切手の発明者は誰か
6 女王の切手
第11章 近代郵便制度の発展
1 郵便ポスト
2 新しい郵便
3 ヴィクトリア朝の全体実績
4 郵便普及で変わる社会
第12章 非郵便サービス部門の台頭
1 内国郵便為替
2 外国郵便為替
3 郵便貯金銀行
4 保険と年金
5 電信・電話会社の国有化
第13章 二〇世紀前半の郵政事業
1 郵政職員・労働者
2 労働組合の結成
3 第一次世界大戦
4 戦間期の郵政事業改革
5 第二次世界大戦
第14章 郵便の機械化
1 二〇世紀前半までの機械化
2 郵便事業の特質
3 機械化の仕組み
4 機械化初期の進展
5 ブレークスルー
6 二一世紀の機械化戦略
第15章 国営から公社・民営への道程
1 郵政事業基金の創設
2 郵政事業の公社化
3 テレコミュニケーション事業の分離
4 郵便公社の政府持株会社化
5 ロイヤル・メールの株式公開
6 国際物流サービス会社
7 会計システムを巡る冤罪事件
第Ⅲ部 郵便輸送の歩み──陸・海・空、手紙をはこぶ
第16章 郵便馬車
1 道路の改良と馬車交通の発展
2 郵便馬車実現までの道程
3 郵便馬車の時代開幕
4 郵便馬車の運行体制
5 護衛と御者
6 揺れ動くパーマーの評価
7 黄金時代の終焉
第17章 鉄道郵便
1 イギリスの鉄道略史
2 旅をする郵便局
3 鉄道郵便の歩み
4 郵便車の変遷
5 車内での郵便作業
6 ロンドンの地下郵便鉄道
第18章 帆船による郵便輸送
1 ドーヴァー航路
2 ハリッジ航路
3 ファルマス航路
4 郵便物を守った海の男たち
5 新大陸アメリカ
6 大西洋航路
第19章 蒸気船による郵便輸送
1 英米航路
2 英印航路
3 オーヴァーランド・メール
4 極東航路
5 オーストラリア航路
6 ニュージーランド航路
7 海外版ペニー郵便の導入
8 外国郵便の業務分析
9 双璧の郵船企業
第20章 航空郵便
1 航空前史
2 軍用機による郵便空輸
3 帝国航空の誕生
4 長距離飛行ルートの開拓
5 オール・アップ・サービス
6 アジア・オーストラリアへの延伸
7 帝国航空郵便制度
8 「エアグラフ」と「エアレター」
9 国有化そして民営化
あとがき
図版リスト
参考文献/論文/資料
索 引
書評掲載
「通信文化新報」(2024年10月07日、第7269号)に紹介されました
「日英協会ホームページ」(ニュース欄)に紹介されました
「郵趣(ゆうしゅ)」(2024年11月刊行/板橋祐己氏・評)に紹介されました