植民地の〈フランス人〉
第三共和政期の国籍・市民権・参政権
松沼 美穂:著
A5判 / 276ページ / 上製 / 価格 4,620円 (消費税 420円)
ISBN978-4-588-37710-5 C3020 [2012年01月 刊行]
ISBN978-4-588-37710-5 C3020 [2012年01月 刊行]
十九世紀末以降、世界第二の植民地帝国を形成したフランス。民主主義と人権の共和国はいかに自他を差別化し、不平等な他民族支配を正当化しえたのか。文明化の使命による「同化」という定説に切り込み、各植民地をめぐる膨大な行政関連文献史料を検討することで、人種や慣習を異にする多様な現地住民の帝国への「包摂と排除」のメカニズムを法制度的観点から明らかにした画期的研究。
松沼 美穂(マツヌマ ミホ)
2003年、東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。博士(学術)。福岡女子大学文学部准教授を経て、現在群馬大学教育学部准教授。著書に『帝国とプロパガンダ──ヴィシー政権期フランスと植民地』(山川出版社、2007年)、共著に『帝国の長い影』(ミネルヴァ書房、2010年)、論文に「1917年春のフランス軍の「反乱」──共和国の市民‐兵士の声をどのように聞き取るか」(『歴史学研究』883号、2011年)、ほか多数。
※上記内容は本書刊行時のものです。はじめに
一 国民国家と帝国支配
二 フランス植民地史における法制史
第一章 市民と臣民──植民地における二種類のフランス人
一 共和国の国民の定義
二 植民地における国籍・市民権・参政権
三 臣民としての「原住民」──原住民法
四 臣民から市民への移行
第二章 フランス植民地主義における「同化」
一 問題の所在
二 共和主義者の植民地統治理念としての同化
三 現地先住民の同化
四 現地先住民の教育
五 同化から協同へ?
六 イギリス流間接統治vsフランス流同化主義?
七 「フランス=同化」というイメージ
第三章 インド所領──共和国の普遍主義のなかの文化的固有性
一 フランス領インド五所領における属人的地位と参政権
二 属人的地位の放棄
三 複数の選挙人団
四 インド域外におけるインド人
五 包摂と排除の併行
第四章 セネガル四都市──ディアニュ法の役割
一 住民の法的地位と参政権
二 セネガル「住民」の参政権と市民権に対する攻撃
三 ディアニュ法──兵役と市民
四 ディアニュ法に対する批判
五 植民地における共和主義のシンボル
第五章 アルジェリア──宗教と市民権
一 本土の延長としてのアルジェリア
二 一八六五年元老院決議まで
三 クレミュー・デクレ
四 ふたつの法規の帰結──宗教を理由とする法的地位の違い
五 原住民の帰化
六 外国人の帰化
七 法的地位の異なる男女間の結婚
八 ムスリムのキリスト教への改宗
九 市民、フランス人、ヨーロッパ人、アルジェリア人
──非ムスリムというカテゴリー
第六章 血統と文化によるフランス人種──混血の分類
一 「混血問題」の浮上
二 混血をめぐる帝国地図
三 混血の法的地位に関する原則
四 混血であることの認定方法──見かけと立ち居ふるまい
五 一九二八年十一月四日のデクレ
六 人種としてのヨーロッパ
第七章 「アジア人」から「ヨーロッパ人」へ
──フランス領インドシナにおける日本人の法・行政的処遇
一 植民地、国際法、外国人
二 インドシナでの日本人の地位の変更要求
三 インドシナ総督府の認識
四 日仏協約──転換点
五 植民地支配と「ヨーロッパ」
六 帝国主義体制の動揺と補強
おわりに
あとがき
関連地図/註/史料と文献/索引
一 国民国家と帝国支配
二 フランス植民地史における法制史
第一章 市民と臣民──植民地における二種類のフランス人
一 共和国の国民の定義
二 植民地における国籍・市民権・参政権
三 臣民としての「原住民」──原住民法
四 臣民から市民への移行
第二章 フランス植民地主義における「同化」
一 問題の所在
二 共和主義者の植民地統治理念としての同化
三 現地先住民の同化
四 現地先住民の教育
五 同化から協同へ?
六 イギリス流間接統治vsフランス流同化主義?
七 「フランス=同化」というイメージ
第三章 インド所領──共和国の普遍主義のなかの文化的固有性
一 フランス領インド五所領における属人的地位と参政権
二 属人的地位の放棄
三 複数の選挙人団
四 インド域外におけるインド人
五 包摂と排除の併行
第四章 セネガル四都市──ディアニュ法の役割
一 住民の法的地位と参政権
二 セネガル「住民」の参政権と市民権に対する攻撃
三 ディアニュ法──兵役と市民
四 ディアニュ法に対する批判
五 植民地における共和主義のシンボル
第五章 アルジェリア──宗教と市民権
一 本土の延長としてのアルジェリア
二 一八六五年元老院決議まで
三 クレミュー・デクレ
四 ふたつの法規の帰結──宗教を理由とする法的地位の違い
五 原住民の帰化
六 外国人の帰化
七 法的地位の異なる男女間の結婚
八 ムスリムのキリスト教への改宗
九 市民、フランス人、ヨーロッパ人、アルジェリア人
──非ムスリムというカテゴリー
第六章 血統と文化によるフランス人種──混血の分類
一 「混血問題」の浮上
二 混血をめぐる帝国地図
三 混血の法的地位に関する原則
四 混血であることの認定方法──見かけと立ち居ふるまい
五 一九二八年十一月四日のデクレ
六 人種としてのヨーロッパ
第七章 「アジア人」から「ヨーロッパ人」へ
──フランス領インドシナにおける日本人の法・行政的処遇
一 植民地、国際法、外国人
二 インドシナでの日本人の地位の変更要求
三 インドシナ総督府の認識
四 日仏協約──転換点
五 植民地支配と「ヨーロッパ」
六 帝国主義体制の動揺と補強
おわりに
あとがき
関連地図/註/史料と文献/索引
書評掲載
「歴史学研究」(2016年5月号/平野千果子氏・評)に紹介されました。