翻訳文化を考える 〈改装版〉

四六判 / 250ページ / 上製 / 価格 2,750円 (消費税 250円) 
ISBN978-4-588-43611-6 C1081 [2013年05月 刊行]

内容紹介

外来文化受容に際してつくられてきた「翻訳日本語」の形成過程に日本文化の特異な構造を探ってきた著者が、日常語から文学作品に至る広範なことばの〈現場〉に立って、みずからの「カセット効果」理論を展開。もうひとつの日本語たる翻訳語の特殊なはたらきを明らかにしつつ日本文化を考察する。

著訳者プロフィール

柳父 章(ヤナブ アキラ)

1928年東京生まれ。東京大学教養学部教養学科卒業。翻訳論・比較文化論専攻。元桃山学院大学教授。著書:『秘の思想』『翻訳語の論理』『文体の論理』『日本語をどうかくか』『翻訳とはなにか』『近代日本語の思想』『日本の翻訳論』(共編)(以上、法政大学出版局)、『翻訳語成立事情』(岩波書店)、『比較日本語論』(バベル・プレス)、『翻訳の思想』(筑摩書房)、『文化〈一語の辞典〉』(三省堂)、『翻訳語を読む』(光芒社)ほか。

※上記内容は本書刊行時のものです。

目次

 I
社会と世間の違い
兆民の翻訳語「天」
言霊とは何か
現代小説と人工語
革新思想の「革新」とは何か
翻訳語と「私」のことば

 II
思想を表現することば
日本語ナショナリズムへの不安
小林秀雄の批評文の構造
翻訳日本文の論理
吉田健一の文体
「闇のなかの黒い馬」の構造

 III
日本人の遊びと仕事
日本人のものの考え方
日本文化にとって漢字とは何か
極限追求の発想と極限拒絶の発想
時間について
ことばと文明の始源について

 あとがき
 初出発表誌紙一覧

 復刊にあたって