2019年にノーベル文学賞を受賞した、オーストリアの作家ペーター・ハントケ。毀誉褒貶の激しい作家の全体像を公正に見渡せる、本邦初のコレクション刊行開始。第1巻では70年代の代表作を収録。新たな文学表現を求めてアメリカを舞台に描く『長い別れのための短い手紙』、母の自殺に直面し書き出した『幸せではないが、もういい』、創作の原点と平和への思いを語ったノーベル文学賞受賞講演を併録。全3巻予定。
ペーター・ハントケ(ハントケ ペーター)
ペーター・ハントケ(Peter Handke)
1942年、オーストリアのケルンテン州グリッフェンに、ドイツ人の父とスロヴェニア系の母とのあいだに生まれた。60年代、戦後西ドイツの文学を牽引してきた「グルッペ47」を批判、『観客罵倒』『カスパー』等の斬新で前衛的な作品で注目される。その後も『ゴールキーパーの不安』『ゆるやかな帰郷』『反復』『疲れについての試論』『無人の入江の一年』等、つねに新たな表現を模索しながら長短篇の小説、劇、詩、映画脚本等の多彩なジャンルにわたって、現在に至るまできわめて多作かつ実験的な手法で描き、現代ドイツ語圏文学の最も重要な作家の一人となった。ヴィム・ヴェンダースの映画『ベルリン・天使の詩』の脚本も書いている。90年代以降、旧ユーゴについての発言(ユーゴ解体に至る欧米諸国の対応、NATO空爆に対する抗議等)で激しい論議を巻き起こした。2019年、ノーベル文学賞を受賞した。
服部 裕(ハットリ ヒロシ)
服部 裕 1981年ドイツ連邦共和国フライブルク大学修士課程修了。明星大学名誉教授。学術論文に「ペーター・ハントケの『長い別れへの短い手紙』──新しい主体を求めて」(オーストリア文学研究会)、「創作の軌跡を跡づける文学的自伝の物語──ペーター・ハントケの『別の国のわたしの日』についての一解釈の可能性」(明星大学研究紀要)ほか。
元吉 瑞枝(モトヨシ ミズエ)
元吉 瑞枝 1968年東京大学大学院修士課程修了。熊本県立大学名誉教授。著書に『ドイツ文学における古典と現代』(共著、第三書房)、『ドイツ文学回遊』(共著、郁文堂)ほか。訳書にペーター・ハントケ『空爆下のユーゴスラビアで』、『幸せではないが、もういい』(以上、同学社)ほか。
※上記内容は本書刊行時のものです。長い別れのための短い手紙 【服部裕 訳】
幸せではないが、もういい 【元吉瑞枝 訳】
ノーベル文学賞受賞講演 【元吉瑞枝 訳】
訳者あとがき(服部裕)
訳者あとがき(元吉瑞枝)
幸せではないが、もういい 【元吉瑞枝 訳】
ノーベル文学賞受賞講演 【元吉瑞枝 訳】
訳者あとがき(服部裕)
訳者あとがき(元吉瑞枝)